IAB(Interactive Advertising Bureau)の第一回NewFrontsカンファレンスで今日(米国時間5/13)Playboyは、後ろと前の両方を向いていた。それは、集まったアドバタイザーズにCEOのScott Flandersが、“新しいマルチプラットホームなPlayboy”と呼ぶ同社の将来計画を売り込んだときのことだ。
“Playboyのイベント”、というと、誰にも一定の先入観があるだろう。でも今回は、カンファレンスのステージに登場したそのほかの数十社のデジタルメディア企業のプレゼンとあまり変わらない。彼らの上位の話題は、共通して、ブランドを訴求できるコンテンツ、ミレニアル世代、そして“ブランドの大使(ブランドアンバサダー)”だ。
Playboyの場合、それも当然で、同社は2014年にWebサイトからヌードを一掃し、印刷版の雑誌もその後それに倣った(今でもきれいな女性の写真は載っているが、それらは職場で見ても比較的安全なものばかりだ)。
ステージでスピーチしたPlayboyの役員たちによると、方針変更以降Webサイトの訪問者はそれまでの5倍に増え、また平均年齢は47歳から31歳へと下がった。
いくつかの点で、PlayboyはViceと肩を並べたいようだ。NewsFrontsで発表された将来計画の中には、ミレニアル世代をねらった大量のドキュメンタリーやライフスタイル企画がある。たとえばJournalistaはYoonj Kimによるドキュメンタリーシリーズ、House of WarisはWaris Ahluwaliaがホストを務め、女優のNatasha LyonneやSonic YouthのKim Gordonなどをゲストに招くディナー&ディスカッションだ。
また、新たに作るPlayboy Studiosという部門は、ブランドのためのマーケティングコンテンツを作るサービスだ。今やあらゆるメディア企業が、コンテンツスタジオを自社で持ちたいらしい。
しかし、見開きヌードという定番の目玉を捨てたPlayboyは今後、何を目玉にしていくつもりか? Ahluwaliaによると、Playboyは、男性の良き人生航路を助けるウィングマン〔ゴールをアシストする〕のようなものになりたいらしい。彼によると、これからの同社の出版原則は、進歩、自由、そして探究、だそうだ。
そしてステージに出てくる人のほぼ全員が強調するのは、Playboyにはセックス以上に魅力的なコンテンツを提供していく能力が、これまでもあった、という点だ。たしかに同誌には、高名な著作家たちの作品や、その時代々々の“時の人”たちのインタビューを、載せてきた歴史がある。
完全にセックス不在のプレゼン、でもなかった。ときおりそれは、ジョークのように言及され、たとえばAhluwaliaは、コンテンツのブランド化を“マーケティングの媚薬”のようなもの、と言ったりした。また将来計画の中にはSex and Relationships Index(性と人間関係指数)と題されたシリーズがあり、それはミレニアル世代のために改定した“キンゼイ報告”だ、という。
おっと、最初の方に出てきたブランドアンバサダーとはなんだろう? 実はそれはPlayboyのプレイメイトたちのことで、プレゼンのときにはいなかったが、終わってから来場者の中に混ざりこんだ。
そしてたしかにPlayboyは自己改革の必要性に迫られてはいるが、ブランド化コンテンツ部門のトップHugh Garveyによれば、Playboyは今でもグローバルなブランド認知率が97%と高い。世界の人口の97%は、Playboyが何たるかを知っているのだ。
“われわれはこれまで、良い人生について書いてきた。今度は、それをまたやろうとしてるんだ”、と彼は語る。