今日から(米国時間6/23)、FirefoxのNightlyリリースのユーザはWebIDEを試用できる。それは、HTML5アプリケーションのための開発環境で、それをブラウザ本体が内蔵しているのだ。
Firefoxを前から使っている人なら、Bespinという、やや似たようなプロジェクトを覚えておられるだろう。それもやはり、ブラウザが内蔵しているコードエディタだった。Bespinはやがて立ち消えになり、その後Cloud9 IDEのコアとして利用された。しかしBespinの視野は、かなり限定されたものだった。
Mozillaの主席デベロッパエヴァンジェリストChristian Heilmannによると、WebIDEは(エディタとしても優れているが)単なるコードエディタではない。むしろWebIDEには、デスクトップとモバイルのレスポンシブな(responsive, 反応性/応答性の良い)アプリケーションを作るための完全なツールチェーンがある。FirefoxOSのシミュレータまであるので、このOS用のアプリのテストは簡便にできるが、もちろんふつうの現代的なブラウザ用のアプリケーションも十分に作れる。
WebIDEにはアプリケーションのサンプルがあり、デベロッパはそれを自分の仕事のスタート台として利用してもよい。それを利用すると、ほんの数クリックで新しいWebアプリケーションがブラウザ上で動きだす。 そのサンプルアプリケーションには、どのアプリケーションでも必ず必要なコードがすべて書かれていて、アプリケーションに変更を加えて再ロードするのも手早く簡単にできる。アプリケーションの検証と再パッケージングは、WebIDEが自動的に行う。
Heilmannによると、今広く使われているIDEの多くがWebアプリケーションの開発に向けて最適化されていないので、デベロッパはセットアップや構成に苦労しなければならない。それはとくに初心者にとって障害になる。でもWebIDEなら、アプリケーションを書き始めるために必要なものはすべてブラウザに内蔵されている。
Mozillaでデベロッパツールを担当しているDavid Campによると、WebIDEのコードエディタはCodeMirrorをベースとし、コード分析フレームワークtern.jsを統合していて、たしかにこのIDEの中核ではあるが、ユーザであるデベロッパは自分の好きなエディタを使い続けても、いっこうにかまわない。
WebIDEのエディタを使わない場合でも、デベロッパはWebIDEのインタフェイスからランタイムの管理やアプリケーションの検証が十分にできる。そういう機能へのアクセスの仕方は三通りある: 1)WebIDE自身がコードの変化を監視する、2)デベロッパがコマンドラインでAPIを利用する(そのためのツールをもうすぐリリース)、3)サードパーティのIDEやエディタのベンダがこれらのAPIを使ってMozillaのサービスを自分の製品に統合する。
HeilmannとCampご両人によると、今作業を進めているのは、WebIDEとFirefoxのRemote Debugging Protocolの統合だ。これによりデベロッパは、わざわざエミュレータを使わなくてもデスクトップやモバイルのブラウザ上で、今書いているアプリケーションを容易にテストできるようになる。今のところそれは、デスクトップとAndroid上のFirefoxと、Firefox OS用のアプリケーションが対象だが、今後はプロトコルアダプタを作ることによって、Chrome for AndroidやSafari on iOSでも使えるようになる。プロトコルアダプタは、Campによると、いろんな難題の打開のめどはすでに立っているから、数か月後には完成品を提供できるという。
今のところWebIDEは隠れ機能になっているので、Firefox Nightlyをインストールしたらabout:configをURL欄に入力し、devtools.webide.enabledを’true’にする。Mozillaによると、数週間後にはWebIDEをデフォルトで有効にし、そして数か月後にはFirefoxの正規安定版にも搭載される予定だ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))