専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUが1.53億円調達、新型コロナ対策支援事業を全国展開

専門医による遠隔集中治療サポートのT-ICUが1.53億円調達、新型コロナ対策支援事業を全国展開

専門医による遠隔集中治療ソリューションを提供するT-ICUは1月5日、第三者割当増資による総額1.53億円の資金調達を発表した。引受先は、Beyond Next Ventures、UFJキャピタル、東海東京インベストメント、クオンタムリープ・キャピタル・パートナズなどが運用するファンドおよび個人。

調達した資金により、T-ICUが現在神戸市とともに取り組んでいるCOVID-19対策支援事業の全国各自治体への展開、同社取得済みの遠隔集中治療における基本特許の実装のためのシステム開発、国内外への展開を本格化させるための普及実証を推進していく。

同社の遠隔相談システム「リリーヴ」は、「全ての病院に集中治療医を」を形にする重症患者診療の支援システム。全国的に専門家が不足する重症患者診療の現場を集中治療医・集中ケア認定看護師で構成されたメディカルチームが24時間365日サポートする。

システム面では、高度通信機器が様々な生体情報や検査結果の共有を可能にし、従来の電話相談の域を超えた、より実用性の高い診療支援を行うという。集中治療室に留まらず、救急や看護の現場でも利用可能としている。

また遠隔モニタリングシステム「クロスバイ」では、離れた場所から患者と医療者に寄り添うことをコンセプトに、高性能カメラによる細やかな病状観察と高度通信機器によるベッドサイドとの明瞭なコミュニケーションを実現。複数の患者を一画面で同時にモニタリングし、医療機器との接続でそのグラフィックモニターを表示することも可能。独立したネットワークに基づくシステムにより、あらゆる既存システムに干渉せず、完璧な機密保持を約束するとしている。感染隔離中のCOVID-19診療において非常に有効な手段という。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:遠隔医療(用語)資金調達(用語)T-ICU日本(国・地域)

神戸市が新型コロナ対策として遠隔ICUシステムを導入、スタートアップのT-ICUと連携

神戸市は8月12日、新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れている市内の医療機関に「遠隔ICUシステム」を導入することを発表した。遠隔地からネットワークを通じて集中治療専門医による診療支援が可能にすることで、重症化の早期発見など感染症患者への適切な医療の提供と市内の医療提供体制の充実を図るのが狙いだ。

現在、神戸市内の医療機関のすべてで新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れられる態勢が整っているわけではない。一部の医療機関が、軽症・中等症患者向け病床と、重症者向け病床を確保して懸命に治療に当たっているという状態だ。しかし現状では、中等症患者が重症化するリスクを考慮して、各医療機関が重症者病床を設けている中央市民病院に患者を早期に転送することが多くなっている。これにより最後の砦である中央市民病院の業務が逼迫するという悪循環が起きる恐れがある。

一方で市内すべての医療機関が感染症の専門ではないため、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関であっても、重症化しつつある患者の見極めが難しいケースもあり、結果的に治療が遅れてしまうリスクもある。

神戸市はこういった問題を解決するために、遠隔ICUシステムを導入。専門医によるリモート診断によって、軽症、中等症、重症を見極め、適切な処置が受けられる医療機関に患者を振り分けることで、重症者向け病床を持つ中央市民病院はもちろん、軽症・中等症患者向け病床を持つ市中の医療機関が逼迫しないように調整するのが狙いだ。

遠隔医療には、神戸市拠点のスタートアップであるT-ICUが開発したシステムを利用。市内の医療機関に導入するこで、T-ICUに登録している集中治療専門医が待機するサポートセンターとネットワークでつなぎ、生体情報モニター、電子カルテなどの情報を共有してテレビ会議にてコンサルテーションを行うという。もちろん、感染症指定医療機関である神戸市立医療センター中央市民病院が、T-ICUに知見を共有し、治療方針などの助言も行う。

導入スケジュールは以下のとおり。

  • 2020年4月〜:中央市民病院と西市民病院、および西神戸医療センターの間で試験導入し、有用性を検証
  • 0220年8月:市内医療機関での導入先調整
  • 2020年9月:システム設置、運用開始
  • 2021年3月末:事業終了予定(新型コロナウイルス感染症の状況により延長の必要性を検討)