「全ての教育者を起業家」にすることを狙うClarkが100万ドルを調達してローンチ

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家庭教師であることは難しい。その理由の1つは、多くの教育者たちは、たとえ彼らの収入を補う必要があるとしても、課外授業のための時間を持ち合わせていないからだ。また、ほとんどの学校は、教師たちが働く学校システムの中で、子供たちの家庭教師をすることを禁じている。こうした事情から、支援を必要としている家庭との連携が難しくなっている。

いくつかのソリューションが提案されている。例えば創業12年になるシカゴの非公開企業Wyzantは、親たちと数十万人の家庭教師たちの間を結んでいる。しかしWyzantは40%もの手数料をチャージする。こう指摘するのはClarkの創業者のMegan O’Connorだ。Clarkは教育者による家庭教師ビジネスの開始と管理を、より簡便化することを目指す新しいアプリだ。もちろんその過程で、教育者たちにより多くのお金を還元することも狙っている。

O’ConnorはニューヨークのベンチャーファームであるHuman Venturesで働いていた。Clarkの拠点もニューヨークで、アイデアが最初に生まれたのは昨年の早い時期である。彼女がこのアイデアを思いついたのは、カリフォリニアの公立学校の教師である彼女の母親が、生活の足しとして家庭教師を副業にしようとするのを手伝った後のことだ。

「私は母親のために、物事を自動化しようとしていました。そこで母親が苦労していたいくつかの摩擦点や、世間で提供されているソリューションとのギャップに関してまずじっくりと話を聞いたのです。そして徐々に(Clarkの)開発が進められました」とO’Connorは語った。

サービスはまず、学生たちと彼らの家庭教師たちとの間のコミュニケーションを、容易にするためのSMSサービスという形をとった。これは主に、Clarkの技術担当共同創業者兼チーフプロダクトオフィサーのSam Gimbelによるものだ。彼はかつて、テキストメッセージベースのスタートアップを設立したことがある。

しかしそれ以降、プラットフォームは家庭教師ビジネスのあらゆる側面を扱えるように進化してきた、たとえば生徒を集めたり、スケジュールや謝礼の支払いを管理したり、親たちとのコミュニケーションを本当にシンプルなものにしたりというものだ。(私自身が出席しないレッスンを受けている子供を持つ親として、この機能が特に必要なものであることは請け合える。十分な情報がなければ、セッションとセッションの間で子供に何を補強させれば良いかの判断は難しいからだ)。

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 Clarkの目標は「米国の全ての教育者を起業家にすること」だとO’Connorは言う。「誰もが教師の収入はもっと上がるべきだと考えています。しかし私たちはその実現のために何をしているでしょう?」。

それは高尚な野望だが、それはまた、かなりの規模のビジネスの機会でもある。家庭教師の需要は、2015年から2016年の間だけで28%増加した、と O’Connorは述べた。そして、市場調査会社Global Industry Analystsは昨年、世界的な個人家庭教師市場の規模は、2018年までに1028億ドルを上回るだろうという調査結果を発表している。

その需要のほとんどがアジアからのものだ。実際、そのことはVIPKid(昨夏には1億ドルの資金を調達している)のような、英語話者の教育者と中国の生徒を結びつけるプラットフォームに投資家の注目が集まる理由を説明している。

O’Connorは、Clarkもその視野の中で、国際的な市場に重きを置いていると語る。しかし、まずはその製品が役立つものであることが優先事項だ。そのためにHuman Ventures、Winklevoss Capital、その他の投資家たちから、100万ドルのプレシード資金を獲得している。また、まずはニューヨークでの教育者たちに焦点を当て、そこから他の都市へと広げていくことを狙っている。

その収益については、O’Connorによれば、既に生徒との関係を持っている家庭教師たちは、新たなコスト負担なしでプラットフォームを使い始めることができる。新しいクライアントを探す新しい家庭教師たちは、その授業料の10%をClarkに支払うことになる、ということだ。

「家庭教師エージェントも存在しています」とO’Connorは認めている。「しかし解約もまた多いのです。手数料を少なくし、生涯価値を提供する。私たちはそこに真のチャンスを見ています」。

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(翻訳:Sako)

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TechCrunch Japan

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