今日(米国時間4/9)のWall Street Journalの報道によれば、今年初めに軍事衛星Zumaの打ち上げが失敗した問題で、アメリカ政府は打ち上げを実施したSpaceXに責任はないと判断した模様だ。Zuma衛星はFalcon 9に搭載されて発射されたものの、軌道投入に至らず太平洋上に落下して破壊された。
Zuma衛星の目的その他の詳細はきわめて高度な秘密事項でうかがい知ることができないが、 この衛星の開発費用は35億ドルにも上っていたという。発射のもようは通常どおりライブで広く公開されたが、ペイロードは厳重に秘匿されていた。情報源によれば、2つの異なるアメリカ連邦政府機関が調査を行い、それぞれが失敗の原因はペイロード・アダプターにあったと結論した。ZumaをFalcon 9の2段目にセットするアダプターを改造したのは衛星を開発したノースロップ・グラマンだった。
記事によれば、このペイロード・アダプターは無重量状態では所定の作動ができなかったという。
ノースロップ・グラマンはペイロード・アダプターを下請け業者から購入し、同社で大きな改造をした。事情に詳しい人物によれば、同社の3回の地上試験ではいずれも正常に動作していたという。しかし衛星軌道に達した後、無重量状態になるとアダプターはペイロードをロケットから切り離すことができなかった。
情報源によれば、衛星のセンサーは状態を適切に地上に送信できなかったため、当初、地上では重大な問題が発生していることが認識できなかったという。2段目の高度が低下し大気圏に引き戻される軌道になって始めて地上では衛星がロケットからの切り離しに失敗していることが判明した。衛星は最終的に2段目から放出されたたが、ときすでに遅く、失敗回復のすべがない高度にまで落下していた。
Falcon 9による打ち上げの成功の中にもかかわらず、Zumaの切り離しが失敗したことは目立ったいてが、u衛星自体の機密性のためにこれまで詳しい状況は明らかにされていなかった。SpaceXのロケットは過去にはなばなしい失敗を何度か繰り返しており、信頼性に対する公衆のイメージは必ずしも高くない。そのため同社は事故後「Falcon 9の作動は万全だった」と発表し、同社のテクノロジーに原因があったのではないかという憶測を否定した。
その後、Zumaの失敗はSpaceXのせいではないとする報道が相次いだ。政府による公式の調査も同様の結論に達したようだ。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)