臨床試験への参加を増やすことでオーダーメイド医療研究をサポートするという広範なミッションを持つスタートアップSano Genetics(サノジェネティクス)がシードラウンドで250万ポンド(約3億5000万円)を調達した。
本ラウンドはEpisode1 VenturesがリードしSeedcamp、Cambridge Enterprise、January Ventures、その他欧州と米国を拠点とするエンジェル投資家が参加した。
調達した資金の一部は、新型コロナウイルス感染症を長く患っている3000人を対象とした無料在宅DNAテストキットの費用に充てられる、とSano Geneticsは話す。またテックプラットフォームの開発に投資し、チームの規模も拡大する。
大学院生としてゲノム学を学んでいたケンブリッジ大学で知り合ったCharlotte Guzzo(シャーロッテ・グゾー)氏、Patrick Short(パトリック・ショート)氏、William Jones(ウィリアム・ジョーンズ)氏によって2017年に創業されたSano Geneticsは、患者が医学研究や臨床試験に参加できるようにする「プライベートデザイン」テックプラットフォームと呼ぶものを構築した。ここには、在宅遺伝子検査の機能が含まれ、またいくつかの硬化症、強直性脊椎炎、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、潰瘍性大腸炎の研究をサポートし、2021年後半のアジェンダにはパーキンソン病のための研究プログラムもある。
「医学研究に参加する人にとって、そのプロセスはユーザーフレンドリーではありません」とSano GeneticsのCEOであるショート氏は話す。「通常、利他的であること以外に参加者にとってメリットはほとんどなく、参加は難しく、また時間もかかります。そして取り扱いに注意が必要な自身の遺伝子や医療の情報のプライバシーを懸念しています」。
「そのためバイオテクノロジー、製薬、学術研究の研究者にとって研究参加者を引きつけて維持するのはとても困難で、かなりの費用と時間がかかります。特に正確な遺伝子治療に関する研究では、遺伝子テストはヘルスケアシステムでは日常的に行われるものではないために『適切な』患者を見つけるのはさらに難しくなります」。
これを解決すべく、Sano Geneticsはプラットフォーム経由で適切な患者を研究にマッチさせる。そして在宅遺伝子テストを受けられるようにし、プロセス全体を通して参加者を案内することで参加を簡単にしている。
「システムは、ユーザーが自分のデータで何が起こるのかを正確に知ることができるようデザインされていて、当社は参加者に自身のデータを管理する簡単な方法を提供します」とショート氏は説明する。「参加した研究についてのアップデート、そして遺伝子レポートを含むパーソナライズされた無料のコンテンツ、当社のブログ上で他の参加者の話しを提供することで、ユーザーが研究プロセスに関われるようにします」。
エンドユーザーは慢性あるいは稀な病気を抱えている人となり、自身の役に立つ研究に参加するため(たとえば臨床試験を通じた新しい治療へのアクセスなど)、または自身と同じような患者を助けるために同プラットフォームを使う。
一方、Sano Geneticsmは研究に適した患者を見つけるための料金をバイオテック会社や製薬会社に請求することで売上を上げる。「典型的な研究は、セットアップ料金、当社の在宅遺伝子テストと分析で発生する料金、研究に興味がある適した患者の紹介にかかる料金で構成されます」とショート氏はつけ加えた。
カテゴリー:バイオテック
タグ:Sano Genetics、資金調達
画像クレジット:Sano Genetics
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(翻訳:Mizoguchi)