企業がその複雑なマイクロサービス方式のソフトウェアスタックの、インシデントに対応しようとすると、サイトリライアビリティエンジニア(SREs)が登場して問題を処理し、すべてがうまくいき、アプリケーションが立派に動くようにする。そして、新登場した初期段階のスタートアップRootlyは、Slackの中にインシデント対応ソリューションを作ってその処理を助ける。
米国時間7月8日、同社はステルスを脱して320万ドル(約3億5000万円)のシード投資を受け取った。そのラウンドはXYZ Venture Capitalがリードし、8VCとY Combinator、そして数名のテクノロジー企業の役員たちが個人で参加した。
Rootlyの共同創業者でCEOのQuentin Rousseau(クエンティン・ルソー)氏によると、同氏はSREを、Instacartで初めて経験した。彼が入った2015年は、同社の1日のオーダーが数百程度で、彼が去る2018年には数千になっていた。しかしそれだけスケールしてもアプリがダウンしないようにすることが、彼の仕事だった。
Instacartにいたときに、多くの人が問題に対応する際、一定のパターンがあることに気づいた。辞めてからの彼はサイドプロジェクトとして、インシデント応答処理をSlackの中でコントロールすることに取り組んだ。彼が見つけた共同創業者のJJ Tang(JJタン)氏は、ルソー氏が2018年に辞めた後のInstacartで仕事を始めていた。そして2人はSREsがインシデントへの対応をめぐって直面するユニークな問題の解決を助ける、Rootlyの創業を決心した。
「要するに私たちは、多くの人がSlackの中で直接、インシデントを管理、解決できるようにしたかったのです。その上に複雑な別のレイヤーを置きたくはなかった。既存のさまざまなツールはそれでなくても多いのですが、混乱状態になって問題が炎上したらできるだけ早く解決にフォーカスしたいものです。そこで、Slack体験にフォーカスするのが良いだろうと考えました」とルソー氏は説明する。
SREsたちはRootlyのソリューションを使って、Slackの中でいろいろなツールにすばやくコネクトする。それはJiraかもしれないし、ZendeskやDataDog、あるいはPagerDutyかもしれない。そして、インシデントの解決をめぐってSlackの中で交わされている会話に基づいて、バックグラウンドでインシデントレポートを編纂する。チームがインシデントの解決後にミーティングをするとき、それが役に立つ。
同社はまだ小さくて、10人足らずだが、シード資金を得たため2022年は技術者も営業も増やしたいと考えている。
タン氏によると、同社の企業文化の中心にあるのがダイバーシティであり、XYZ Venture CapitalのマネージングディレクターであるRoss Fubini(ロス・フビニ)氏のような投資家と仕事ができるのも、そのおかげだという。アジア系米国人であるタン氏は「ロス氏をリード投資家として選んだのも、そのためです。彼の企業はファンドとしてダイバーシティに力を入れているだけでなく、ポートフォリオ企業への影響も考えています」という。
フビニ氏によると、多様性に富む企業を作るためには、雇用のレベルでそれを目指すだけでなく、雇用後、マイノリティーの人たちが自分が歓迎されていると感じられるような環境を作ることが重要だという。「Rootlyとの初期の会話からわかったのは、多様な人材から成るグループを作るだけでなく、企業は多様な人材がいることを有利に生かせるという観点も必要だということです。だから、彼らにとって魅力的な企業であるだけでなく、彼らが、ここが自分の場所だと感じられるような企業環境を作っていかなければなりません」とフビニ氏は語る。
同社は現在、完全にリモートで、ルソー氏はサンフランシスコ、タン氏はトロントだ。計画ではオフィスを完全に再開できるまではリモートで行う。なおルソー氏とタン氏は今、Y Combinatorの育成事業に参加している。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Rootly、Slack、インシデント、サイトリライアビリティエンジニアリング、資金調達
画像クレジット:Alina Naumova/Getty Images
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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)