Reach CapitalによるEdTech投資好調の内訳

Reach Capital(リーチ・キャピタル)は、Jennifer Carolan(ジェニファー・キャロラン)氏とShauntel Garvey(ショーンテル・ガービー)氏が共同設立したサンフランシスコ拠点のベンチャーキャピタルで、教育分野にユニコーンが続出する何年も前からEdTechだけに焦点を絞ってきた。珍しい女性主導のVC会社は2021年2月、同社にとって3つ目のファンドを組成し、過去最大規模となる1億6500万ドル(約131億3000万円)のビークルを作った。そしてこれまでのファンドのリターンを見ると、今再活性化されているこの分野への先行投資が実を結んでいることがわかる。

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Reach Capitalの2番目のファンドは、2017年に完了した8200万ドル(約90億1000万円)のビークルで、2021年第2四半期時点の純内部収益率(IRR)72.1%を計上した。TechCrunchが入手したLP(有限責任組合員)向けデータによる。ファンドの投資先は、Paper(ペーパー)、Winnie(ウィニー)、今やユニコーンとなったHandshake(ハンドシェイク)とOutschool(アウトスクール)などで、同期のファンドのトップ25%よりも2桁パーセンテージポイント上位にランクされた。Cambridge Associates(ケンブリッジ・アソシェーツ)のデータによると、同四半期の同期のファンドトップ25%の純IRRは47.64%だった。

一方、Reach Capitalの最初のファンドは、組成された2015年の同期ファンドのトップ25%より2桁ポイント低かった。

Reach Capitalの2番目のファンドのリターンが、主としてペーパーゲイン(会計上のみの収益)であり、純IRRは企業価値の上昇に基づいていることに注意されたい。このVCが後続ラウンドに重きを置いている事実を踏まえると、そのIRRはある瞬間の業績を切り取ったスナップショットだ。最近Reachは、初のキャッシュ・イグジットを行い、投資先企業であるEllevation(エレベーション)がCurriculum Associates(カリキュラム・アソシエーツ)と合併したが、上記データには反映されていない。

花開くスタートアップの数々は、Reach IからReach II にかけての実績が改善された理由を説明できるかもしれない。インパクトレポートによると、Reach IIは3200万ドル(約35億2000万円)を14の主要企業に投資した。Newsela(ニューセラ)、Handshake(ハンドシェイク)、Outschool(アウトスクール)をはじめとするすべての投資先が企業価値10億ドル(約1098億8000万円)を超え、ユニコーンになっている。同VCはPaperにも資金を投じ、最近同社はIVPのリードで9桁(1億ドル)ラウンドを完了した。これらの企業に早くから目をつけ、EdTechブームの勢いに乗るところを見守ってきたことで、Reachの立ち位置が検証された。

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Reach IIのポートフォリオの多様性は業界標準を超えているが、それでもファウンダーは白人男性に偏っている。投資先の約74%は男性が設立した企業で、女性が設立した企業は26%であるとレポートにかかれている。ファウンダーの約62%が白人、20%がアジア系、14%がラテンアメリカ系、4%が中東系を自認している。Reach Capital IIのポートフォリオに黒人ファンダーはいない。

Reachの見事なリターンは、ベンチャー投資が大きなブームだった時に起こった。多くの投資家とファウンダーは、リターンが同時期のシード・ステージ・ファンドとして魅力的かどうかを陰で話し合っていた。ある投資戦略家は、この環境下ではまったくないわけではないものの、リターン・パーセンテージは「クレイジーな高さ」だと言っていた。

「上位25%はもちろん、おそらく上位10%に入るでしょう」とその人物はいう。「暗号化分野は別で、それと比べればごく普通ですが」。別のシードステージ投資家は、Fred Wilson(フレッド・ウィルトン)氏の最近のブログ記事、「Cash on Cash vs IRR」(キャッシュ・オン・キャッシュ vs IRR)を挙げて、ファンド実績データが保有期間によって歪められる可能性を示唆した。

それでもReachのリターンは、VC業界で最も多様なパートナーシップが、スタートアップ世界で最も再活性化されている分野で実績を上げていることを示す印象的な事例だ。提出書類によると、Reachは5000万ドル(約54億9000万円)のオポチュニティファンドのために資金を調達している。同社は最近大規模な雇用も進めており、Cowboy Ventures(カウボーイ・ベンチャーズ)のJomayra Herrera(ジョメイラ・ヘレラ)氏をパートナーに、EdSurge(エドサージ)の Tony Wan(トニー・ワン)氏をインベスター・コンテンツ責任者にそれぞれ就任させた。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

この1年で急激に変化する教育に特化した3つめのファンドをReach Capitalが組成

Shauntel Garvey(シャウンテル・ガービー)氏と Jennifer Carolan(ジェニファー・カロラン)氏は、EdTechがヒートアップする前からこの部門が好きだった。2人は2015年に5300万ドル(約55億5000万円)の初ファンドを組成し、Reach Capital(リーチ・キャピタル)を共同で創業した。サンフランシスコ拠点のベンチャーファームであるReach Capitalは以来、Newsela、Sketchy、ClassDojo、Outschoolといった教育スタートアップに出資し、これまでに出資企業6社がイグジットした。

そして現在、新型コロナウイルスのためにポートフォリオ企業は増え、Reach CapitalはEdTechスタートアップ支援を目的とした3つめのファンドを発表した。Reach Capital IIIは1億6500万ドル(約172億円)のファンドで、同社のものでは最大規模となる。Chian Gong(チアン・ゴン)氏、Wayee Chu(ウェイー・チュー)氏、Esteban Sosnik(エステバン・ソスニック)氏を含むReachのチームは2020年夏に投資ビークルの資金調達を開始した。ファンドの新規LPにはSesame Workshop、National Geographic、Kaiser Foundation Hospitals、Goldman Sachsなどが名を連ねる。

Reach Capitalのチーム(画像クレジット:Reach Capital)

Reachはファンドの半分をスタートアップへの追加投資のために取っておき、残り半分を純新規投資に振り向ける計画だ。Reach Capital IIIを通じてスタートアップ20社に投資し、各ディールで15%保有を目標とする。

EdTechは2020年の世界のベンチャーキャピタル投資において100億ドル(約1兆500億円)超のマーケットとしてランクインした。しかし学生、親、教師にとって過去12カ月は急上昇というより慌てふためく日々だった。Reachそして他のベンチャーファームも、至難の技だがめちゃくちゃになった教育を変えることができそうなスタートアップに投資する機会を得ている。

Reachに加わる前、シカゴの公立学校で7年間教壇に立っていたカロラン氏は、全教育システムの再建がさらなるイノベーションとチャンスのためにドアを開いた、と話した。

「保護者がリモート学習で経験していることは、長期にわたるEdTech分野への過小投資の結果でした。目的を達成することを受け入れた企業は細分化され、プロダクトの多くが実行できるものではありませんでした。プロダクトの大半はホームスクールマーケット向けに構築され、学校向けに再利用されていました」と同氏は話した。今、学校で1対1のテックインフラが整い、より多くの生徒がデジタルデバイスを持っているという事実に同氏はチャンスを見出している。

「教育への投資が、こんなにもエキサイティングだった時期はかつてありませんでした」とも同氏は述べた。Reachは幼少期からK-12(幼稚園〜12年生)、大学生の学習に至るまで、EdTechのサブセクターの企業を支援する計画だ。同社はまた、従来の教室コンテンツ以外の教育機会である、多くの投資家が賭けている生涯学習への投資にも手を広げる。

ReachはEdTech企業の支援に特化している数少ないベンチャーキャピタルの1社だ。同業他社としては2020年9月に2つの投資ビークルで5億8500万ドル(約612億8000万円)をクローズしたOwl Ventures、2020年12月に1億3200万ドル(約138億3000万円)をクローズしたLearn Capitalがある。

「パンデミックは教育分野におけるソフトウェアマーケットを開き、我々はその開始時点にいます。教育は『10人の指導コーチを雇おう』から『指導をするソフトウェアを受け入れよう』に移行したのです」とカロラン氏は話した。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Reach Capital教育

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi