ついに、「Z」を冠したフラッグシップモデル「VAIO Z」が復活しました。
ソニーからPC部門が独立し現在のVAIO株式会社が設立されたのが2014年7月。独立直後は、ソニー時代のブランドを引き継ぎつつ、独自開発機種として2015年に「VAIO Z Canvas」とフリップモデルの「VAIO Z」を発売。同年にクラムシェルモデルも登場しました。翌年には第6世代インテルCore i7搭載モデルとし、フリップモデルとクラムシェルモデルが発売されましたが、その後はビジネス向けモデルを中心に開発を続けたためか、パッタリと後継機種が登場しませんでした。
新製品が発表されるたびに「VAIO Zの予定は?」と質問が飛び、VAIOファンとしては首を長くして待ち続けてきました。あれから約5年、本日2021年2月18日に新「VAIO Z」が発表されました。本日から受注開始され、最速お届け日は3月5日となっており、カスタマイズモデルの予想実売価格は26万700円からとなっています。
「挑戦に火をともそう。デザインと技術で世界中のイノベーションを加速する」というVAIOの新たなブランドミッションのもと、「Z」を冠するからには、単なる道具ではなく、オンリーワンで最高の相棒であり、ワクワクを刺激するようなものでなければありません。
その名に恥じない、今回の目玉の1つが、フルカーボンボディという挑戦です。その昔、ボティの軽量化と剛性を両立すべく、ノートPCとして初めてマグネシウム合金を採用したのが、ソニーの「VAIO Note 505(PCG-505)」でした。B5サイズでスリムかつ軽量なモバイルノートを実現しましたが、この挑戦がいまのモバイルノートの軽量化に影響を与えたことは間違いありません。
さらに、2003年にモバイルノートとしては世界で初めて「VAIO X505」にマルチレイヤーカーボンファイバーを活用しています。現在でも天板やパームレストといった平面部位に採用していますが、それだけではさらなる軽量化が難しい判断。もう一歩進んで、ボディ構造全体に使用することを目指しました。
カーボンファイバーは、非常に軽量かつ強度が高く、積層させることで剛性を高められる素材です。しかし、金属やポリカーボネートのような加工が難しいため、これまでボディ構造をカーボンだけで仕上げることができませんでした。そこで、東レと共同で困難な立体成型に挑戦。PCの主要部分を覆うすべての面構造をカーボンファイバーで実現することに成功しました。
剛性を高めるために、エッジ部分をコの字型に曲げたり、ヒンジ部分もV字に曲げるなどパーツに合わせた立体成型を行い、カーボンファイバーのみで剛性を高める工夫をしています。また、内部の立ち壁を減らすことで、設計もしやすくしているといいます。
また今回からは、MIL-STD-810H規格に準拠した試験も取り入れていますが、従来から行っているVAIO独自の試験のほうが厳しいそうです。
曲げにくい素材を理解した上でデザインされたボディは、カーボンファイバーならではの素材を活かした必然のかたちに仕上げられています。ご覧の通り、これまでのVAIOのデザインは踏襲しつつ、チルトアップヒンジ部分などは、改良されました。
ボディサイズは320.4×220.8×12.2~16.9mm。重量は仕様によって違いますが、最軽量時は約958gで、FHDモデルだと約982g、4K+5Gモデルだと約1059gとなります。
ヒンジ部分を変えたことで、対面でプレゼンできるよう、180度まで天板が開く仕様に変更されました。キーボードは、従来のタイピングのしやすさに改良を加え、キートップにより深いディッシュ形状を設け、キーストロークは1.2mmから1.5mmへと深くなっています。また、パンタグラフの材料も見直し、より静音性も高められています。
次の目玉はフラッグシップモデルにふさわしい性能です。CPUは2021年1月に発表された第11世代インテルCore H35シリーズを採用。TDP 35Wと従来VAIOのモバイルノートで採用してきたTDP 25Wより高く、最上位モデルは4コア / 8スレッドのCore i7-11375H(3.3GHz~5GHz)を搭載します。
これまでVAIO TruePerformanceで培ってきたクーリング技術と電源の強化により、TDP 35Wでも十分な性能を発揮。このCPUを搭載したモデルとしては、最軽量クラスになります。
メモリーは最大32GBと、こちらも16GBから倍増。ストレージは第四世代ハイスピードSSD(PCIe 4.0対応のNVMe M.2 SSD)となり、256GB/512GB/1TB/2TBから選択可能です。性能的にはシーケンシャルリードで6000MB/sを超えます。
ディスプレイは14インチ液晶で、4K/FHDのいずれかを選択可能。ディスプレイ上部にあるWebカメラは、スライド式シャッターが搭載され、物理的にカメラをオフにできます。
インターフェースは、これまでのビジネスを重視したレガシー存続路線から一新し、Thunderbolt 4対応のUSB Type-C端子を2つとHDMI端子だけという実にシンプルな構成にしたのもポイントです。
インターフェースが、シンプルになったことで、デスクワークで活用する「Type-C 4Kマルチモニタードッキングステーション」が新たに別売りで用意されました。
また、無線LANはWi-Fi 6を搭載。さらにオプションで5G対応のWWANも搭載できます。アンテナは、従来どおりディスプレイ上部に配したほか、5G用アンテナ(4×4が必須のため)として、パームレストの左右側面部分にも内蔵しています。
バッテリーも新開発の薄型軽量53Whを搭載。FHDモデルで最大約34時間、4Kモデルで最大17時間の駆動時間を実現(いずれも公称値)。1kg切りモデルとしては、トップクラスの性能だとしています。
充電も、従来の電源プラグタイプではなく、USB PowerDeliveryに対応した、65WのACアダプターが付属。サイズも重量も従来よりコンパクトで軽量化されています。もちろん、スマホ向けの5Vタイプでの充電も行えます。
各モデルの仕様
最上位モデルとなる「VAIO Z SIGNATURE EDITION」は、これまでの「ALL BLACK EDITION」のような位置づけで、専用仕様とカスタマイズ可能なスペックは以下のとおりです。
- OS Windows 10 Pro 64ビット / Windows 10 Home 64ビット
- CPU Core i7-11375H(3.3GHz~5GHz)
- メモリー 16GB / 32GB
- ストレージ 第四世代ハイスピードSSD 256GB / 512GB / 1TB / 2TB
- ディスプレイ 4K / FHD
- WAN あり / なし
- キーボード 英語配列(隠し刻印)/ 日本語配列(隠し刻印、かな文字なし)/ 英語配列 / 日本語配列(かな文字あり)/ 日本語配列(かな文字なし)
- TPM あり/なし
- 価格 VAIOストア36万6080円~(パソコン安心サポート付属)/ ソニーストアオンライン35万4200円~
色は、カーボンファイバーの模様を生かしたシグネーチャーブラックと塗装されたブラックがあり、シグネーチャーブラックはSIGNATURE EDITION専用です。
そのほか、標準モデルは以下のとおりになります。
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- OS Windows 10 Pro 64ビット / Windows 10 Home 64ビット
- CPU Core i7-11370H(3.3GHz~4.8GHz)/ Core i5-11300H(3.1GHz~4.4GHz)
- メモリー 8GB / 16GB / 32GB
- ストレージ 第四世代ハイスピードSSD 256GB / 512GB / 1TB / 2TB
- ディスプレイ 4K / FHD
- WAN あり / なし
- キーボード 英語配列 / 日本語配列(かな文字あり)/ 日本語配列(かな文字なし)
- TPM あり / なし
- 価格 VAIOストア27万2580円~(パソコン安心サポート付属)/ ソニーストアオンライン26万700円~
色はブラックのみ。Core i5-11300H選択時は32GBメモリーが選択できないという制約もあります。また、オフィスソフトはSIGNATURE EDITION、標準モデルいずれも選択可能です。
また、店頭販売モデルも用意されています。こちらは、標準モデルがベースで、OSはWindows 10 Home 64ビット、メモリーは16GB、ストレージは512GB、日本語配列(かな文字なし)TPM非搭載、「Office Home and Business 2019」搭載が固定されています。
こうして、今回単なる最新スペックを盛り込んだ仕様というだけではなく、フルカーボンボディという新たなチャレンジにより、他社より一歩抜きん出た存在が示せるマシンが完成したことで、「Z」の冠が復活しました。特にカーボンファイバーの加工においては、東レを軸とした日本各地の企業の力により実現した、いわゆるチーム・ジャパンでつくりあげたものです。安曇野FINISHとともに、日本品質の「VAIO Z」は、VAIOファンが陶酔することはもちろん、日本人魂に火をつけてくれる逸品と言えるでしょう。
このあと、「VAIO Z SIGNATURE EDITION」のレビューもお届けします。
(Source:VAIO。Engadget日本版より転載)
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