発達障がい児やその保護者向けのサービス「Branch(ブランチ)」を提供するWOODY。同社は6月22日、乙武洋匡氏、フリークアウト代表取締役の佐藤裕介氏、ANRIおよび個人投資家を引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。またこの調達と前後してリブセンス共同創業者の桂大介氏がWOODYに相当額の寄付を行っている。これらの詳細な金額については公開していないが、WOODYでは調達と寄付を合計して数千万円の資金を調達している。
発達障がい児と療養士などのメンターをマッチング
WOODYは2013年11月の設立。もともと電子書籍サービスや動画や写真を使ったコミュニティサービスを提供していたがピボット。現在提供中のBranchは、アスペルガー症やADHD(注意欠陥・多動性障害)といった発達障がい児と、学問や趣味など、子供達が興味を持つであろうさまざまな領域でのプログラムを提供する詳しい学生や療養士などの専門家で構成された「メンター」をマッチングさせるサービス。
発達障がい児を持つ保護者(ユーザー)が、サイト上でメンターを検索し、日時を指定してプログラムを予約。時間になれば対面(東京都内のみ。交通費等はユーザーが負担)、もしくはビデオチャット(地方向け)にてメンターがプログラムを実施。後日、担当したメンターからの報告レポートが届くというもの。
現在はこれに加えて保護者と療育士をマッチングし、発達障がい児に関する相談ができるサービスも提供している。メンターは現在約30人。いずれもWOODYにて審査を実施し、通過した人物だという。
きっかけは、保護者としての実体験
サービスを提供するWOODYの代表取締役である中里祐次氏。同氏は自身、発達障がいの子どもを持つ保護者なのだという。以前提供していたサービスのピボットを検討していた時期に、子どもが興味を持ったとあるワークショップに参加。そのワークショップを通じて子どもに趣味ができ、いい影響があったという実体験があった。そこから投資からと話し合い、Branchを立ち上げるに至った。
「自治体が9割を負担してくれるようなソーシャルスキルトレーニングやデイケアはあるが、僕らは好きなモノ(スキル)から、子どもの可能性を見つけていきたい。(発達障がい児について)困っていることをリスト化していくだけでなく、好きなこと、興味があることを見出していく」(中里氏)
また現在は、子ども向けサービス以上に保護者向けサービスのニーズが高まっているという。今回の調達を経て、WOODYでは保護者向けサービスを拡大。加えて7月中にも東京都内にリアル教室を開設。テスト運営を進めることで、マネタイズを進めるとしている。「まずは2年をめどに黒字化を目指します。よく『ソーシャルビジネス』と言われますが、ほかの起業家と同じ。ビジネスとして継続できないと、支援をし続けることができません」(中里氏)
また将来的には、保護者向けのコミュニティや同じ興味をもつ子どもらのマッチング、寄付をベースに低所得家庭でも利用可能なサービスの提供なども検討していく。