最近のマーケターのほとんどは、ターゲットを絞ったコミュニケーションを顧客に送信する方法を知っており、役立つツールもたくさんある。だがパーソナライズされたメッセージを社内で送信するとなると、選択肢はそれほど多くない。オーストラリアを拠点とするアーリーステージのスタートアップであるPyn(ピン)はそれを変えたいと考えており、現地時間5月28日、800万ドル(約8億8000万円)のシードラウンドを発表した。
Andreessen Horowitzが投資をリードし、Accel、BambooHRの共同創業者であるRyan Sanders(ライアン・サンダース)氏、Atlassianの共同創業者で共同CEOのScott Farquhar(スコット・ファクファー)氏が参加した。
最後の1社は偶然ではない。Pynの共同創業者でCEOのJoris Luijke(ジョリス・ルイク)氏は、Atlassianで人事を担当し、後にSquarespaceや他の会社でも人事を担当した。同氏は、社内コミュニケーションにおいてターゲットを絞ったメッセージを提供するという一般的な課題に気づいた。
「私はプロフェッショナルとしてのキャリアを通してこの問題に取り組み、人々が受け取るメッセージをパーソナライズしようとしてきました。つまりそれがPynが行おうとしていることです。ひと言でいえば、私たちは従業員のコミュニケーションを根本からパーソナライズします」とルイク氏は説明する。共同創業者であるJon Williams(ジョン・ウィリアムズ)氏は、従業員体験管理プラットフォームであるCulture Ampの共同創業者だった。同氏は2011年にCulture Ampの立ち上げを支援した(同社は1億5000万ドル、約165億円以上を調達した)こともあり、2人はこのアイデアに没頭した。
彼らはWorkday、BambooHR、Salesforce、Zendeskなど、企業がすでに使用している既存システムの情報を利用し、Pynにパーソナライゼーションをもたらした。そしてマーケターがさまざまなタイプの情報を活用してパーソナライズされたメッセージを顧客に送るのと同じように、彼らは既存システムのデータを利用する。
つまり、すべての人に関係があるわけではないのに社内の全員が受け取る電子メールを削減し、受信する人にとって本当に重要なメッセージを送信できるということだ。また、マーケティングコミュニケーションツールと同様に、メールを開いた人の数がわかるため、目的を達成できたかどうかを確認できる。
a16zのゼネラルパートナーであり、今回の取引のリードインベスターでもあるDavid Ulevitch(デービッド・ウレビッチ)氏は「Pynは組織全体の文化の構築とポリシーの設定に役立つ、カスタマイズ可能なコミュニケーション資料のライブラリーも提供しています」と指摘する。「Pynはまた、従業員のコミュニケーションチャネルを『レール』として扱います。レールの上で、管理のためのプレイブックのライブラリーを提供することにより、組織全体を管理することができます」と同氏は投資を発表したブログ投稿で述べた。
2019年に立ち上げられたこのスタートアップには現在10人の従業員がおり、チームはオーストラリアとカリフォルニアのベイエリアで働いている。ウィリアムズ氏によると、チームの半分はすでに女性であり、会社を拡大するにあたり多様性を最優先とする計画だ。
「ジョリスは『ラディカルなパーソナライズ』が私たちのマントラだと言っています。これを組織に当てはめると、つまり実際にはインクルージョン(包摂性)に関わることです。私たちが1人1人のニーズに応えたいなら、それを理解する必要があります。ですから、私たちにとって多様性は極めて重要です」とウィリアムズ氏は語った。
同社は顧客数の詳細を開示していないが、Shopify、Rubrik、Cartaを初期の顧客として挙げている。創業者らによると、2020年のパンデミックで多くの関心が寄せられ、頻繁で意味のあるコミュニケーションがさらに重要になったという。
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画像クレジット:Muqamba / Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi)