「地球外文明からのメッセージかも」と話題になった謎の電波信号BLC1が分析される

「地球外文明からのメッセージかも」と話題になった謎の電波信号BLC1が分析される

ESA/Hubble & NASA

オーストラリアのパークス天文台の観測データから検出され、「地球外文明からのメッセージかも」と話題になった謎の電波信号BLC1(Breakthrough Listen Candidate 1)ですが、残念ながら宇宙からのメッセージではなかったことが判明しました。2021年10月25日付の科学ジャーナル「Nature」が報じています。

BLC1は、ロシアの資産家が出資して行われた地球外生命体を探査するプロジェクト「ブレイクスルーリッスン」で発見されました。同プロジェクトは、複数の天文台で得られたデータから「地球外生命体が存在する痕跡」を探しており、オーストラリアのパークス天文台の観測データを調べたところ、謎の電波信号が検出されたといいます。

パークス天文台の観測データは「プロキシマ・ケンタウリ」という星の観測プロジェクトで得られたもので、地球の環境下で得られるものとは異なる電波信号でした。また、プロキシマ・ケンタウリには「プロキシマ・ケンタウリb」「プロキシマ・ケンタウリc」という2つの惑星があることも、「地球外文明からのメッセージでは」という期待に拍車をかけました。

宇宙から飛来した電波と期待される一方で、BLC1は解析が進んでも同様の信号を再び捉えられることはありませんでした。また、パークス天文台では過去に家電製品の電波干渉がデータに取得されていたこともあり、「天文台内や近辺からの電波干渉」という可能性も高まります。

「ブレイクスルーリッスン」はBLC1を解析する中で、過去のプロキシマ・ケンタウリの観測データも調査。するとBLC1に似た信号が約60も検出され、プロキシマ・ケンタウリとは別の方向からのものも中にはありました。

さらに、BLC1の周波数は、一般的に使用される発振器が持つ周波数と同様であることも分かり、BLC1は宇宙からのものではなく、地球由来であるという結論に至りました。

残念ながら宇宙からのメッセージではなかったと結論付けられたBLC1ですが、同プロジェクトでは今後もプロキシマ・ケンタウリの観測を続けるといいます。また、BLC1のデータはより多くの科学者が研究できるよう一般公開するとのこと。さらに研究が続けば、いつかは本物の宇宙からのメッセージが検出されるかもしれません。

(Source:NatureEngadget日本版より転載)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。