Windowsを無料にしたMicrosoftが定価100ドル未満の低価格タブレットで勝負

こんなに短い期間にこんなに多くの人が買った製品は、過去にない。

最初のiPadが発売される日の数日前ぐらいに見たツイートを、今でも思い出す。名前は忘れたし、そのツイートは今では見つからないのだけど、テク界隈の人だったことは確かだ。その人は、今週の週末がiPadのない週末になるのは嫌だから、先週末から並んでいる、と書いていた。

これから新しいカテゴリを創りだすデバイスに対して、市場はそれほどまでにエキサイトしていた。その後のタブレット市場の成長は、爆発的だった。

しかしそのあと、奇妙なことが起きた: タブレットの市場はその全体が一気に成熟したが、不思議なことにPCや携帯やスマートフォンと違って、タブレットには、各社の新製品など、別の機種への買い替えという現象があまり起きず、ユーザの多くは最初に買った機種を長く使い続けた。

IDCが、おもしろいグラフを提供している(下図)。成長率がこれほど激しく急降下した製品は、たぶん過去にない。

タブレット市場の成長は当分のあいだ、ゆるやかだろう。IDCが予測する各年の成長率はほどほどにプラスだから、出荷台数(上のグラフの青い棒)は一見堅調に見えるが、成長率そのものを示す赤い線は右下がりだ。だから青い棒も、前年との差が小さくなっている。

本誌TechCrunchも取り上げたが、IDCの予測ではiPadの売上は今後落ち込み、2018年にはやや回復して24.5%のマーケットシェアに落ち着く。Androidは今後数年間で量は大きく伸びるが、マーケットシェアは今年の67.7%から2018年は64%に下がる。

そしてWindowsタブレットは2018年に今年の3倍の台数売れて、マーケットシェアは今の倍以上になる。

タブレット市場でWindowsが伸びるという上の説は、意外だ。一体何が原因でWindowsタブレットはそんなに急成長するのか? まあiPadやAndroidタブレットと違って、初期値が小さいということもあるけど、成熟市場でそこまで行くか?

ところが今日(米国時間11/26)は、Microsoftウォッチャーたちが騒いでいる。100ドル未満のWindowsタブレットが各種出る、というのだ。スペックは大したことないと思うが、100ドル札でお釣りがくるタブレットが最初からWindowsを搭載しているというのだ。

Microsoftは、今のような市場の変化を読んでいたのだ。9インチ以下のデバイスでWindowsの価格をゼロにしたことによって、その100ドル未満機の準備ができた。以下、ぼくの過去記事からの引用を、我慢して読んでね:

Microsoftはスマートフォンや小型タブレットのWindowsを無料にすることによって、何をしたいのか? 身を売ってマーケットシェアを買いたいのだ。

スマートフォンのWindowsのコストをカットすることによって、OEMたちの歓心を買う。OSがタダなら製品価格を安くできる。OEMたちはこれまで、GoogleのAndroidを載せたデバイスを出すたびに、Microsoftに金を取られていた(Linux関連の特許料)。でもWindowsなら一銭も取られない。こいつは、良さそうだ。

Microsoftにはなぜ、こんなことができるのか? これによるMicrosoftの売上減少額は、実はそれほど大きくない。問題は、OEMの売上だが。

今まであった売上がなくなるわけではないから、Microsoftの財政は無傷だ。そして確実に、本当に欲しかったものが手に入る。マーケットシェアが。

Microsoftはそのパートナー経由で超安いデバイスを売り、そしてGoogleはローコストなAndroid機で人気トップの地位を確保する。

こうしてMicrosoftとGoogleが市場の成長という名のパイをローエンドで奪い合うとき、高級機で漁夫の利を独り占めできるAppleは、販売台数を高めに維持できる。それがIDCの説だ。つまり戦争はローエンドのタブレットで起こり、高級機市場はAppleがゆうゆう独占する。それがIDCの描くストーリーだ。

ローコストのWindowsタブレットに消費者がどんな反応を示すか、結果は今後6か月で出る。消費者の関心が予想以上に大きかったら、IDCの2018年の数字はかなりぐらつくだろう。

低価格機は、これから選択肢がさらに広がる。今年のクリスマスは、贈る方にとって楽だね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))