米国での電子タバコ批判は、中国企業の世界最大の電子タバコ市場(BBC記事)ヘの参入を思いとどまらせるものではないようだ。
中国最大手の電子タバコ企業、Relx(リラックス)は、2021年末までに米食品医薬品局(FDA)に発売前タバコ製品申請(PMTA)を提出することを目指している。審査は180日以内に終了し、FDAはマーケティングの承認、さらなる情報提出の要求、却下いずれかの「アクション」を取る。
RelxはFDAに対し提出前のミーティングを要望し、10月にも当局と話し合いの場を持つ、と創業2年の同社の北米科学担当責任者Donald Graff(ドナルド・グラフ)氏は述べた。同氏は先日深センで開催されたプレスイベントでビデオで登場した。
グラフ氏は臨床研究企業のCelerion(セレリオン)で13年間タバコ研究を監督したのち、Juuls Labs(ジュール・ラボ)にもわずかの間在籍した。
同氏はいま、RelxでPMTAを担当している。Juuls出身のもう1人の科学者、Xing Chengyue氏も中国の電子たばこ業界に加わり、自前のスタートアップMyst(ミスト)を創業した(未訳記事)。
PMTAは、米国で販売される前に「公衆の健康保護に適切」と認めてもらうための広範にわたる細々としたことが多い、またコストもかかる官僚的な手続きだ。世界の電子タバコ製造ハブである深センに本社を置くRelxはこの申請手続きのために、サードパーティのコンサルサービスや申請に必要なデータを取るための臨床試験を行うパートナーなどを含む専属のチームを設置した。
米国マーケットで現在事業を展開するすべての電子たばこ企業は今年9月10日までにPMTAを提出する必要があった。これまでにFDAにマーケティング承認を受けた製品はない。
PMTAにかかるコストの高さは、中小企業の米国マーケット参入を阻んでいる。しかしRelxは費用を賄う財政的余力がある。同社はプロセスにかかるコストは2000万ドル(約21億円)を超えると予想している。Relxが委託したNielson(ニールセン)の調査では、4月時点でRelxは中国の電子タバコ市場のシェア70%を握っていることが示された。
電子タバコに伴うリスクが世界中の当局の注意を引くにつれ、Relxは電子タバコの公衆の健康への影響を調べる研究に資金を注いできた。今週あったイベントで、CEOのKate Wang(ケイト・ワン)氏は、同社がフォーカスしているものとして繰り返し「科学」を強調した。同氏は中国の主要テック企業では珍しく女性の創業者であり、以前はUber Chinaのゼネラルマネジャーだった。
同社は最近、深センに生物科学ラボを開所した。生体そして試験管でのテストを通じてRelxの電子タバコの影響を測定し、また臨床前安全評価を行う。
従来タイプの喫煙から電子タバコへの切り替えのメリットを証明するための取り組みを続けているにもかかわらず、Relxとライバル企業はさまざまなマーケットで規制の変更に直面している。トランプ政権はフレーバー付きの電子タバコを昨年禁止した。なお、RelxはFDAの審査にフレーバーが付いていない製品を提出する計画だ。一方、インドは若年層の健康に悪影響を及ぼすとして電子タバコ自体を禁止した。
変わる規制にどのように対処するのかイベントで尋ねられたRelxのCEOは「当社はさまざまな国の当局と良い関係を保っている」と述べた。
「まだプロセスの最中である物事について結論を下すことはできない」と話し、電子タバコ業界が初期段階にあることに言及した。
画像クレジット:Relx’s new bioscience lab in Shenzhen / Relx
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(翻訳:Mizoguchi)