Zapierがデベロッパプラットホームを大幅アップデート, 誰もが自由にデータネットワークを構成できる時代へ

複数のアプリケーションを結びつけて仕事を自動化できるプラットホームZapierにはこれまで、統合化できるサードパーティサービスにやや制約があった。それが、今週発表されたデベロッパプラットホームのアップデートにより、変わった。

この変化によって何よりもまず、システムがオープンになり、どんなアプリケーションでもお互いに対話し、データを交換できるようになった。したがって、複数のアプリケーションを使って行う仕事が、ずっと楽になった。そうやってアプリケーション同士を結びつけて使うようになると、凝り固まった融通の効かないオンプレミスのテクノロジを解体できるようになり、データの取り出しや利用がこれまでになく自由に多面的に行えるようになる。

Zapierは、このところ増えてきた、‘きっかけを実際のアクションに変える’サービスの一つだ。Zapierを使うとたとえば、どこかのWebページがアップデートされた、というきっかけを、その通知を得るというアクションに変えられる。ソーシャルネットワークに写真が送られた、というきっかけを、それをDropboxに保存するというアクションに、このサービスを使って変えられる。

これからは、APIを公開しているサービスならなんでもZapierに加えられる。しかも、一つのきっかけ(トリガ, trigger)に複数のアクション、複数のきっかけに一つのアクションを結びつけられる。そこでたとえば企業は、営業、経理など複数の部課からの情報を結びつけてまとめることができるだろう。

Zapierは今、262のサービスを結びつけられる。Gmail、MailChimp、Dropbox、Salesforceなどもその中にある。昨年の夏にデベロッパプラットホームをローンチして以来、新たに141のサービスが加わった。また、デベロッパプラットホームはBackbone.jsを使って作り直したので、より高速になった。

Zapierの協同ファウンダWade Fosterによると、これまでは特定の高度な認証方法を使っているサービス(Google Docs、Twilioなど)しかZapierに加えられなかったが、今回アップデートされたデベロッパプラットホームでは、一般的によく使われている認証方式を使っているサービスなら何でもよい。これにより、Zapierを使えるサービスの数はどっと増えるだろう。デベロッパはもちろんのこと、プログラムを書けない人でも、APIのあるサービスなら何でも加えられるようになる。オンプレミスのCRMやERPシステムでも、公開的に、あるいは社内限定的に、結びつけることができる。

たとえば下の例では、EtsyをZapierのプラットホームに加えている:

ZapierのAPIの前面に座って、サービス同士を結びつける仕事をしているスクリプティングエンジンも公開される。これによりデベロッパは、複数のソースからデータを取り出せる。これまでのAPIでは、二点を結ぶことしかできなかった。しかしこれからは、複数のアプリケーションを呼び出したり、異なるサービスやデータソースから取り出した情報を返せる。

たとえば、請求データと、売り先の顧客の連絡先情報がそれぞれ別のサイロにあっても、一つのAPIから両方にアクセスできるようになる。

これまであまりにも長く、企業のITは迷路のようなデータサイロ群を抱えていた。しかし、BMC SoftwareのCTO Chris Dancyによると、Zapierにより誰もがSAPやOracleのデータを結びつけることができるので、多様な可能性が開ける。それは、SaaSの勃興と、使いやすい各種サービスの誕生によって生まれた“影のIT”のおかげだ。相対的に、従来からの表のITが無能に見えてくる。

Dancyは次のように言う。“映画のInceptionのようなITとは、アシスタントたちや、工場の工員、あちこちの平(ひら)の社員たちがAPIラッパーを使って企業の動的構造を実質的に変えているような情報ワークだ”。彼らのことを、影のITと呼ぶ。

人びとが、そのように、新しい形で結びつけるためには、あちこちに散在している互いに異質な情報を結びつける方法が必要だ。そしてZapierのデベロッパプラットホームは、これまで専門の技術者に頼って、高い費用をかけて行っていた複数のデータソースの結合を、誰もが日常的にできる情報ワークに変える、そういう方法の一つなのだ。

社内各所に、APIによって結ばれたデータのネットワークができて、それに伴って組織の構造も変わる。次のステップは、使いやすさの実現、つまり専門技術者ではない若い女子社員にでも簡単にデータ分析ができるようにデザインされたAPIだ。そうして、誰もが自分独自のリコメンデーションエンジンや、それまでデベロッパにしか作れなかった結合ネットワークを作れるようになる。インセプションITの時代にようこそ!、だ。

(画像提供: Flickrより。)

おことわり: この記事の起源は、Chris Dancyと、Wiredのライターで本誌TechCrunchの寄稿者Klint Finleyとのポッドキャストだ。そこで私たちは、サイボーグとAPIについて、話し合っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Webページの重要データをスプレッドシートに変えるImport.io, 人が読むWebから機械が読むWebへ

TechCrunch Disrupt San Francisco 2013のStartup Alleyに登場したImport.ioは、複数のWebページ上の重要なデータをスプレッドシートに変換して、より見やすく、そして(コンピュータ上で)使いやすくする、というサービスを提供する。

同社のCDO(Chief Data Officer) Andrew Foggの説明によると、Webページは本来、人間が“読む”ためのものである。でもマシンが情報を理解するためには、別の形式の方がよい。Import.ioを利用すると、データを手入力でクェリしたり、あるいはAPIからクェリすることができる。

彼らはこれまで長年、いろんなサービスを使ってWebサイトからデータをかき集めてきた。その苦労と不満の経験から生まれたのが、Import.ioだ。たとえばYahoo! Pipesは、いろんなWebサイトにアクセスして関連データを集めるシステムだった。Dapperは複数のWebページからデータをかき集めて、それらのコンテキストを構築するサービスだった。今日では、iftttZapierなどのサービスがデータコネクタを使って複数のアプリケーションをつなぎ合わせる。たとえばiftttを使うと、WebサイトからのフィードをSMSに結びつけるから、Webのアップデートをテキストメッセージでもらえる。

これらに比べるとImport.ioは新種のサービスで、これまで大量の手作業が必要だったデータの収集整理と、それらからの情報の取り出しを、素早くやってくれる。データの統合化は、今もっともホットな話題の一つだ。人びとは、複数のデータソースからの雑多なデータの集合に、価値を見いだし始めているからだ。だからImport.ioのようなサービスがこれからはデータの統合化を何らかの「形(かたち)」にして提供し、Web全体をマシンリーダブルなデータベースに変え、単なる“人が読むためのページ”以上の情報を、そこから取り出すことができるのだ。

Import.ioの実際のユースケースについては、上のビデオをご覧いただきたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Zapier、APIのダウンを発見する監視サービスを公開

Zapierはオンラインサービスを繋ぐ作業を自動化するサービスだ。このほど、200種類のAPIを監視するサービスを開始した。時にはプロバイダーより早くダウンを見つけることもある。

新ツールは、Zapierでサポートしている全APIのアップタイムとダウンタイムを監視する。人気のウェブAPIのリアルタイムの状況やZapierのサービスを利用している顧客への影響をモニターする他、単にAPIの動きを追跡するための便利なツールとしても使える。各APIは、SMS、 インスタントメッセージ、メール、その他Zapierの中核サービスでサポートされている様々な方法を使って監視できる。

Zapierの共同ファウンダー、Wade Fosterは監視サービスを開発した理由について、ベンダーは主要製品については性能監視用のダッシュボードを提供していることが多いが、APIにはなかったからだと言った。これは AmazonDesk.com37Signalsなどのサービスについて言えることだ。APIがアプリ同志を繋ぐ糊となっている今、これは問題だ。その結果APIがダウンすると消費者は闇に置き去りにされる、とFosterが最近のメールで語った。例えば、Google APIがダウンした時、Zapierはほぼ瞬時に発見した。

そのダウンに関するHacker Newsのスレッドがこれだ。「相棒の共同ファウンダーは、そこでトップコメンターになっている。それに続くコメントの数々が、われわれがこの機能を公開する後押しになった」とFosterは言った。

ダッシュボードは公開されてから約1週間になる。ほぼ全ては常時稼動中であり、最近のアプリケーションの質の高さをものがたっている。

これはかなり嬉しいサービスだ。アプリに組み込んだ複数のAPIを監視しなければならないデベロッパーにとっては特に重要だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)