「スター・ウォーズ」のポッドレースを彷彿とさせるeVTOLレースが2021年開催、Airspeeder主催

eVTOL(電動垂直離着陸機)産業の大半が都市エアタクシーや貨物輸送に目をつけている一方で、起業家のMatthew Pearson(マシュー・ピアソン)氏は別のアイデアを持っていた。空飛ぶ電動レース機だ。ピアソン氏は2019年に2つの会社を興した。機体を製造するAlauda Aeronautics(アラウダ・エアロノーティクス)と、機体を競わせるインターナショナルシリーズのAirspeeder(エアスピーダー)だ。そして現在、Airspeederは初の電動飛行レース機のテストフライトを完了し、2021年EXAシリーズの最初のレースを開催する準備が整っていると話す。

飛行レース機である電動Alauda Mk3は南オーストラリアでテストフライトを実施した。機体認証を行うオーストラリアの民間航空局がフライトを確認した。ピアソン氏のビジョンは、Airspeederの映画のようなトレーラーを観るとわかるが、パイロット座席に人間が座っていない、「スター・ウォーズ」に出てくるポッドレースを彷彿とさせるレースだ。

2021年に開催されることになっている最初の3つのレースには、リモート操作される機体が参加する。Airspeederは2022年にもパイロットが乗り込んでのレースを計画している。

パイロットなしのMk3の最高速度は時速200km、重量は130kgだ。停止した状態から時速約100kmに達するまで2.8秒だと同社は話し、TeslaのModel SやPorscheのTaycanになぞらえた。フォーミュラ1やNASCAR(ナスカー)に忠実に、Mk3はピットに入っている間にすばやく取り替えられるバッテリーを搭載している。ピットクルーは、Alaudaがデザインしたバッテリーを20秒もかけずに取り替えることができる。Mk3は1つのバッテリーパックで10〜15分飛行することができる。そのため45分間のレース中、地上のパイロットは遠隔操作で約3回、機体をピットに着陸させることになる。

Mk3は、ピアソン氏がいう衝突回避システムを構成するLiDAR、レーダー、そしてマシーンビジョンを搭載している。同社は各機体に備わっているセンサーの数を明らかにせず、また専有情報だとしてシステムについてのさらなる詳細の提供についても却下した。しかし飛行レース機のための安全システムのデザインに関する課題は、機体が互いにぶつかることなく可能な限り近づけるよう十分なフレキシビリティを持たせることだ。競い合うパイロットにとってこれは問題だが、Airspeederのシステムについてもそうだ。

ピアソン氏は次のように説明した。「機体は互いに通信して、相手がどこにいるかを把握しており、同じアルゴリズムを使って同じ方法で衝突回避の問題を解決します。ですので、機体は互いの行動を予測することができることを知っています。それが衝突回避のフレームワークのようなものです。その中でパイロットに可能な限り多くの自由とコントロールを与えたいと考えています。パイロットとマシンの間にある壁をどこまで高くするのかという点が、本当におもしろいところです」。

エアタクシーサービスを開発しているメジャーなeVTOL企業と比べても興味深いものだが、電動飛行レース機のためのエコノミクスと商業化への道は異なる。「商業化モデルはかなり急速に進んでいます」とピアソン氏は話した。「商業展開が可能な他の誰よりも我々は真っ先にレースすることができます」。

Airspeederがそのように身軽に動ける理由の1つに、認証に向けた道が人々を輸送するエアタクシーとはかなり異なることが挙げられる。一部の推定によると、そうしたスタートアップはデザイン、認証、機体モデル1つの製造に数億ドル〜10億ドル(数百〜約1100億円)も使う。Mk3は特定の安全・対空性基準を満たす必要がある実験のための認証をオーストラリアの民間航空局から取得して飛行しており、重量規制は客を乗せる機体よりもかなり少ない。

「当社のプログラムに関して重要なことは、機体を一定の開発サイクルに維持することです。1つの機体を製造して、その後10年以上認証する代わりに、当社は毎年新しい機体を作ります」とピアソン氏は説明した。「航空がいかに普通に機能するかではありません。そして、乗客向けに応用したいのなら、どのようにするかではありません」。

Airspeederは2020年4月に額非公開で初の資金調達を行った。そのラウンドはオーストラリアの投資家Saltwater CapitalとJelix Venturesがリードした。ピアソン氏は自身も資金を注入し、ロジスティック企業DHLと高級腕時計メーカーIWC Schaffhausenとの提携を獲得したと述べた。Airspeederは、どのようにスモールスケールの航空機製造オペレーションの資金を賄ったのかについて詳細は明らかにしなかった。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:AirspeedereVTOLレース

画像クレジット:Airspeeder

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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