米国・中国間の貿易戦争がますますテック業界に影響を及ぼしている。Huawei(ファーウェイ)は主要サプライヤーの取引停止表明でこのところ窮地に陥り、そして中国最大のチップメーカーはニューヨーク証券取引所上場廃止を計画している。
Semiconductor Manufacturing International Corp(SMIC、中芯国際集成電路製造)は米国時間5月24日に発表した文書の中で、米国での15年間にわたる上場を廃止する計画を明らかにした。上場廃止するための書類フォーム25を6月3日に提出し、その約10日後にNYSEを去ることが予想される。中国政府と国有株主に支援されているSMICの上場は今後、香港のみになるが、米国預託証券(ADR)保有者のための取引は残される。
発表文でSMICは上場廃止の理由として、取引量が限定的であること、それから上場やコンプライアンス遵守に伴う、かなりの負荷とコストを挙げている。これは米国と中国の冷え切った関係に伴うもの、とは言っておらず、同社は理論的な根拠を述べている。
「SMICは上場廃止を長い間検討してきていて、貿易戦争やファーウェイの件とは関係がない。上場廃止は長期にわたる準備を要し、誤解を招くかもしれないが、たまたま現在展開されている貿易戦争とタイミングが重なった」とSMICの広報はCNBCに対し述べた。
それでも、現在の流れを無視することはできない。ファーウェイの米国のブラックリスト入りは、ARMやQualcomm(クアルコム)、Intel(インテル)、そしてファーウェイのスマホ向けにAndroid OSを提供しているGoogleを含む主要サプライヤーとの取引を停止させた。なので、故意であろうとなかろうと、SMICの米国との経済的なつながりを断つという決定は、米国と中国に二股をかけることを回避するものだ。
SMICの香港証取での株価は金曜日、4%下落した。米国預託証券の取引は金曜日100万を超え、これは1日あたり15万という90日間平均を大幅に上回る。
SMICは中国最大のチップ会社で、 クアルコムやBroadcom(ブロードコム)、Texas Instruments(テキサスインスツルメンツ)などをクライアントに抱え、集積回路の製造を専門とする。SMICの2018年の売上高は33億6000万ドルで、純利益は7億4670万ドルだった。今月初めに発表された直近の四半期決算では、売上高は前年同期比19%減だった。
中国企業が株式を公開するのに米国の証取を利用するのはいつも緊張を伴ってきた。これは米国側の見方だけではない。中国企業は、Xiaomi(シャオミ)が昨年上場した香港を含め、他の選択肢の開拓を加速させている。その一方で、間もなく創設される上海証取のハイテクスタートアップ向けの新市場が別の選択肢として熱心に誘致をかけている。
新市場は来月試験展開されるが、ロイターが先日報じているように、中国の銀行関係者やテック企業は新市場が期待通りのものとなるのは難しいとの見方をすでに示している。
イメージクレジット: Qilai Shen/Bloomberg / Getty Images (Image has been modified)
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)