メルセデス・ベンツ、ボディー交換式自動運転車のコンセプト発表――柔軟性高いがデザインは奇妙

月曜、メルセデス・ベンツは混雑した都市部における人と貨物の運輸の未来を担うコンセプトカーを発表した。これはVision Urbaneticと呼ばれる全電気自動運転車で、トースターのような角丸のトラックボディーをコガネムシないしオートバイのフルフェイス・ヘルメットのような乗員輸送用のボディーにリアルタイムでスイッチできる。

Vision Urbaneticはこの2年ほど急速に増加中の自動運転のコンセプトカーの仲間入りをした。ただメルセデス・ベンツのコンセプトカーが注目すべき理由はそれだけではない。

Urbaneticのシステムは自動車の未来像に対するメルセデス・ベンツの回答を示している。とはいえ、あくまでコンセプトであってこのまま量産に向かうわけではない。

メルセデス・ベンツのVision Urbanetic.

メルセデスでは同一の電気パワートレーンを搭載したシャーシーを複数のボディーと組み合わせている。これは他の自動車メーカーも考えているビジョンだ。多数のメーカーが車体下部のプラットフォーム化を図っている。これは製造の効率をアップし、コストを下げるのに効果的だ。

Urbaneticがユニークなのは、モビリティー・ハブと呼ばれる基地でその場でボディーを載せ替えることができる点だ。これは下のビデオでは20秒あたりから描写されている。数人のメカニックで載せ換えが可能だ。

つまり共通のプラットフォームの上に貨物を運送するトラックボディーや人間を載せるボディーを必要に応じてその場で搭載するというアイディアだ。プラットフォームとなるシャーシーにはパワートレーン、サスペンションなど走行に必要な機能がすべて備わっている。メルセデス・ベンツによれば「自動運転シャーシーはボディを搭載しないままで次に必要とされる場所に自走できる」としている。

乗客を輸送するためのボディーはミニバスタイプで、定員は12名だ。貨物モジュールの容量は10立方メートルで、上下2層に区切ることができ、最大10個のパレットが搭載できる。

現在多くの自動車メーカーは貨物配送とタクシー型ライドシェアに対応できる新しいロジスティクスのインフラを目指して努力中だ。メルセデス・ベンツのUrbaneticsは一つの有力なアイディアだろう。ただしこのUrbaneticsが実用化されるためには、ボディーの載せ換え、整備、充電、保管などを行う
基地が都心部に必要となる。

メルセデスはこの点にも考慮を払ったようだ。基地でのボディーの載せ換えは自動でもマニュアルでもできる。メルセデスによればどちらも数分しかかからないという。ダイナミックなコミュニケーション・システムが用意され、リアルタイムで必要なボディータイプや行き先が決定される。たとえばある会場でコンサートがもうじき終了するという情報を得れば、ライドシェアの乗客が急増すると予測して周辺地域に多数のタクシー型車両を派遣することになる。

画像:Mercedes-Benz

メルセデスではこのシステムは工場や空港など一定区域内での利用にも適しているとしている。

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滑川海彦@Facebook
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