映画スターウォーズ「フォースの覚醒」に出て来る愛らしい球形ドロイドのように可愛くはないが、このカーネギーメロン大学のロボットには映画の特殊効果(それもクールであることは間違いないが)以上の有益さが宿っている。そして信じられるかどうかはともかく、このロボットは基本的に可動部品をもっていないのだ。
いま、あなたはこう考えているかもしれない、「このロボットに関するCMUの記事には『2つの可動部品』と書いてあるぞ、うっかりさん」。しかし、その記事をもっとじっくり読んで欲しい(そうしてくれた人に感謝!)。その可動部品の1つは部屋の中を動き回るロボット自身だ;私たちは紙飛行機を投げたとき、それを可動部品と呼んだりはしない。そしてもう一つは、それが移動に使うボールである。そしてそのボールは上に載ったロボットとは接続されていないのだ!だから私は専門家たちの意見にもかかわらず、可動部品ゼロにこだわっている。ここでは、 私が専門家だ。
ともあれ、このロボットは実際には10年ほどかかってデザインが進化してきたものだ: Ralph Hollisが「ballbot」を創造したのはだいぶ昔のことだが、そのときは機械的に駆動されていた。それが働く方法を説明するのはとても簡単だ:マウスのボールを想像して欲しい、ただしボールが内側の小さなローラーを動かす代わりに、ローラーがボールを動かしているものを。
慎重にこれらのモータを制御することで、任意の方向へボールを回転させながら、ロボットが基本的にボールの上でバランスを保つことを可能にする。生じる問題は、マウスに起きるものと同様だ:ローラーは摩耗したり汚損したりするので、交換しなければならず、モーターは再調整されなければならなかった。
この問題に対する解決策は、マウスに対して行ったような、ボールを無くすことではなかった。その代わりにローラーを無くしたのだ。新しいバージョンでは誘導モーターが使われている。これは磁気的に球体(銅で覆われた鉄球)を、固定子を使って駆動するものだ。なお他の誘導モーターでは球体の代わりにローターが駆動されている。
これによって摩耗が減り、ボールに対する制御のレベルが増大する、なぜなら考慮しなければならない機械的な力がより少なくなるからだ。電圧を調整してやれば、ボール上の磁気力が移動させたい方向へボールを推進してくれる。オンボードシステムは、ロボットを直立させバランスをとる、そして周りから押されたときに元に戻ることができる ‐ 脚付きロボットほどではないが、それでも。
このSIMbot(spherical induction motor=球面誘導モーターから命名)は、まだ研究室内での実験レベルに過ぎないが、おそらくその全方向運動と、洗練されてエレガントな制御メカニズムは、移動に脚または複数の車輪を使用するロボットたちの羨望の源となるだろう。
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(翻訳:Sako)