クリスマスの週にはあまりM&Aが起きてはならない、と昔から言われているが、Salesforceはその通知を受け取っていなかったようで、quote-to-cash[見積・請求管理]サービスのSteelBrickを3.6億ドルで今日買収する。
SalesforceがSEC(証券委員会)に提出した8-K資料によると、買収金額は株式3.6億ドルで、SteelBrickの保有現金のうちSalesforceのSteelBrickへの投資分を除く6000万ドルが差し引かれる。
CrunchBaseによると、SteelBrickはこれまでに7750万ドルの資金を調達している。直近には4800万ドルのラウンドが10月に行われたばかりで、そこにはSalesforce Venturesからも「相当な貢献」があった。実質的に、SalesforceはSteelBrickの発展と成長のために大金を払った挙句に、結局買収したことになる。
私は10月の4800万ドル投資の記事で、SteelBrickの事業をこう説明した:
Quote-to-cash[見積りから入金まで]とは、その名が示すように、販売サイクルの一部を指し、興味を持った顧客を得た段階以降を引き受けるサービスだ。Salesforce.comやMicrosoft DynamicsのようなCRMツールが、基本的な顧客情報を維持する手段を提供するのに対し、SteelBrickのようなサービスは、見積りを作り、顧客が購入を決めたら契約書に署名し、契約が成立したら請求の面倒も見る。
なお、SteelBrickのソリューションにはInvoiceITを利用した請求書発行も含まれており、SteelBrickは9月に同社を買収してSteelBrick Billingと名称変更している。このソリーション全体がとりわけぴったり合っているのは、SteelBrickがSalesforceのApp Cloudプラットフォーム上に構築されているためで、これはSalesforce CRMとは既にスムーズに協調して動いていることを意味している。
興味深いのは、Salesforceが中小市場の企業を狙っているSteelBrickを選び、類似の企業でもっと大企業寄りの顧客を持つApttusを見送ったことだ。Apttusは9月に1.08億ドルを調達しており、そこにもSalesforce Venturesが投資家として参加している。
Salesforceのショッピングはまだ終っていないのかもしれない。
Salesforceの大規模な顧客カンファレンスであるDreamforceのプレス会見で、私がSalesforce幹部に、quote-to-cash分野に興味があるをズバリ尋ねたところ、強く否定していたことは書いておくべきだろう。
quote-to-cashへの巨額な投資を考えれば、Salesforceが何らかの興味を持っていたことは明白だが、自身で開発したり、Salesforceの製品ラインの一部に組み込むほどではなかった。その幹部は、Salesforceのすることはすべて顧客へのサービスにならなくてはならないと断言していた。quote-to-cashのようなそれが事務管理部門の業務であれば、興味はない。どうやらこの会社は考えを変えたようだ。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)