最近のAIブームにはいささか食傷ぎみだが、機械学習を応用した比較的単純だが有用なことが明らかなアプリの登場は大歓迎だ。Picturesqeはその最新の例だろう。これはアメリカとハンガリーを本拠とするスタートアップが開発した大量に写真を撮るプロ、上級者向けの生産性ツールで、AIを利用して一連のスナップからベストの写真を選び出してくれる。ユーザーは大量の不要写真をすばやくフィルターして削除できる。
このアプリはWindows版Adobe Lightroomのプラグインとして提供される(Mac版も近くリリースされる予定)。スマート・グループ機能は類似した写真を自動的にひとまとめてにしてくれる。インテリジェント・ズームは同じ対象を写した複数の写真を簡単に比較できる。ベストショットを選び出してクズ写真を削除するオプション機能もある。そして最近のAIであれば当然なのだろうが、ユーザーが利用するうちにシステムは学習してさらに賢くなるという。
Picturesqeのファウンダー、CEOのDaniel SzollosiofはTechCrunchのインタビューに対し、「プロ級写真家が頭を痛める問題は、何千枚もの写真からベストの1枚を選り分けねばならない点だ。そのために膨大な時間が必要となる。報道写真家にとっては発表までのスピードが決定的な要素だ。スポーツ、コンサート、結婚式などのイベントでも同様の問題が起きる。非常に似通った何十枚もの写真が存在することになる。そこから1枚を選びだすのは時間のかかる困難な作業となる」と語った。
このアプリは写真家専用のAIを利用して選択プロセスを大幅に短縮してくれる。「Picturesqeは似通った写真を自動的にグループ化し、美的な要素によって点数化する。これにより予備的選択が簡単になる」とSzollosiは語った。
さらに便利なことに、客観的基準からして失敗(露出不足、過多、手ブレなど)の写真は自動的にマークされ、後で一括して削除できる。いちいち写真を表示して成否を確かめる必要がないのはありがたい。
ただし現在のバージョンのPicturesqeはデジタル一眼レフで一度に大量の写真を撮影するプロ、セミプロ級写真家のためのツールだ。この点についてSzollosiは「コンパクトデジタルカメラやスマートフォンのカメラによるカジュアルな写真向けの製品ではない。われわれも将来はそうした分野をカバーすることになるかもしれない」と述べている。
Picturesqeの利用は最初の3ヶ月は無料だ。その後も利用を続ける場合は有料会費制で、月額9.99ドルまたは年額39ドルとなる。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)