近年国内でも市場規模の拡大と合わせて様々な企業が参入している恋活・婚活マッチングアプリ業界。国内にまだ文化が根付いていなかった2012年に「Omiai」を立ち上げ、現在に至るまでサービスを拡大してきたネットマーケティングは業界の先駆者のような存在と言えるかもしれない。
そのネットマーケティングが6月から新たなサービスを始めているのは知っているだろうか。
今回紹介するデーティングアプリ「QooN(クーン)」がまさにそれなのだけど、ネットマーケティング代表取締役社長の宮本邦久氏が「欧米の市場の伸びなども踏まえると、何年後かにはOmiaiを超える規模のサービスになるかもしれない」と期待を寄せるサービスだ。
6月28日に先行リリースしていたAndroid版に続き、7月26日にはiOS版の提供もスタート。これから日本のデーティングアプリ市場の開拓に向けて、本格的に力を入れていく。
安心かつ安全なデーティングアプリで新たな市場の開拓へ
日本に比べて早くからオンラインマッチングサービスが普及してきたアメリカでは、「Match.com」を始めとする恋活・婚活マッチングアプリに加えて、より気軽に相手を探すことのできるデーティングアプリが盛り上がってきている。
その代表が特徴的なUIでおなじみの「Tinder」。一般的なマッチングアプリが長期的な交際や結婚を見据え、年齢や身長、収入、趣味などの条件で異性を検索するのに対し、デーティングアプリはもっと敷居が低い。Tinderがそうであるように、顔写真と簡単なプロフィールから直感でスワイプをして繋がるのが特徴だ。同サービスの累計マッチング数は200億件に及ぶ。
ネットマーケティングが運営する2つのサービスの関係性もこれと同様だ。Omiaiが恋活・婚活マッチングアプリ、新しく始めたQooNがデーティングアプリに該当する。
QooNのベースとなる機能はTinderに近く、表示される異性の写真を左右にスワイプすることで気軽にアプローチできるというもの。ここにOmiaiの運営を通じて培ってきた安心面や安全面を担保するための機能と、スピーディーに相手と出会えるための仕掛けを取り入れた。
具体的には身分証明書の提出に基づいた厳格な年齢確認と本人確認を始め、24時間365日のメッセージ監視、不正ユーザーの強制退会処分、ユーザーからの違反申告機能といった仕組みを採用。Omiaiと同水準の環境を整えているという。
QooNの独自機能としてはデートに直結することを重視して、直感スワイプのQooNモードに加えて「Qdish(キューディッシュ)「Qtoday(キュートゥデイ)」という2つのマッチング方法を提供する。
Qdishは相手にアプローチする際に、初回のデート先候補として飲食店を一緒に提案するというもの。飲食店のチョイスによって相手の好みや性格などマッチングの参考になる情報がわかる上に、マッチング時には初回のデート先が決まった状態なので会うまでの流れもスムーズだ。
この点はちょうど昨日紹介した「Dine」とコンセプト的に似ている部分もある。ただ詳細を見ていくと、Dineが選べる飲食店を絞っている一方でQdishの場合は全国のさまざまな店舗が対象になっていることを始め、思想や細かい機能面では違う点も多い。
もうひとつのQtodayは当日出会える相手とマッチングする機能。「今日の時間を持て余している人は多い。その人たちが自分の空き時間を上手く活用できるもの」(宮本氏)であり、マッチングしたその日にすぐ会うため、デートまでの間隔が短いのも特徴だ。
またマッチングできるのは21時まで、メッセージのやりとりは22時まで、デートの終了時刻は23時までといった深夜帯での時間制限を設定。Qdishと同じく事前に飲食店を指定して会うような仕組みもある(これについては男性から場所を指定して女性にきてもらう場合)。
「(サービスの性質上)Qtodayは一見不安なイメージをもたれる可能性もある。安心かつ安全なサービスにする上で、たとえばデートは何時に終わるのか、女性に来てもらう場合にはどのお店で会うのかまで前もって決めておくことを必須にしている」(宮本氏)
なお飲酒の可能性を排除する目的で、QdishとQtodayは未成年の利用が不可。また登録とデート相手探しは無料で、カップル成立後のメッセージ送信については男性のみ有料となる。1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月単位で購入でき、1ヶ月プランの場合だと税込で3800円だ。
OmiaiとQooNでマッチングサービス国内No.1目指す
宮本氏によると、実は2016年からデーティングアプリへの参入を真剣に検討していたという。上述したようにアメリカを筆頭に世界では恋活・婚活マッチングアプリに加えてデーティングアプリが急速に成長。2015年頃には本格的に新しい潮流が生まれていることを感じ、ここ数年間のホットトピックスとして捉えていたそうだ。
「この2年間は日本でデーティングアプリの市場を切り開いていくにはどのような仕様が適しているのか、ずっと社内で温めてきたと同時に参入のタイミングを図っていた。その中で去年頃から今年にかけて、当社も含めFacebookのアカウントを利用したマッチングサービスが、非Facebookユーザーに対してもサービスを解放する動きが業界内で広がり始めたことが大きい。デーティングアプリは広く全ネットユーザー向けに使われるものだと感じていたので、今がベストタイミングだという結論に至った」(宮本氏)
今後ネットマーケティングではこれまで運営してきたOmiaiと今回リリースしたQooNの2ブランドを通じて、マッチングサービス国内No.1を目指していく方針だ。
6年の歳月を経て少しずつ認知度を高めてきたOmiaiの有料会員数は、2018年3月末の時点で約4万7000人。メインターゲットとなる20〜30代の男性だけでも日本には約1400万人存在し、それを踏まえると「まだまだ少ない」(宮本氏)状態で、市場の伸びとともに今後さらに成長が見込めるという。
「一方で海外の市場を見て入れば、デーティングアプリが恋活・婚活マッチングアプリ以上の規模になってきている。(日本でも)ゆくゆくはデーティングアプリがマッチングサービス全体の中で1番大きなシェアを占めるようになると思っている。QooNはその先導を切れるようなアプリにしていきたい」(宮本氏)