日本のeコマースの巨人、RakutenはAmazonやAlibabaと対抗できるようなグローバル・パワーを目指している。今日(米国時間10/22)、イギリスで自社ブランドのオンライン・マーケット、 Rakuten.co.ukをオープンした(プレスリリース)。この市場では楽天自身とサードパーティーの小売業者が多様な商品を販売する他、Koboの eブックやWuakiビデオ・ストリーミング・サービスも提供される。
なお同時に2011年に4000万ドル弱で買収したPlay.comブランドは閉鎖された。
書籍、ガジェット、各種デジタルコンテンツに加えてRakuten.co.ukは食品、飲料、健康、美容、医療、ペット用品などを販売する。Amazonに対抗しておそらくおもちゃや生鮮食品の取り扱いも始めるものとみられている。
Rakuten.co.ukをローンチした理由はわかりやすい。楽天はこれまで主として買収を通じてヨーロッパに進出してきた。それがある程度進展したので楽天ブランドのもとに戦略的統一を図ることにしたものと考えられる。これまで楽天はPlay.comの他にFranceのPriceMinisterを2010年に(2億5000万ドル)、ドイツのTradoriaを2011年7月に買収している。また特定分野では、eブックのKobo、スペインのビデオ・ストリーミングのWuaki、メッセージ・アプリのViber、クラウドソースのビデオ字幕サービスのVikiを買収している。
楽天はアメリカでも買収したBuy.comブランドを閉鎖し、Rakuten.comに衣替えした。Buy.comはURLとしても大いに価値があるブランドだったが、楽天は短期の損失には目をつぶって長期のブランド確立を重視したわけだ。
またこの楽天ブランドへの統一は単に規模の経済を追求する一環でもありそうだ。たとえば今年末まで、傘下の全サービスを通じた支払システムを稼働させる計画だという。また「スーパーポイント」と呼ばれるポイント還元システムもブランドの統合によって、たとえばキャットフードを買ったときに付与されたポイントでWuakiの映画を見るというような使い方ができるようになった。
楽天はAlibabaに比べると規模でははるかに小さい。現在の時価総額はAlibabaの2210億ドルに対して150億ドルにすぎない。しかし野心はAlibabaに決して劣らないようだ。
楽天は最近もアメリカでショピング・ポイント・サービスのEbates(10億ドル)とショッピング履歴モニターのSliceを買収している。
しかし楽天のライバルはAmazonやAlibabaばかりではない。今日(米国時間10/22)、SoftbankはベンチャーキャピタルのSequoiaと共同でインドネシアのAmazonスタイルのオンラインマーケット、Tokopediaに10億ドルを投資した。SoftbankはインドのSnapdealにも6億5000万ドルを投資したと報じられている(この件に関してはさらに取材中)。
それでは楽天が新たに進出した地域でeBayやAmazonに対抗して成功を収める策はあるのだろうか?
楽天独自の「eコマース・コンサルタント・サービス」はその一つだろう。楽天によれば、これは楽天に出展するマーチャントに対してコンサルティングを行うユニークはサービスだという。楽天によればその目的は「われわれのマーチャントの成功を助けるため、各種のサポートとガイダンスを行う」ことだという。楽天への出店者はこのサービスによって「楽天プラットフォームについて深い知識を得ることができ、また強力なツールの利用法を学び、成功のチャンスを最大化できる」のだという。通販業者は月極めでこのサービス(と同時に楽天市場への出店)を契約できる。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)