米連邦通信委員会、厳格なネット中立性を定めた新規則を採択―ISPはコモンキャリヤに分類

今日(米国時間2/26)、アメリカ連邦通信委員会(FCC)は、予想通り、ネット中立性を定める新たな規則を委員の投票により採択した。民主党任命のトム・ウィーラー(Tom Wheeler)委員長と2名の委員の3名が賛成し、共和党任命の委員2名は反対した。

今回のFCCの新規則案は採決の直前に重要な修整が行われたことで注目を集めていた。これは当初案に有料で優先権を買い取る抜け穴になり得る重大な弱点があることをGoogleが指摘したことに対処したものだった。ネット中立性に対するGoogleの立場は、この大きな貢献で明白だろう。

オンライン・マーケットプレイス、EtsyのCEOは投票に先立って、「インターネットのネット中立性を守るためにFCCが鮮明な線を引いたことを賞賛する」と述べた。

FCCではミニヨン・クライバーン(Mignon Clyburn)委員が最初に発言し、「アメリカを形作る人々はFCCの新規則に満足するはずだ」と述べた。クライバーン委員は今回の採決を「FCCとして3度目に重大な試み」と位置づけた。クライバーン委員はまた、これまで報道されていたとおり、Googleが指摘した抜け穴を防ぐ修整を含めて、当初案の改定に同委員が積極的に関与したことを認めた。同委員はまた料金に関する新規則に対して「懸念をもつ必要はない」と述べた。

ジェシカ・ローゼンウォーセル(Jessica Rosenworcel)委員は「インターネット経済は世界の羨望の的だ。われわれアメリカがこれを発明した。これに続いてアプリ経済がまさに台頭の時期を迎えている。インターネットはわれわれの時代の印刷機であり、町の広場である」と述べた。

インターネットはブロードバンド業者が支配するにはあまりにも重要な分野だ

— FCC Chairman Tom Wheeler

ローゼンウォーセル委員は、今回の採決に先立ってパブリック・コメントに公衆から膨大な数の意見が寄せられたことを指摘し、「400万のアメリカ人がコメントを書いた。…ネット中立性の解釈に関する意見の相違はそれとして、その決定の過程は民主主義の活きた見本であり、アメリカ人が等しく支持すべきものだ」と述べた。

共和党任命のアジット・パイ委員は「FCCがインターネットの自由に政府の規制を持ち込んだ残念な結果だった。FCCは正当な手続きに違反するオバマ大統領の介入を許した」と述べた。パイ委員は「新規則は問題を解決しない。それどころか新規則そのものが最大の問題だ」と強く非難した。

同じく共和党任命のマイケル・オライリー(Michael O’Reilly)委員は特にFCCがブロードバンド接続業者を1934年通信法2条(Title Ⅱ)に定めるコモンキャリヤ(公益通信事業者)に分類したことに反対した。 「ネット中立性を保護する規則などは一切必要ない。それより私がFCCが2条を改悪しようとしていることに強い懸念を覚える。これは巨大かつ不当な越権行為だ」と述べた。同委員はまたFCCが2条の一部条項の適用を控えるとしたことを非難した。

ウィーラー委員長は、「政府であれ民間事業者であれ、インターネットへの自由かつオープンなアクセスを支配するようなことがあってはならない。インターネットはブロードバンド業者が支配するにはあまりにも重要な分野だ」と述べた。同委員長はまた「新規則は政府がインターネットを密かに支配しようとする試みだ」とする非難はナンセンスだと述べ、「米国憲法修正第1項が言論の自由を支配する試みでないのと同様、新規則はインターネットを支配する試みではない」と反論した。

新規則に関しては反対勢力からの訴訟が予想される。ウィーラー委員長はインターネット接続事業者を公益事業と分類するために2条(Title II)を適用したが、事業者は長年この事態を恐れていた。つまりFCCでの可決は大きな前進ではあるものの、アメリカにおけるネット中立性はまだ安全ではない。また議会でも数週間前から激しい議論が始まっている。

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〔日本版〕アメリカの1934年通信法(Communications Act of 1934)の2条(Title Ⅱ)はCommon Carrier(公益通信事業者)について定めており、FCCが各種の規制を事業者に強制する際にもっとも強力な手段となる。これまでインターネット接続事業者の地位については「事実上のコモンキャリヤである」という認識は広がっていたものの、AT&Tその他の巨大ISPの強い反対により、法的には明確にコモンキャリアであると位置づけされていなかった。

新規則はISPを2条に定めるコモンキャリヤに分類するもので、その影響は極めて大きい

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+