マイクロソフトがパーソナライズできるニュースサービス「Microsoft Start」を提供開始

米国時間9月7日、Microsoft(マイクロソフト)はニュースをパーソナライズして読める独自のサービスを開始した。Microsoft Startという名称で、ウェブサイトとモバイルアプリの両方で利用でき、さらにWindows 10と11、ブラウザのMicrosoft EdgeといったMicrosoft製品とも統合されている。フィードにはニュース提供元からのコンテンツがユーザごとの関心に応じて組み合わされて表示されるという。このカスタマイズのシステムは、ニュースを提供しているAppleやGoogle、そしてFlipboardやSmartNewsなどの人気アプリとの闘いにプラスに働くだろう。

Microsoftによれば、このプロダクトはMSNやMicrosoft Newsといったオンラインとモバイルの顧客向けサービスのレガシーの上に作られているという。ただしMSNを置き換えるものではない。MSNは引き続きサービスを提供し、MSNとMicrosoft Startは社内での新たな競合となる。

Microsoft Startを利用するには、スタンドアローンのウェブサイトであるMicrosoftStart.comにアクセスする。このサイトはGoogle ChromeとMicrosoft Edgeで利用できる(Safariでは利用できない)。またはiOSかAndroidでモバイルアプリのMicrosoft Startをダウンロードする。

Microsoft Startは、Windows 10のタスクバーとWindows 11のウィジェットでもニュースやトピックの表示に利用される。Microsoft Edgeでは新規タブのページにも表示される。

画像クレジット:Microsoft

ぱっと見たところ、Microsoft Startは他のオンラインポータルとよく似ている。さまざまな提供元からのニュースが集められ、天気、株価、スポーツなどのウィジェットもある。記事を読むためにクリックすると、Microsoftのドメインでホストされているシンジケート化バージョンが表示される。上部にはナビゲーションバー、見出しの下には絵文字のリアクションボタンも用意されている。

個別の記事ではなくホームページを見ているときも、絵文字でニュースにリアクションできる。

絵文字のセットはFacebookのものと似ている。ただしFacebookで問題視されている笑い顔は、考えている顔に置き換えられている(Facebookの笑い顔は、例えば新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のような悲しい出来事を記したストーリーに対しても、大っぴらに投稿をばかにしたりしたり人をあざ笑ったりするのに使われているとして批判されることが増えている)。

Microsoftは絵文字にもう1つ変更を加えた。ホームページでストーリーに絵文字でリアクションすると、トップ3の絵文字ではなく自分が付けた絵文字だけが表示される。

画像クレジット:Microsoft

オンラインのウェブポータルに集められるニュースコンテンツはあまり動的でないことが多いが、Microsoft Startのフィードはさまざまな方法でユーザの関心に応じて調整される。

「パーソナライズ設定」ボタンをクリックすると、ニュースやエンタメ、スポーツ、テクノロジー、マネー、投資、トラベル、ヘルスケアなど多くのカテゴリーから興味のあるものを追加したり削除したりすることができる。あるいは、カテゴリーやトピックを検索してもっと細分化されたもの、もっとニッチなものを設定することもできる(「子育て」ではなく「中学生の子育て」のように)。これはFlipboardの最近のアップデートで、ユーザが同様に選択することにより「For You」フィードという自分専用のメインページを作れるようになったことを思い出させる。

Microsoft Startのフィードをブラウズする際に「このような記事を増やす」「このような記事を減らす」をクリックしてさらにフィードを調整できる。時間をかけてユーザがコンテンツを調整していくことでフィードはどんどん洗練されるとMicrosoftは説明する。このようなカスタマイズにはAIと機械学習の他、人間による調整も活用されていると同社は説明する。

フィードには他のオンラインポータルと同様に広告が掲載される。下へスクロールすると点々と広告が入り、サイト名の横に緑色の「PR」バッジが付いている。大半は製品広告で、ニュースコンテンツとは関係がないようだ。MicrosoftはMSNを継続しており、Microsoft Startは他の多くの製品と統合されているため、Startが始まったことでMicrosoftが広告を掲載できるスペースは増えている。

iOSアプリのプライバシーラベルを見ると、他社のアプリやウェブサイト間でユーザをトラッキングするのにIDが使われる。これに対してGoogleニュースはトラッキングをしていない。Microsoft StartもGoogleニュースも、位置情報、ID、検索履歴、使用状況データ、ユーザコンテンツなど「ユーザに関連づけられたデータ」は多数収集している。ウェブサイトについては、Microsoft全般のプライバシーステートメントにリンクしているのみだ。

ウェブサイト、アプリ、統合は公開が開始されている。iOSでは以下のQRコードをスキャンするとApp Storeのページへ移動できるが、Androidでは原文記事制作時点で古いアプリにリンクしていたようだ。

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画像クレジット:Microsoft

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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