“重要で画期的な技術”への投資育成を行う非営利団体Xprize財団の最新の懸賞課題700万ドルは、海洋の地図作成技術を前進させたチームに与えられる。ただしオーシャンディスカバリー担当シニアディレクターJyotika Virmaniによると、今回の懸賞は前回のように海の汚染解消を目的とするものではない。
今回の企画の目標は、汚染をはじめ、海洋の現状をそのまま捉えることにあり、Virmaniによると、海のありのままの姿を理解することが重要な目的の一つだ。彼女によると、とくに海底の探検は、ほかの分野の進歩にも寄与する。たとえばカリブ海の海綿は、HIVの治療薬などさまざまな医薬品の開発に利用されている。
“今や地球上の海底の地図よりも火星の地図の方が充実している”、と彼女は言う。彼女曰く、よく言われるように、“海洋の95%は未踏査”なのだ。
Virmaniによると、海底の地図作成を阻んでいる大きな要因のひとつが、費用だ。したがって今回の懸賞には、海中海底探検の低費用化という課題も含まれる。たとえば岸壁から発進させる無人機なら、探検用の船舶を必要としないだろう。
この懸賞は、チームの登録受付期間が9か月、その後の初期的開発が12か月、さらに現用試験が18か月というものだ。優勝賞金の500万ドルと準優勝の100万ドルは、もっとも解像度の高い地図を作成したチームに行く。またデバイスの自律性自動性性能や探査深度などの要素の、達成基準もある。
第二ラウンドまで進めた全チームに、100万ドルが分与される。また国のお役所である海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration, NOAA)からは、特定の探査目的を達成したチームに100万ドルが授与される。
今回の懸賞の正式のタイトルは、Shell Ocean Discovery Xprize、Shell石油がスポンサーだ。石油企業は、パイプラインの安全な点検のために詳細で正しい海底地図を必要とする。ただしXprizesの懸賞では一般的に、スポンサーは審査に介入しない。