最短1時間で届く買い物代行サービス「Twidy」が7000万円を調達

地域密着型の買い物代行サービス「Twidy(ツイディ)」を展開するダブルフロンティアは11月20日、東京電力フロンティアパートナーズと澤田ホールディングス(エイチ・アイ・エス創業者の澤田秀雄氏が代表取締役会長を務める持株会社)を引受先とした第三者割当増資により総額7000万円を調達したことを明らかにした。

今回は6月に実施したシードラウンドの追加調達という位置付け。前回プラネットより調達した5000万円と合わせ、同ラウンドでトータル1億2000万円を集めたことになる。

Twidyは“近所のスーパーでのちょっとした買い物”をクルーに依頼できる買い物代行サービスだ。ユーザーはアプリ上から欲しい商品と届けてもらいたい日時を選んで決済するだけ。リクエストを受けたクルーは商品をピックし、指定の場所まで配送する。

ローンチ時に「日本版のインスタカート」と紹介したように、インスタカートを知っている人にとってはイメージがつきやすいサービスかもしれない。

特徴は注文してから商品が届くまでのスピード感だ。配送エリアを近隣に絞って地域密着型にしていることもあり、最短1時間で自宅まで配送する。

たとえば9月6日にスタートしたライフ渋谷東店の場合は、11時から20時が目安の配達時間。この時間内であれば1時間単位で指定が可能だ。お昼すぎに注文すれば夕飯を作る時間には十分間に合うし、夕方になって急に足りない物が出てきても夜には届けてもらえる。

現在はライフ渋谷東店のみが対象のためサービスを利用できる人も限られているけれど、子育て中のお母さん達を中心に利用が進んでいるそう。ダブルフロンティア代表取締役の八木橋裕氏によると「頼んだらすぐに持ってきてもらえる点が1番好評」とのことで、利用者の半分以上が再度利用しているという。

商品を届けるクルーについてはピック担当のピッキングクルーと配達担当のドライビングクルーの分業制。ピッキングはダブルフロンティアのパートスタッフが、配達に関しては日経新聞の配達員が担う。

これは前回も紹介した通り、実証実験時に配送スタッフがピッキングも含めて担当した結果、商品を間違えてしまうことなどの課題があったため。分業することでオペレーションは複雑化するものの「結果的にはユーザーの満足度向上に繋がり、それがリピート率の高さなどにも影響を与えている」(八木橋氏)そうだ。

11月からは試験的にピッキングの一部を“近所に住む個人ピッカー”が担当する取り組みも始めた。個人ピッカーには対応した件数に応じて報酬が支払われる仕組み。最終的にはこの層を増やして、ユーザー同士が協力し合う地域密着型の小さな経済圏を作り、各地に広げていくのが狙いだ。

今後ライフの別店舗や別のスーパーへの対応も計画していて、3月末までに5店舗くらいまで広げていきたいとのこと。ただし今は店舗数ではなく「ライフ渋谷東店できちんと成功事例を作ること」を重要視している段階。

「まずは勝利の方程式を確立した上で、拡大に向けて本格的に動き出したい」(八木橋氏)という。

日本版インスタカート「Twidy」が公開へ、まずはライフ渋谷東店を対象に最短1時間で買い物代行

スマホからサービス上に登録されているスーパーを選び、欲しい商品を注文すると、早ければ1時間以内で自宅まで届けてくれる買い物代行サービス「Instacart(インスタカート)」。“買い物にいきたいけれど自分で外に出るのは面倒”なユーザーの悩みを解決するプロダクトとして、年々アメリカでその勢力を広げてきている

クラウドソーシングのような形で個人のshopperに買い物を依頼できる仕組みが特徴で、シェアリングエコノミーの代表格として紹介されることも多い同サービス。2012年の創業以来10億ドル以上の資金を調達し企業価値も40億ドルを超えるなど、近年世界のスタートアップシーンを盛り上げてきた1社と言えるだろう。

そのインスタカートの“日本版”とも言えるプロダクト「Twidy(ツイディ)」がもうすぐ東京都内の一部エリアにてローンチされる。

第一弾としてTwidy運営元のダブルフロンティアではライフコーポレーションと提携。9月6日より渋谷区のライフ渋谷東店から、近辺のエリアの住民に対して同サービスの提供を始める。

Twidyは誰かに買い物を依頼したいユーザー(リクエスタ)と、代わりに買い物をしてくれるクルーを繋げるサービスだ。

ユーザーは希望の日時と買ってきて欲しい商品をサイト上から登録し、決済するだけ。リクエストを受けたクルーが買い物を代行して、最短1時間で自宅まで配送する。商品代金とは別で代行代がかかるものの、その分指定した商品がスピーディーに届くのが特徴。9月は代行代を無料で提供するという。

上述した通りまずはライフ渋谷東店からスタート。同社のネットスーパーの商品データベースと連携し、同じ商品をTwidy上で買える仕組みを構築した。今後は渋谷東店以外の店舗や他のスーパーなどが加わり、自宅の郵便番号を入れると対応している店舗が表示されるようになる予定だ。

メインの利用者として想定しているのは、小さな子どもを抱える育児中の共働き家庭。自分で買い物に行く時間が取れないという課題を解決するだけでなく、Twidyによってこまめに買い物ができるような環境を提供していきたいという。

ライフ渋谷東店でのTwidy対応エリア。11:00〜20:00の間で買い物のリクエストができる

買い物を代行する側のクルーについては、商品をピックするピッキングクルーと配達するドライビングクルーを分ける形を採用。まずはダブルフロンティアで雇ったパートスタッフが商品を選別し、それをパートナー企業のスタッフが運ぶ。今回は日経新聞と組み、新聞配達員が商品を届ける。

ダブルフロンティア代表取締役の八木橋裕氏によると、2月に実施した実証実験ではもともと配送を担当するスタッフがピッキングも担っていたのだけど、不慣れな場合も多く改善の余地があった。そこでピッキングについては買い物慣れしているパートスタッフに任せ、分業する形にしたのだそうだ。

八木橋氏が「将来的にはサービス名の通り、スーパーに足を運んだユーザーが“ついでに”他のユーザーの買い物も代行するような世界観を実現していきたい」と話すように、自分の買い物ついでにTwidyを使ってちょっとした副収入をゲットする使い方もできるようになるという。

収益源は利用時にユーザーが商品代とは別に支払う代行代金。現在は500円+α(商品の価格などに応じて一定%の金額が加算)を予定していて、Twidyの売り上げを差し引いた分をクルーやパートナー企業に支払う。実証実験時には20%をTwidyの取り分としていたそうだ。

パートナー企業にとっては空いているリソースを有効活用できる点がメリット。また商品を登録するスーパーにとっても、今まで逃してきたチャンスを掴むことができうる。

「たとえばネットスーパーをやっているような企業でも『物はあるのに運ぶ人がいない』ことがネックになって、機会損失が発生しているケースがある。まずはネットスーパーを持つ企業と組むところから始めて、ネットスーパーを持たないところとも連携を広げていきたい」(八木橋氏)

2019年3月中を目処にまずは8店舗まで拡大するのが目標。都心部をメインに、ゆくゆくは提供エリアや店舗のジャンル(たとえばドラッグストアやホームセンター、街角の和菓子屋など)も広げていく方針だ。合わせて商品をピックするクルーを選べるようにしたりなど、プロダクトの機能拡張にも取り組むという。

「最終的にはサザエさん(に登場する三河屋)のように、ご近所で助け合っていくような世界観のサービスを実現したい」(八木橋氏)

Twidyの運営チーム。1番右がダブルフロンティア代表取締役の八木橋裕氏

ダブルフロンティアは2013年の設立。代表の八木橋氏は前職のKDDI時代に「Skype auサービス」の立ち上げなどを担当した人物で、ダブルフロンティアでもこれまで海外発の新しいサービスとライセンス契約を結び、日本市場で展開するサポートをしてきた。

Twidyは自社ブランドによる新サービス。インスタカートをヒントに2017年に発案したもので、2018年2月に実証実験を経て今回のリリースに至る。

なおダブルフロンティアではTwidyの拡大に向けて6月にプラネットより5000万円を調達。今秋にも同社から5000万円の追加調達を予定していて、シードラウンドで合計1億円の資金調達を実施する計画だ。