地域農家の市場をディスラプトしようとする、創業6年目のFarmigoが、シリーズBで1600万ドルを調達した。
ファウンダでCEOのBenzi Ronenによると、同社は農家のためのソフトウェアデベロッパとしてスタートしたが、消費者が新鮮な農産物を入手できるマーケットプレースと、そのための地域の“食べ物コミュニティ”の育成に関心が移行した。地域の学校や企業も、そのコミュニティの核になりえる。Farmingoは2011年の本誌TechCrunch主催スタートアップコンペDisruptで、プロダクトの一つをローンチしている。
Ronenによると、このコミュニティスタイルのマーケットプレースは、従来の農家の市場に比べて生産者と消費者の両方にとって便利である。従来の市場構造では、地域の農作物を農家の近隣地域の人たちが買えないことが多い。遠くまで毎週買い物に行くのは、時間的にたいへんである。また、よくある、地域農業そのものをコミュニティがサポートする事業では、各週の限られた生産物を、消費者がむりやり買わされるパターンになることが多い。それに比べるとFarmingo方式は選択の幅が大きい、とRonenは主張する。
フードテックのスタートアップでは、InstacartやBlue Apronのように大きな成功例もあるが、でもRonenによると、農家と食卓を結びつける事業は歩みが遅い。たとえばGood EggsとGrubMarketはともに、最近サンフランシスコの外での操業を中止した。彼らは、ビジネスモデルを再考するつもりだ。
問題は、農家から食卓へを謳う企業が、“サプライチェーンの全体を再発明しようとしていること–しかもそれはデジタルでなく物理的な作業だから、とても難しい”、とRonenは言う。〔しかも商品が長中期在庫不可能な生鮮食品で、供給量の限られたローカルブランド。〕
Farmigoのビジネスモデルがうまくいっているのは、食べ物コミュニティがイコール、流通システムでもあるからだ。これまでのように、スタートアップの企業自身が個々の顧客へ農産物の配送配達をしない。またFarmingoではテクノロジの力でその過程をより効率的にしている。
“うちは要するにエンドツーエンドのERPシステムであり、サプライチェーンのすべての要素をチェックしている”、とRonenは語る。“在庫(品物、量)も正確に分かるし、どんな注文があり、そのどれどれがパックされたかも分かる。ドライバーはソフトウェアを使ってそれらのデータを知り、どこで何を集荷すべきかを知る。過去6年のうちの仕事らしい仕事といえば、このソフトウェアを作ることだった”。
Farmigoの現在のサービス供用地域は、ニューヨーク(市)とニュージャージー州とカリフォルニア州北部だ。10月14日にはシアトル-タコマ地区が加わる。Ronen自身は2年前に、サンフランシスコからニューヨークへ引っ越した。同社のシステムから地域農産物を買っている世帯は15000あまりで、毎月2000ずつ増えている。
今回のラウンドは、Joe Lonsdale、Brian Koo、Jim Kimらによる投資企業Formation 8がリードし、これまでの投資家であるBenchmarkとSherbrooke Capitalが参加した。これでFarmigoの資金調達総額は、2600万ドルになった。