「ブレインケア」という新分野に向けてサプリメントを販売するHeightsが、2.4億円の資金を調達

新しいウェルネス系スタートアップ企業のHeights(ハイツ)は先週、「ブレインケア」というカテゴリーに焦点を当て、正式にローンチすることになった。このスタートアップは、科学的なデータに基づくという「脳に栄養を与える、超高品質で持続可能な植物ベースのサプリメント」を販売する予定だ。

同社はクラウドファンディングのSeedrs(シーダーズ)を通じて170万ポンド(約2億4000万円)のシード・ファンディング・ラウンドを調達しており、これには機関投資家のForward Partners(フォワードパートナーズ)も参加している。エンジェル投資家には、New Look(ニュールック)の創設者Tom Singh(トム・シン)氏、WeTransfer(ウィートランスファー)のDamian Bradfield(ダミアン・ブラッドフィールド)氏、Shazam(ジャザム)のDhiraj Mukherjee(ディラジ・ムカージー)氏、Planet Organic(プラネットオーガニック)のRenee Elliot(リニー・エリオット)氏、イングランド代表のマンチェスター・ユナイテッド所属プロサッカー選手で投資家でもあるChris Smalling(クリス・スモーリング)氏などが名を連ねている。

この資金は、プロバイオティクス(有用菌)の一種で認知と精神的な健康を目的としたサイコバイオティクス(腸内細菌)サプリメントを間もなく発売するなど、顧客拡大と新製品開発のために使用される予定だ。

Heightsの顧客は最初に「脳の健康」の調査を受け、その後、1カ月、3カ月、または1年間の定期購入に申し込むことになる。

これは1日に2つのカプセルを摂取するだけで、定期的にビタミンを摂取する煩わしさを大幅に減少させることができる。

製品は郵便受けに入る形状の変わったボトルに入っており、これは有名なプロダクトデザインエージェンシーのPentagram(ペンタグラム)がデザインしたものだ。サブスクリプションに含まれているコンテンツとコーチングプログラムが顧客を支援し、1カ月後にもう一度、脳の健康調査が行われる。Heightsは使用者の「93%」が1カ月以内に脳の健康スコアを改善したと主張している。

「デザイナービタミン」と表現されることもあるこの新しい市場にいるのはHeightsだけではない。既にHims / Hers(ヒムズ/ハーズ)、Motion(モーション)、Vitabiotics(ビタバイオティックス)、Bulletproof(ブレットプルーフ)などの企業が参入している。

これらの企業は一般的に「ヌートロピックス(向知性)」と呼ばれるカテゴリーに分類される。これは健康な人の認知機能、記憶力、創造性、モチベーションを向上させるように設計されたビタミンやミネラルなどのことだが、市場は小さくない。「セルフケア」、「ヘルスケア」、「自己開発」といった市場は、1兆ドル(約104兆7000億円)以上の価値があり、サプリメントだけで少なくとも1000億ドル(約10兆4700億円)以上の価値がある。

Heights創業者のダン・マレー=サーター氏とジョエル・フリーマン氏、アドバイザーのタラ・スワート博士

しかし、Heightsは前述のプレイヤー達とは違うことをやろうとしていると、共同創設者のDan Murray-Serter(ダン・マレー=サーター)氏は言う。

テキストベースのインタビューで、同氏は次のように語った。「ヌートロピックスと呼ばれるカテゴリーは、実際のところ応急治療に焦点を当てています。それが私たちが『ブレインケア』というカテゴリーの創出に取り組んでいる理由です。なぜなら、人生に「応急治療」なんてないからです。また、この用語とカテゴリーは、人々に「一攫千金」のような誤った希望を抱かせてしまいます。私たちはそれとは違うやり方、つまり科学的に研究された記事やジャーナルの参照から始めています」。

彼は、Heightsがスキンケアやヘアケアのブランドのような位置づけになるだろうと述べている。「人々は、毎日の習慣と実践が長期的な効果を作るものであり、一日だけの奇跡ではないと理解しているからです」。

マレー=サーター氏によれば、科学的には私たちの脳が活性化するために20の重要な栄養素が必要だという。これらは主にマルチビタミン、オメガ3、そして「ヌートロピックス」を組み合わせて購入することで得ることができる。Heightsは、それを体が吸収しやすくする特許を取得したカプセルに入れて、最も「生物学的に利用可能な形」で「最高品質の」成分を供給すると、同氏は語っている。

「ビタミン剤を飲む習慣が定着しない最も一般的な理由の1つは、ボトルが食器棚の中に入ってしまい、無視されてしまうことです。だから私たちは、品質と同時にデザインから始めました」と彼は言う。Heightsのビタミンは独自の、リサイクル可能なボトルに入っており、ユーザーがそれを送り返せば、Heightsもそれをリサイクルして使う。

以前、モバイルコマースのスタートアップ企業であるGrabble(グラブル)を設立したマレー=サーター氏は、慢性的な不安と6カ月間の不眠症に苦しんだ後、Heightsのアイディアを思い付いたという。この問題を解決したのは、通常1日に推奨される最低レベルのビタミンしか入っていない標準的なサプリメントではなく、高品質で高密度のビタミンとサプリメントだった。

共同設立者のJoel Freeman(ジョエル・フリーマン)氏と、認識能力の最適化をテーマにしたニュースレターを開始すると、2人は6万人の読者を獲得した(www.yourheights.com/sundays)。

そして、実際の製品を発売することを思い付いた。

現在、同社のポッドキャスト「Braincare(ブレインケア)」は、ダウンロード数が10万を超えており、重要なチームの一員として最高科学責任者のTara Swart(タラ・スワート)博士(写真)も加わった。

現在の2つの状況がHeightsにとって追い風となる可能性がある。まず第一に、この新型コロナウイルスが流行している時代、世界中の公衆衛生当局や政府は、体の免疫システムを高めるためにビタミンDを摂取することを患者に推奨している。Heightsのカプセル2個には、他の多くのサプリメントと同様、ビタミンD3の「栄養基準値」(旧称:推奨摂取量)の400%が含まれていることは注目に値する。理論的に、これは通常の錠剤の4錠分で接種できるが、Heightsが提供する顧客体験や追加で含まれている他のビタミンは、多くの人にアピールするだろう。2つめは、メンタルヘルスへの意識と良好なメンタルヘルスを維持することへの関心が高まっており、公の場で日常的に話題となっていることだ。Heightsはこれら2つの波に乗るための良い位置にいるように見える。

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画像クレジット:Heights
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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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