10代の女子中高生を中心にして人気を集めるライブ・動画コミュニティアプリの「MixChannel」。このサービスを手がけた元Donutsの福山誠氏。同氏が立ち上げた新会社のマイケルが1月10日、経営共創基盤(IGPI)を引受先とした1億1000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。なおマイケルではシードラウンドでもIGPIから資金を調達しており、同社のパートナー 取締役マネージングディレクターである塩野誠氏が社外取締役に就任している。
福山氏はグーグルを経て2011年にシンクランチを設立。ランチマッチングサービス(現在は就活生に特化している)の「ソーシャルランチ」を立ち上げ、1年4カ月後となる2012年12月にはソーシャルゲームなどを手がけるDonutsに会社を売却。その後Donutsで新規事業として立ち上げたのがMixChannelだった。
「(もともとは)『女子高生向けサービス』というくくりではなかったが、2012年頃に10代が使う『動画×コミュニティ』で作ったサービスがMixChannelだった。ユーザーがコミュニティを動かしてくれて、だんだんと今のかたちになっていった。やはりコミュニティを作るのが好きで、運営も楽しい。新会社も本質的にはコミュニティの会社だ」(福山氏)
そんな福山氏がDonutを退職後、2016年12月に立ち上げたのがマイケルだ(ちなみに人名のような社名だが、「マス向け、幅広いユーザー向けのサービスを作りたい」という思いから、ユーザーとしても存在するであろう人名のような社名にしたということだった)。同社は現在、車に特化したコミュニティアプリの「CARTUNE」を展開している。
CARTUNEは、車を趣味にするユーザーに特化したコミュニティアプリ。ユーザーはTwitterやLINE、Facebookなどのアカウントでログインし、愛車の車種と写真を登録すればユーザー登録が完了(所有車を登録しないとログインできないが、他のユーザーの投稿を閲覧することはできる)。愛車の写真やカスタム・ドレスアップパーツの写真や動画を投稿したり、他のユーザーの投稿を閲覧したりできる。投稿はInstagramライクなUIで表示されるが、車種別やタグ別で閲覧できるのが特徴となっている。ちょっと面白いのは、ナンバープレートの自動加工機能。車の写真を撮影するとどうしても移ってしまうナンバープレートを自動認識し、ナンバーが分からないように加工することができる。
CARTUNEは2017年5月にスタートしたが、現在10万ダウンロードを達成。20代から30代を中心にユーザーを拡大している。実数は公開していないが、WAUも上昇中。ちなみに男性比率は99%なんだそう。
「『若者の車離れ』とはよく言われるが、手段としての車ではなく、車自体を楽しんでいる人達は集まるところには集まっている。(テック業界で)車と言えば、『自動運転』『EV』といったトレンドを思い浮かべる。だが違う軸もある。車はある意味で『嗜好品』としても残り続ける」(福山氏)
福山氏がそう考える根拠は大きく3つだ。1つ目は「活発なパーツ売買」。フリマアプリやオークションサービスでは、車のパーツの取引は非常にアクティブなのだそう。パーツの中古売買市場は、約600億円で、直近の3年で10%成長。またワンオフ品と言われるような一品モノのカスタムパーツなどは今CtoCでの取引が多いという。2つ目は車を趣味にする人達が「イベント・リアル体験文化」を持っていること。例えばアフターパーツの商業イベント「東京オートサロン」には、3日で32万人が来場するし、カスタムカーの展示イベント「スタンスネイション東京」には、1000台の出展があり、単日で2万人が来場している。
そして3つ目が「名車のリバイバル」。メーカー側も往年の名車の純正パーツを再販売するなどしているそうで、ファンの付いている車種に関しては「長く乗る」というカルチャーがあるという。「あくまで趣味としての車好きだけで言っても250万人ほどの規模。そういう人達の情報交換の場を作るのがCARTUNEの目標だ」(福山氏)
車のコミュニティとしては、カービューが2004年から提供する「みんカラ」が先行している。みんカラは月間約4億2000万PV、MAU約750万(2016年10月~2017年3月までの平均値)と大きい。福山氏はCARTUNEでスマホ時代のコミュニティ作りをしていきたいと語る。
マイケルでは今回調達した資金をもとに、CARTUNEの運営体制を強化し、プロモーションを拡充する。今後はオフ会の実施や、中古パーツの売買情報のサポートなどを行っていくとしている。