IPO果たしたChatwork、スペースマーケットの組織づくりと採用:TC School #17レポート2

TechCrunch Japanが主催するテーマ特化型イベント「TechCrunch School」第17回が1月23日、開催された。スタートアップのチームビルディングを一連のテーマとして展開する今シーズンの4回目、最終回となるイベントでは「チームを拡大する(拡大期の人材採用)」を題材として、講演とパネルディスカッションが行われた。

この記事では、パネルディスカッションの模様をお伝えする(キーノート講演のレポートはこちら)。千葉道場ファンドで取締役パートナーを務める石井貴基氏は、キーノートに続いてパネルディスカッションにも登壇。Chatwork代表取締役CEO兼CTOの山本正喜氏、スペースマーケット取締役CFO兼人事責任者の佐々木正将氏、エン・ジャパン執行役員の寺田輝之氏を加えて、IPO前後の社内組織づくりや人材採用などについて聞いた。

Chatwork、スペースマーケットの設立からIPOまでの軌跡

まずは登壇者それぞれの自己紹介と、各社事業の簡単な紹介があった(石井氏の紹介については、キーノート講演レポートをご覧いただきたい)。

トップバッターは、Chatwork代表取締役CEO兼CTOの山本正喜氏。Chatworkは2000年、大学在学中に兄の山本敏行氏と正喜氏が兄弟で創業した企業で、実は20年事業を続けている。創業当時は兄・敏行氏がCEOで、正喜氏はCTOだった。

設立から11年目に、ビジネスコミュニケーションツールの「Chatwork」を正喜氏が中心となってリリースし、プロダクトの成長に合わせて社名も変更。2018年に正喜氏がCEO兼CTOに就き、2019年9月に東証マザーズへの上場を果たした。

2019年12月末時点での従業員数は106名。大阪本社、東京オフィスのほかにベトナム、台湾に拠点を置くChatwork。「働くをもっと楽しく、創造的に」をミッションに掲げる同社は、Chatwork以外にも、セキュリティソリューションのESETを扱っている。

「我々はChatwork以前から行っていたセキュリティ事業で収益を上げて、そこからChatworkへ投資していたので、外部から資金調達を行ったのは、結構後になってからのことだった」(山本氏)

代表取締役CEO兼CTO 山本正喜氏

Chatworkは2011年、国内ビジネスチャットプロダクトのパイオニアとして誕生した。電話やメールに代わるビジネスコミュニケーションツールとして、グループチャットのほか、タスク管理、ファイル共有、ビデオ・音声通話といった機能を提供。ビジネスチャットツールとしての利用者数は国内ナンバーワン、導入社数は24万6千社以上(2019年12月末日現在)に到達している。

IPOまでの売上の軌跡も紹介してくれた山本氏。設立から10年で既存事業が踊り場に来たときに、新たに投入されたプロダクトがChatworkで、「しばらくは苦しい時期が続いたが、2015年のシリーズAラウンドで資金調達を行い、そこからぐっと売上が伸びた」と説明する。設立以来の売上の比率は、集客支援(SEO関連)、ESET事業と移り変わり、長く会社を支えてきたが「いつまでも他社製品に頼っていてはいけない。自社製品をつくろう」として開発されたChatworkが、現在は売上の中心となっているそうだ。

続いては、2019年12月20日に東証マザーズへの上場を果たしたばかりのスペースマーケット佐々木氏からの自己紹介・事業紹介だ。佐々木氏は、スペースマーケットでCFOとしてファイナンスを担当しながら、人事責任者を兼任する。2017年にベンチャーキャピタルからの紹介で代表取締役CEOの重松大輔氏と出会い、ジョインした。入社後はコーポレートの組織構築、上場準備開始から着手し、ファイナンス、組織、経営管理を主に担当している。

スペースマーケットは、さまざまなスペースを1時間単位で貸し借りできる、スペースシェアリングのプラットフォームを運営するスタートアップだ。「チャレンジを生み出し、世の中を面白くする」をビジョンに掲げ、「世界中のあらゆるスペースをシェアできるプラットフォームを創る」ことをミッションに、2014年、代表取締役CEOの重松大輔氏が創業した。現在は約50人の従業員を擁し、1万2000件以上のスペースをサイトに掲載する。

スペースを借りたいゲストと貸したいホストをマッチングし、ゲスト手数料を5%、ホスト手数料を30%として、双方から手数料を得るビジネスモデルを採るスペースマーケット。現在は「全国47都道府県にある、種類もさまざまなスペースを掲載している」と佐々木氏は説明する。

「家を一軒貸すケースもあれば、部屋を一部屋、使っていない時間帯だけ貸すケースもある。住居だけでなく、オフィスの空き会議室や、空き時間の飲食店、スポーツ施設などもある。スペースマーケットで特徴的なスペースとしては廃校や、お寺といったものも提供されている」(佐々木氏)

スペースマーケット取締役CFO兼人事責任者 佐々木正将氏

利用用途として多いのは、パーティーなどの会合で使われるケースだそうだ。会議や撮影などにも使われるほか、ボードゲームの集まりで使われることも。「実現している世界としては、ママ会などが有用に使われる例となっている。子ども連れでも安心・安全に、レストランなどと違って気を遣わずに使える場として活用されている」(佐々木氏)

貸す側のニーズとしては「古民家で、全く使っておらず、維持費はかかるが壊すのはもったいないので、誰かに使ってほしい」という事例や、「取り壊し予定のビルで新たな賃貸契約は結べないが、壊すまでの間は時間貸ししたい」といった事例があるという。「少子高齢化で浮上している空き家問題解決の対策にも貢献できるのではないか」と佐々木氏は言う。

事業は2019年9月(2019年度3Q)時点でGMV(流通取引総額)が16億円規模まで伸張。GMVを因数分解し、「利用されているスペース数」と「スペース当たりの平均利用金額」も主要KPIとしているそうだ。全社総取扱高・営業損益については、「数値・コストを厳しく管理して、3Q時点で黒字転換。黒字でIPOを果たせるよう進めてきた」と佐々木氏は述べている。

佐々木氏は「今後、広告媒体としてのスペース活用により、法人向けイベントプロデュースやプロモーション支援なども強化していきたい」と話している。

シェアリングエコノミー業界に属する企業として、スペースマーケットには「業界全体の発展推進にも貢献したい」という意向もあり、代表の重松氏は、シェアリングエコノミー協会を設立し、代表理事も務める。「スペースマーケットではこれからも、新たなスペース利用の可能性を創造し、スペースシェアのモデルを確立していきたいと考えている」(佐々木氏)

TechCrunch Schoolの一連のシリーズのスポンサーとして登壇してきた、エン・ジャパン執行役員の寺田氏。今回のディスカッションでは、モデレーターを務めるTechCrunch Japan 編集統括・吉田博英とともに、進行役として参加してもらっている。

寺田氏はエン・ジャパンで2016年8月に、採用支援サービス「engage(エンゲージ)」を立ち上げ、中心となって運営している。engageは「誰でも採用が始められて続けられる」(寺田氏)ことをコンセプトに誕生したサービスだ。

「engageでは、エン・ジャパンが求人サービスを提供する中で得たエッセンスやノウハウを応用し、企業独自の採用ページを、クックパッドのレシピが投稿できる人なら誰でも作成できるようにした。また採用情報がつくれても、応募が集まらなければ続けられないので、オンラインの採用マーケティング機能も強化してきた。IndeedやYahoo!しごと検索、Google しごと検索といった求人のメタ検索エンジンにも自動連携し、求職者にリーチすることができるようにしている」(寺田氏)

寺田氏は「LINEキャリア」を運営するLINEとのジョイントベンチャー、LENSAの代表取締役も務めており、LINEキャリアへの求人情報掲載無料も実現している。

engageは2020年1月現在、25万社が利用。スタートアップから大手企業まで多くの企業の採用に活用されている。スタートアップでは「本業にデザイナーやエンジニアのリソースを集中したいというニーズが大きい一方、採用広報やHR担当者にはテクニカルスキルが十分でなく、情報発信が難しいことも多い。そういう方でも簡単に採用情報を発信できるということで利用されている」とのこと。

また、大手企業の場合は「会社としての採用情報は公開されているが、セールス部門とエンジニアリング部門ではカラーがかなり違う、といったこともある。そういう各部署でチームメンバーを募集するために利用されることもある」そうだ。

事業の信頼性、安心感がIPOで社会に広く伝わる

ディスカッションではまず、昨年マザーズ上場を果たしたばかりの2社に「なぜ、このタイミングで上場したのか」という質問が投げかけられた。

Chatworkの山本氏は「自己資金で黒字経営でずっと来ていたので、元々は上場する気はなかった」としながら、「Chatworkのビジネスをきっちり成長させるには、資金調達やIPOというモデルが合っていた」と話している。

「成長するSaaSほど、初期は赤字になると言われている。Chatworkはユーザー数も大変増え、チャーンレートも低く、伸びるとは分かっていたが、エンジニアをたくさん採用すると大赤字になっていた」(山本氏)

同社には黒字経営のポリシーがあり、Chatwork事業も「ほかの事業を食い潰しながら、我慢しながらやっていた」という山本氏。だが、2015年ごろ、ビジネスチャットのカテゴリが盛り上がりを見せ、サンフランシスコやシリコンバレーのスタートアップエコシステムの中でも資金調達が活発になる。日本では先行していた同社としては「Chatworkを利用する顧客のためにも、会社のポリシーよりプロダクトの成長にコミットすることを決断した」そうだ。

「ビジネスチャットはコミュニケーションの根幹を預けるインフラビジネス。そこへの信頼性という点でも上場は向いていたし、モデルとしてもエクイティで成長させるというのが向いていた。資金調達から、順調に背徴させて、無事上場することができた」(山本氏)

スペースマーケットの佐々木氏は、上場を前提にCFOとして同社に入社している。「投資契約の上場ターゲットが2019年だった。私が2017年に入社した後、一番最初にやった仕事が、主幹事会社の選定だった」と振り返る。その後も事業計画の変更など、2019年の上場を目指して準備を進めていったという佐々木氏だが、「最後の最後、上場承認が発表される1〜2週間前になって、バリュエーションなどの話で社内で議論となり、(ボードメンバー間で)悩んだ」と明かす。

それでも上場したのは「スペースシェア、シェアリングエコノミーについて、個人のデリバリーサービスへの不安やアメリカの民泊サービスでの事件などがあった中で、スペースマーケットは『安心・安全に使ってもらえるサービスだ』と社会に知ってもらいたい」(佐々木氏)との思いからだったそうだ。

石井氏が創業したアオイゼミでも「IPOストーリーで考えてはいたが、具体的に上場を考える手前でM&Aとなった」とのこと。石井氏自身は「IPOという世界を見たことがない」として、2人の話に「勉強になる」と述べていた。

IPOまでの社内組織の変化・変更点

続けて「IPO前後の社内組織の変化や、変更した点はあるか」との問いに、佐々木氏が答えた。

「IPO後の方は1カ月ほどしかないが、前について言えば、アーリー・ミドル期からレイターへ移るころに変化はあった。ミドル期ぐらいまでは、何もできていない状態なので、チャレンジをすれば当たる確率が高く、やれば伸びる、という状況だった。そこから上場を見据えて利益づくりに動くようになると、施策の精度や予算達成が求められるようになる。だから去年1年間ぐらいは、社内的には閉塞感を感じていたメンバーもいたかもしれない。それが上場承認を社内で発表した途端に雰囲気が明るくなり、『また新しいチャレンジをしていこう』というモードになっている」(佐々木氏)

組織変更については「IPO後の1月から早速、権限委譲を始め、部長職の擁立などを進めている」と佐々木氏は話している。

山本氏も「うちもIPOからそれほど間がない」と前置きしつつ、上場前後で「あまり大きな変化はなかったように感じる」と述べている。「よく言われることだが、IPO申請期は事業計画の蓋然性の証明がきつい。売上・利益を計画の上下5%に収めるように、というかなりの『無理ゲー』をみんなクリアしなければいけない。ただ僕らはそれほど大変ではなかった。そこはSaaSビジネスの強みだが、変動が小さく、数字が読みやすいこともあって、計画周りではそれほど苦労しなかった」(山本氏)

組織については「上場というよりは、資金調達前後で変わっている」と山本氏は言う。「もともと30人ぐらいのスモールビジネスで15年やってきて、社員満足度が大事という『ファミリー』なカルチャーだった。資金調達後は、Excelで言えば2次曲線を描くような成長を求められ、後半は特に新規事業づくりなど、やり遂げるためのプレッシャーがかかる。以前は知り合いの紹介で社員が入社して、離職も少ない会社だったところを、18億円調達して『使わなければならない』ということで採用を活発にして、1年でそれまでの倍の50人になった」(山本氏)

急な人数増、というだけでなく、「それまでのファミリーなカルチャーの人に対して、少し山っ気のある『一発当ててやろう』というような人も入ってくるようになり、カルチャーの衝突が起きた」と山本氏は振り返る。「会社としては、スケールさせる組織のカルチャーや事業の仕組みにアップデートしていかなければならないので、アジャストするんだけれども、変わりきれない部分もあり、そこがぶつかって組織崩壊も何度か経験し、2016〜17年ぐらいはしんどかった」(山本氏)

その後「アップデートの仕方を経営陣も学んで、50人の壁を乗り越えるメドがつく頃には組織も落ち着き、IPO前後には安定していた」(山本氏)ということだ。

IPOに関連して寺田氏が「社員が盛り上がったタイミングはいつだったか」と聞くと、佐々木氏は「上場承認日だった」とのこと。「15時に有価証券届出書がウェブで公開されるのだが、これが社内での発表前だったので、社内はザワザワしていた。15時半ごろに、社内でも正式に公表した」(佐々木氏)

一方の山本氏は「IPOの発表は盛り上がったことは盛り上がったけれども、盛り上げすぎないように気をつけていた」そう。「スタートアップの失敗談として、IPOを目標にしすぎると、IPO後ヤバいと聞いていたので、離脱や燃え尽きが起きないように、発表前から繰り返し『IPOはゴールではなくてスタートだ』と話していた。『IPOは、運転免許が取れたようなもの。我々はやっとクルマに乗れるようになったところ』と社員には説明していて、上場当日も意図的に盛り上がらないようにして、『社会的責任が出たから、これからもがんばろうね』という話をした」(山本氏)

IPOに向けた採用・事業での取り組み

IPOに向けて、集中して取り組んだ採用や事業についても、2人に聞いた。

佐々木氏がスペースマーケットに入社したのは2017年1月だが、「直前の2016年冬は業績が良かったのに、入社後の1月から3月はあまりよくなかったので、騙されたと思った(笑)」という。そして3月、千葉道場に参加した佐々木氏は、あるスタートアップのCEOにKPIの生データを見せてもらい、やり方を持ち帰って細かいKPI管理を行うようになった。

「スペースマーケットの掲載物件には、いろいろな場所、用途がある。ユーザーも法人、個人ともにいて、エリアもさまざま。料金も数百円から100万円まで幅広い。そうしたサービスを数字で判断するということを、2017年から始めた。2017年4月から6月は毎日KPIをみるようにしたところ、夏ごろから施策の精度が段々上がっていった」(佐々木氏)

千葉道場ファンド取締役パートナー 石井貴基氏

ここで石井氏から「KPIをゴリゴリ管理するようになって『社風が変わる』ではないが、既存メンバーから嫌がられなかったか」と佐々木氏に質問があった。

佐々木氏は、「確かに当初は嫌がられたが、重松氏が『新しいことをやろう!』という部分を担当した」と回答。自身が数字管理などの「厳しい方」を担当することで棲み分けを行ったということだった。

山本氏も、IPO前の数字の管理については「かぶるところがある」と話す。「IPOに向かう前は、事業が当たって勝手に伸びていく、といった具合で、フィーリングで経営していた。しかしVCからの投資が入ってからは、『ケーパビリティを超えることをやろうとしているのに、科学的にやらなければ実現は無理だ』ということで、なぜうまくいっているのか、数字を解明することから始めた。ひたすらデータ化し、分解しまくって、巨大なスプレッドシートに何百個というデータを最初は手作業で入力し、それを徐々に自動化して、データの見える化に3年ぐらいかかった」(山本氏)

山本氏は見える化によって「ようやくファクトで議論できるようになった」といい、「経営や事業は、科学しないとスケールしない」と語っている。

また山本氏は、役員からのトップダウンで組織で経営するにあたっては「経営会議をしっかり開くことも有効だった」と話している。ボードメンバーは5人。経営の意思決定が進まないという課題に対し、経営会議を週3回の頻度で開催するようにしたが、「話すことはなくならなかった」と山本氏はいう。

監査役も入った正式な会議を週2回、週1回はボードメンバーだけで集まって、よもやま議論を行っていくことで「ボードメンバーの結束が高まった」と山本氏。「今は週2回実施となったが、今でもまだまだ話すことがある。経営会議の頻度で、経営陣、社長と役員が一枚岩になったことは、100人の組織の壁を乗り越えるためのひとつのプラクティスでもあるのかなと考えている」(山本氏)

CEOでもあり、CTOでもある山本氏には「経営会議ではCEO、CTOのどちらの立場として発言するのか」との質問も投げかけられた。山本氏は「話題によって、帽子をかぶり分けている」と答えている。

「これは結構難しいのだけれども、経営会議ではCEOの帽子をかぶらざるを得ないときが多い。ボードメンバーのひとりに開発本部長、VPoE的な役割のメンバーがいるので、必要なときには、彼にCTO的な立場を取ってもらって、自分は結構厳しいフィードバックをするようにしている」(山本氏)

目的達成に影響を与えたキードライバーは?

エン・ジャパンの寺田氏からは2社に「どんなKPIを見て、それをどう上げていったか」という問いかけがあり、それぞれの目的達成に強く影響を与えた「キードライバー」について、佐々木氏、山本氏に聞いていくことになった。

スペースマーケットの佐々木氏は、同氏の入社以前の2016年までは「なぜ事業が伸びているのかは、しっかり分析できていなかった」という。そして「特にどの指標がキードライバーだったとは言えないが、要因分析をすることは重要だ」と話している。KPIのレポーティングは、「エンジニアやデザイナー、PMがそれぞれ行っている」そうだ。「CVRや利用率、利用額、高額利用の金額など、四半期ごとに確認するKPIを変えているので、追う数値が何かによって担当を変えている」とのことだった。

Chatworkの山本氏は「事業のキードライバーは、2つのエンジン。ひとつはフリーミアムモデルで、もうひとつがダイレクトセールスモデル」と答える。

「Chatwork事業は、無料利用のユーザーが機能を開放して有料コースを使うようになる、フリーミアムモデルでスタートしている。最初はそれしかなかったが、資金調達前は、それで自然成長していた」(山本氏)

しかし自然成長だけでは「VCが要求する成長に間に合わない」タイミングが来る。資金調達後はそこから成長をさらに加速するために、フリーミアムモデルに加えて、ダイレクトセールスモデルを立ち上げたと山本氏はいう。

「BtoB、SaaSモデルではむしろこちらがメインだと思う。マーケティングチームが見込み客のリードを展示会などのイベントで集めて、そこから電話でアポイントを取り、セールスが訪問して、1〜2カ月のトライアルはあるが、はじめから有料でサービスが始まる、直販モデル。それをやることを前提に調達したので、調達後に我々がまずやったことは、営業がゼロの状態から、営業部、マーケティング部を作ることだった」(山本氏)

もともとはエンジニア中心のChatworkには、営業、マーケティングで入った人材とは「カルチャーが全然違う」状況だったが、それを両方やる、あるいは営業側を推していかなければならない。山本氏は「フリーミアムでいいものを作ればプロダクトが広がる、というのはアーリーアダプターまで。そこから先のマジョリティ層は、自分で良いものがないかとプロダクトを探したりはしない。プッシュマーケティング、プッシュセールスが必要」として、開発と営業の両部門を担当し、「知ってもらわなければ」という文化へカルチャーの変革に乗り出した。

「カルチャーを変えることはすごく大変だったが、4〜5年かけて、フリーミアムとダイレクトセールス、両方のエンジンがあったからこそ、成長が2次曲線になった」(山本氏)

採用時の体験入社は強くおすすめしたい

キードライバーを加速させるための採用戦略について聞かれて、山本氏は次のように答えている。

「Chatworkの調達資金の使途は、マーケティングと開発が多く、エンジニアとビジネス系人材をほぼ同数、採用していた。調達しているスタートアップでは、ビジネス系人材の採用ではエージェントを使うのがスピードが早いと思う。ただし紹介を依頼すればいい人が採れるかというと、そういうわけでもない。ただ候補者リストが流れてくるだけで、ヒットする人材が見つからず、うまくいかないことも多い。エージェントを使いこなさなければ、いい採用にはつながらないだろう」(山本氏)

山本氏はエージェントを活用した採用でうまくいったケースとして「小さな人材紹介会社の社長と仲良くなって、こちらの思いを語り、ファンになってもらったことをきっかけに、向こうも『うちを人事部と思って使ってくれ』と言ってくれるようになった」という例を紹介した。

「どういう人が欲しいかが伝わると、とても(質の良い)熱いリストを用意してくれるようになる。そうして2〜3社と濃く付き合うようになった」(山本氏)

ちなみに「初期には採用計画といったものは特になかった」と山本氏は言う。石井氏も投資家の立場から考えても「採用計画は用意してもらうとしても、必ずしも当てにはならず、そこまで厳密にはできないと思う」と述べている。

「上場が近づくとようやく、計画通り採用できるようになる」という山本氏。スタートアップがスケールするときの人材採用について、「シニアマネージメントや、マーケティングスペシャリスト、スーパーエンジニアといった、成長にとって欠かせないケーパビリティを持つキーパーソンに、いかにいい人が採用できるかが肝。そういう人が採用できれば、その人の下にメンバーを入れていけばいいので、組織はスケールする。そこで失敗すると、半年、1年遅れてしまう」と語っている。

佐々木氏は、経営管理チームだけでなく、エンジニアでも数字も読みながら開発の優先順位が決められるという人材を重視していたということで、「エンジニアとコーポレートの採用については注意していた」と話す。一方で「キーマンを採用した後は、カルチャーフィットを重視しながら、ほぼ未経験の人も採用してきた」そうだ。

スペースマーケットでは、経理未経験で営業事務として入社した人材が、入社3年で決算までできるように成長した例もあるという。財務担当者も新卒2年目で、エンジニアにも未経験者を採用しており、うまくいっているそうだ。

人材エージェントについては「コミュニケーションがうまく取れなくて、50人の候補で1人しか入社しないといった結果になった」と佐々木氏。「給与水準が高くない上に、選考中に1日インターン体験を組み込んでいて、選考ステップが重いことも理由としてある。課題をハックしてもらい、たくさんの社員と面談してもらう1日体験を実施することにより、採用ミスマッチは少なくなるが、早く採用を決めたいエージェントからすると、あまりうまみがないだろう」(佐々木氏)

採用の窓口としては「Wantedlyが6〜7割、次いでGreenとリファラルで2〜3割ぐらい」と佐々木氏は言う。そのほかに「ブログや勉強会などで発信を行い、新しい技術導入もアピールし、スタートアップに興味のあるエンジニア界隈を引きつけることで、採用フィーをかけずに人材を獲得するようにしている」(佐々木氏)

体験入社では「マーケティングならダミーデータを用意して、マーケティング施策を2時間で考えて、といった課題を出す。実際に近い仕事を実践してもらうことで、入社する人にとっても業務がイメージしやすくなる」(佐々木氏)

体験入社については、Chatworkでも実施しているとのことで、山本氏も「体験入社は、カルチャーギャップや入社時のミスマッチが本当になくなるので、メチャクチャおすすめする」と話していた。

「千葉道場とファンドで起業家育成のエコシステムを作る」:TC School #17レポート1

TechCrunch Japanが主催するテーマ特化型イベント「TechCrunch School」第17回が1月23日、開催された。スタートアップのチームビルディングを一連のテーマとして展開する今シーズンの4回目、最終回となるイベントでは「チームを拡大する(拡大期の人材採用)」を題材として、講演とパネルディスカッションが行われた。

この記事では、キーノート講演の模様をお伝えする。登壇者は千葉道場ファンドで取締役パートナーを務める石井貴基氏だ。自らもアオイゼミを創業し、Z会へのM&Aを実施した石井氏からは、起業家としての創業からエグジットまでのエピソードと、現在参画する千葉道場の起業家を支える取り組みについてが語られた。

起業家としては情報弱者だった創業期

石井氏は新卒でリクルートに入社。SUUMOの広告営業に従事した後、ソニー生命に転職し、生命保険の販売を行っていた。販売活動の一環で、ライフプランのコンサルティングも行っていた石井氏は、ファイナンシャルプランナーとして、さまざまな家庭の家計を見ていく中で、どの世帯でも教育費負担が非常に多いと感じる。これが起業のきっかけとなり、ライブストリーミングを使って、いい先生から安く学べる学習塾として、オンライン学習塾のアオイゼミを立ち上げた。

アオイゼミはライブストリーミングで授業を配信する、中高生向けオンライン学習塾だ。創業は2012年。石井氏は2019年3月に代表を退任したが、当時の登録生徒数は60万人以上と日本最大級に拡大した。「学習塾としての実績もついてきて、難関大学への合格者も輩出するようになっている」(石井氏)

北海道・札幌出身の石井氏は、函館の高校、東北の大学に進学し、就職では札幌に戻る形となったため、「会社を作るまで東京に出たことがなかった」そうだ。当時はスタートアップ立ち上げのための教科書もなければ、情報もなかったと振り返る石井氏。初めての上京が起業、という境遇で、石井氏が創業の地に選んだのは、中野だった。

「東京のビジネスの中心は新宿だろう、ぐらいにしか思っていなくて、中野なら新宿からも近いからベストではと考えたんですよね。その後、よく見渡してみたら『ベンチャーの中心地って渋谷なんだ』と気づいて、失敗したなと思いました(笑)」(石井氏)

立ち上げ当初はお金もなく、1LDKに創業者の3人で生活していたそうだ。生徒が塾を利用するのは夜間なので、日中はアルバイトで出稼ぎをして、夜にオンライン学習塾を配信するという日々。「極貧生活で体重が15キロ減った」と石井氏はいう。

今でこそファンドのパートナーという立場の石井氏だが、アオイゼミ創業初期はベンチャーキャピタルを紹介されて「投資家って何だ?という感じで、うさんくさいと思っていた」という。それがいろいろと話を聞いて、今度は「株式発行するだけで数千万の大金を、無担保無保証で出してくれるなんて、これは使わない手はない! じゃんじゃん株式発行すればいいじゃないか」と思ったそうだ。「起業家としては完全に分かってない、リテラシーの低い情報弱者だった」(石井氏)

買収後のアオイゼミ退任を決めた深セン訪問

暗黒の創業期を1年半ほど経た2013年、現・千葉道場ファンドの代表で、エンジェル投資も行う個人投資家・千葉功太郎氏と出会った石井氏は、シードラウンドで4000万円の資金調達を実施した。その後、ジャフコからの調達や、KDDI Open Innovation Fundらからの調達を実施。2015年のシリーズAラウンド調達までは「VCや、教育とは縁のない事業会社からしか調達していなかった」という石井氏だが、次のファイナンスのために動く中で、コンテンツ獲得のために既存のリアルの教育事業者と組むことも検討し始めていた。

「学習塾のツラいところはコンテンツ確保で、大学別の対策講座などをやろうとすると、とても大変。そういったコンテンツを持っている会社から出資してもらって、一緒にやった方がいいのではないか、ということで資本業務提携に動いていた。それでZ会と話していたときに、『マイノリティ出資で一緒にできることは限られている。それなら完全に一緒にやらないか』というオファーをいただき、サービスの成長のためには最適のパートナーではないかと考えて、2017年11月にM&Aを果たした」(石井氏)

通信教育で知られてきたZ会グループは、傘下に栄光ゼミナールを持つなど、教育事業を総合的に広く展開するが、「大手とはいえ、教育はレガシーな産業。彼らも私たちのようなテック系を取り入れたかったのだと思う」と石井氏はいう。M&A後は想定していたコンテンツ強化を進めたほか、家庭教師マッチング(現在はサービスを休止)やリアルな塾でオンライン授業の一括配信など、グループ会社と連携して新しい事業を開発していった。

石井氏としては買収後も「特に退任の時期を決めていたわけではなく、もう数年やろうと思っていた」というアオイゼミ。代表退任のきっかけは2019年1月、千葉道場のコミュニティ有志メンバーと中国・深センを訪問したことだった。

「中国では公立の図書館の自習室で、ほとんどの子どもたちがタブレットやスマホを使って、動画で勉強していた。一方、日本国内では、私たちのアオイゼミや競合の『スタディサプリ』などがあるけれども、思った以上にオンライン学習の普及が進んでいない。教育の格差をゼロにして、誰でも立身出世できる世の中にしたい、と会社を作ったが、中国と日本のギャップを見た時に想像以上に衝撃を受けて、ピンと張っていた糸が切れたような感じになった」(石井氏)

石井氏は深セン訪問時の心境について「もしかしたら多くの日本の人たちにとって、オンライン学習はそこまで求められていないんじゃんないだろうか、とも考えたし、日本の教育業界に、これ以上自分の時間を使うことに意義が持てなくなった」と述べている。

1月半ばに深センを訪問した石井氏は、翌週の取締役会で代表退任を宣言。2019年3月、創業した会社を去ることになった。退任後はしばらくの間、東南アジアを中心に旅行していたという石井氏。英語力を鍛えるために、セブ島、シンガポールへ留学もしていたそうだ。

こうして石井氏がフリーの時間を過ごしていた、2019年夏のこと。アオイゼミでエンジェル投資を受けていた千葉氏から「暇だったら千葉道場の運営を手伝ってよ」との声がかかった。石井氏が「以前から参加していた、コミュニティのサポートでもやるのかな」と思い、何を「手伝う」のかよく聞かずにOKの返事をしたところ、「今度ファンドを立ち上げるんだよね」と千葉氏。「気づいたら取締役になっていました」と笑いながら、石井氏は千葉道場ファンド参画のいきさつについて語る。

口外無用、徹底的GIVEの精神で支え合う千葉道場

千葉道場はスタートアップ約60社が参加する、起業家コミュニティだ。ミッションに「Catch The Star(星をつかむ)」、ビジョンに「まだ見ぬ幸せな未来を創造し、テクノロジーで世界の課題を解決する」を掲げる千葉道場について、「スタートアップ起業家が高い視点を持ってチャレンジし、レバレッジがより効きやすい、新しいテクノロジーを活用することを大切にしている」と石井氏は説明する。

そもそも千葉道場コミュニティは、石井氏と、元ザワット創業者の原田大作氏とがKDDIのアクセラレーションプログラム「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」で出会ったことがきっかけとなって始まっている。ザワットは2011年創業で、フリマアプリ「スマオク」などを運営。2012年創業のアオイゼミと同様、千葉氏からのエンジェル投資を受けていた。

両社は組織づくりや資金調達で悩みを抱え、「お互いに1年ぐらい、ツラいことが起きていた」(石井氏)という。そこで「同じようなステージの起業家を集めて、飲み会でもやってみよう」と企画。共通の出資者である千葉氏にも相談してみたところ、「せっかく集まるなら、きちんとプログラムを練ってやってみたらどうか」とのアドバイスを受け、2015年に第1回の千葉道場合宿を鎌倉の寺で開催することになった。

いざ開催してみると「実はもうすぐキャッシュが尽きる、とか、役員が辞めそう、といった生々しい話が多く、『これは外では話せない』ということばかり。同じ起業家として何とか助けてあげたい、という気持ちが膨らんだ」(石井氏)

そこで、千葉道場は徹底した「秘密厳守」と徹底的な「GIVEの精神」で支え合う、起業家のためのコミュニティへと発展。その象徴的存在が、通称「血判状」と呼ばれる、合宿参加者の連判状だ。「実際には(血ではなく)朱肉で拇印を押すんですが、毎回『千葉道場で見聞きしたことは、参加者以外には一切口外しないことを約束する』と改めて誓い合う、というものです」(石井氏)

半年ごと、年2回開催されている千葉道場の合宿では、それぞれの起業家から“過去”“現在”“未来”が共有される。失敗をほかの起業家が繰り返さないよう伝えるのが「過去の共有」、新しいテクノロジーを事業に取り入れる方法など、経営ノウハウについて語るのが「現在の共有」、そして未来のために目線を上げて目標を見つめていく「未来の共有」だ。

「CEOといえども、やはり目先のことにとらわれがちで、創業時に思い描いていた、遠い未来のことを忘れてしまうこともある。視点を上げて次の半年間もがんばっていこう、という場を作っている」(石井氏)

現在は半年に1回の合宿だけでなく、特許庁や東京証券取引所などと合同で勉強会も開催されている千葉道場。「少人数ではアクセスしにくいところにも、集団なら対応してもらえるので、情報を聞かせていただいている」(石井氏)

2030年までにユニコーン100社創出を目指す

千葉道場に参加するスタートアップは、ヘルスケア、D2C、シェアエコノミー、SaaS、住宅テック、アグリテックなど、幅広い。その中には、SmartHRWealthNaviスマートニュースなど、既に名の知られたスタートアップも含まれる。

エグジット済みの企業もいくつか出ている。2017年にはザワットをメルカリが買収、宿泊予約サイト「Relux」運営のLoco PartnersをKDDIが買収アオイゼミをZ会が買収と、参加企業のエグジットが続いた。また2019年にも、タウンWiFiがGMOインターネットグループに株式譲渡している。

さらに2019年12月には、千葉道場参加企業の中からの初のIPO案件として、スペースマーケットが東証マザーズへ上場した

「千葉道場が始まって5年間、半年に1度ぐらいしか集まらないが、一緒に成長してきた仲間という感覚がすごく強い。スペースマーケットさんも苦労されてきたことがある程度分かるので、東証の上場セレモニーで鐘をたたく姿を見られて、何とも幸せなことだと正直すごく熱くなってしまった。こういった(千葉道場発の)IPO案件は、これからも増やしていきたい」(石井氏)

石井氏からは、千葉道場参加企業の時価総額別の分布も紹介された。ユニコーン(時価総額10億ドル以上の未上場企業)も現在2社ありつつ、10億円以下の企業から300億円超企業まで「バランス良く含まれている」と石井氏は述べている。

千葉道場のコミュニティには数値目標が設定されている。「2025年までにユニコーン企業を25社、1兆円企業を1社創出する」、さらに「2030年までには100社のユニコーン企業、5社の1兆円企業を生み出したい」というものだ。「既存のメンバーの中からもユニコーンが生まれる確率は高いと思っているが、この目標を実現するためには、もっと多くの会社に投資をしなければならないだろう」と石井氏はいう。

起業家コミュニティから生まれた千葉道場ファンド

ベンチャーキャピタルとしての千葉道場ファンドの設立は、2019年にシリコンバレーで行われた第10回千葉道場で発表され、投資活動が始まった。千葉氏がジェネラルパートナー、石井氏がパートナー、原田氏がフェローを務める千葉道場ファンドの設立は、10月にはメディアにも公開され、本格的に始動した。

ベンチャーキャピタルが出資先を集めてコミュニティ化するのではなく、千葉道場という起業家コミュニティがファンドを持つ、という形は「通常とは逆の事例で、世界的に見ても珍しい取り組みではないか」と石井氏は語る。

また、エグジットした起業家が外に出て、そこからファンドの運営に入る、という点も千葉道場ファンドの特徴だ。「私も今まさに、プロ投資家としての経験を積んでいるところ。投資家の側に立つと、起業家と違う視点になるので、すごく学びが多い。恐らく次に会社を作ったら、ある程度失敗を防げるのではないか。そうした経験を積んで、もう一度会社を作ったときに、より強い起業家として千葉道場のコミュニティに入る。そこで起業したときにはファンドから投資を受ける。このような形で新しい起業家の育成システムを作れれば、という思いでやっている」(石井氏)

「千葉道場ファンドは投資対象も特殊」と石井氏はいう。「私たちはコミュニティファンドなので、コミュニティに入っていただくためのシード・アーリー投資と、最後に『行ってらっしゃい』というときの後押しのレイター投資、基本的にこの両端にしか投資しない」ということで、中間フェイズについては「ほかのVCや事業会社と連携しながらスタートアップを育成していきたい」と石井氏は述べている。

その他、サポート体制としては、コミュニティの仲間同士で支え合い、教え合うということもありつつ、「いろいろな経験を積まれた投資家、起業家にメンターとして入っていただいている」と石井氏。企業とも連携し、特許業務や採用、ディープテックの分野でアドバイスを受けられるようになっているそうだ。

「千葉道場のミッション『Catch The Star』を少しでも多く広げていくことが、日本のスタートアップシーンにとって、すごくいいことにつながっていくと信じて、引き続きがんばっていきたい」(石井氏)

TC School 「チームビルディング(1)〜チームを集める〜」は南青山で4月10日で開催、参加費無料

TechCrunchでは、例年11月に開催する一大イベント「TechCrunch Tokyo」のほか、テーマを絞り込んだ80〜100人規模のイベント「TechCrunch School」を開催してきた。昨年3月開催の第13回に続き、今年も4月から新たな「TechCrunch School」がスタートする。

すでに80名超の参加登録をいただいているが、このたび立ち見席を含む座席を若干数増やして受付を続行することが決定した。参加費は無料なので、興味のある読者はぜひ参加してほしい。参加チケットはイベントレジストのTCページから入手できる。

昨年3月に開催したTechCrunch Schoolの様子

4月10日のTechCrunch Schoolは、スタートアップのチームビルディングに焦点を当てた全4回のイベントの1回目。テーマは「チームを集める」で、起業時の創業メンバー、会社設立後に早期に入社した初期メンバーのあとに必要となる中核メンバーの採用に焦点を当てる。

イベントは、キーノート、パネルディスカッション、Q&Aの3部構成。キーノートではインキュベイトファンドでジェネラルパートナーを務める村田祐介氏を招き、これまで手がけてきた投資先スタートアップのチーム組成について語ってもらう予定だ。

パネルディスカッションでは、村田氏のほか、現在アーリーステージのスタートアップ経営者として、Meily代表取締役CEOの川井優恵乃氏とレキピオCEOの平塚登馬氏、そしてエン・ジャパン執行役員の寺田輝之氏の4名で、中核スタッフの採用についての悩みを解消していく。そのあと、来場者を交えたQ&Aセッションとミートアップを開催する予定だ。もちろんQ&Aセッションでは、おなじみの質問ツール「Sli.do」を利用して会場からの質問にも回答する。

イベント会場は、TechCrunch Japan編集部のある東京・外苑前のVerizon Media/Oath Japanのイベントスペース。セッション後はドリンクと軽食を提供するミートアップ(懇親会)も予定している。

起業間もないスタートアップ経営者はもちろん。スタートアップへの転職を考えているビジネスパーソン、数十人の組織運営に課題を抱えているリーダーなど幅広い参加をお待ちしている。

TechCrunch School #14概要

チームビルディング(1) 〜チームを集める〜
開催日時:4月10日(水) 18時半開場、19時開始
会場:Verizon Media/Oath Japanオフィス
(東京都港区南青山2-27-25 ヒューリック南青山ビル4階)
定員:100人程度
参加費:無料
主催:Verizon Media/Oath Japan
協賛:エン・ジャパン株式会社

イベントスケジュール
18:30 開場・受付
19:00〜19:05 TechCrunch Japan挨拶
19:10〜19:30 キーノート(20分)
19:35〜20:15 パネルディスカッション(40分) Sponsored by engage
20:15〜20:35  Q&A(20分)
20:35〜21:30 ミートアップ(アルコール、軽食)
※スケジュールは変更の可能性があります。

スピーカー
・キーノート
インキュベイトファンド ジェネラルパートナー 村田祐介氏

・パネルディスカッション、Q&A
Meily代表取締役CEO 川井優恵乃氏
レキピオCEO 平塚登馬氏
インキュベイトファンド ジェネラルパートナー 村田祐介氏
エン・ジャパン 執行役員 寺田輝之氏
TechCrunch Japan 編集統括 吉田博英(モデレーター)

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