Spotifyがオーディオブックに進出、Storytelと提携し新プラットフォームを活用

Spotify(スポティファイ)がオーディオブックに手を広げる。といってもあなたが想像するような方法でではない。同社は米国時間5月20日、オーディオブックプラットフォームのStorytel(ストーリーテル)との提携を発表した。この提携では既存のStorytel購読者はSpotifyのアプリ内のオーディオブックにアクセスするのにSpotifyを通じてアカウントをつなげられる。提携は、クリエイターやパブリッシャーがリーチを広げられるようにすることを目的にSpotifyが最近導入したオープン・アクセス・プラットフォーム(OAP)で可能になった最初の注目すべき例だ。

同社は2021年初めの報道機関向けイベントStream OnでOAPの計画について手短に語っていた。イベントでは有料ポッドキャストサブスクSpotify HiFiその他の新機能についての詳細も明らかにした。OAPでは、顧客がSpotifyを通じてコンテンツをストリームできるようにすることで、コンテンツを既存サブスクベースに届ける新しい方法をパブリッシャーやクリエイターに提供する。StorytelはOAPを取り入れた初の主要パブリッシャーだが、StratecheryのBen Thompson(ベン・トンプソン)氏は自身もOAPを使っていると述べた

関連記事
Spotifyが米国で有料ポッドキャスト開始、2年間クリエイターの取り分は100%
Spotifyが要望の多かった高品質サブスクプラン「Spotify HiFi」を提供へ
Spotifyがオーディオ広告マーケットプレイス「Spotify Audience Network」を開始

クリエイターやパブリッシャーの既存ログインシステムの使用をテクノロジーがサポートし、リスナーとの関係を引き続き直接コントロールできる。例えば有料のポッドキャストは既存の購読者にストリームするためにシステムを使うことができる。しかしStorytelの場合、ポッドキャストではなくオーディオブックのコンテンツを提供している。

「みなさんにすばらしいストーリーへのアクセスを持って欲しいと考えています。本日、Storytelは世界25マーケットで50万超のオーディオブックを提供しています」と同社の創業者でCEOのJonas Tellander(ジョナス・テランダー)氏は発表の中で述べた。「Spotifyとの提携は驚くほどのオーディオブックエクスぺリンスにし、既存の作者はこれまで以上に簡単に当社の顧客にアクセスできます。その一方で現在Spotifyを利用しているもものオーディオブックのマジックをまだ体験していないという新たなオーディエンスにリーチする機会を当社は利用します」と付け加えた。

Audibleの競合相手であるStorytelは英語を含むさまざまな言語のオーディオブックを、月額固定料金で提供している(月約20ドル、約2200円だがマーケットによって異なる)。ライブラリーへの無制限アクセスは1カ月にオーディオブックを1つ以上聴く人にとってはお得かもしれない。通常、Storytelmの顧客はiOSかAndroidのモバイルアプリを通じてストリームする。

ロイターの報道によると、Storytelは購読者160万人を抱える。一方、Spotifyは178マーケットでの購読者1億5800万人を含む、ユーザー3億5600万人を抱える。

インテグレーションそのものは2021年後半に行われ、Storytelのユーザーは自分のアカウントでサインアップでき、その後アカウントをリンクさせることでSpotifyを通じてストリームできるようになる。Spotifyは自社アプリからStorytelのサブスク登録をユーザーに勧める計画は持っていないが、アカウントをリンクさせる時点でユーザーはログインではなく登録するよう案内されるかもしれない。

SpotifyはStorytelとの提携の前にオーディオブックを倍増させた。たとえば2021年1月にSpotifyは、セレブがナレーションを担当した「フランケンシュタイン」「ジェーン・エア」「説得」などいくつかのクラシック作品でフォーマットのテストを開始した。同社はDaniel Radcliffe(ダニエル・ラドクリフ)氏やDavid Beckham(デイビッド・ベッカム)氏、Dakota Fanning(ダコタ・ファニング)氏といったスターがナレーションを行った最初の「ハリー・ポッター」も以前提供した。

今夏、OAPのさらなるパートナーが発表される、とSpotifyは話している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SpotifyオーディオブックStorytel音楽ストリーミング

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi