長年Googleにいて、Google Shoppingなどさまざまなプロダクトのマネージャを務めたNitin Mangtaniが、自分のスタートアップPredictSpringを立ち上げた。ブランドやリテイラーが、モバイルのコマースで快進撃できるための総合サービスだ。
PredictSpringのようなサービスの将来性を彼はどう見たのか、Mangtaniが指摘するcomScoreの数字によると、リテイルのサイトの閲覧の60%はモバイルデバイスからだが、そういうデバイスからの売上はネット上の総売上の15%にすぎない。
“モバイル上のユーザ体験は消費者の需要に追随していない”、と彼は言う。“でも消費者は、モバイルでもeコマースを利用したいと思っているのだ”。
需要をつかまえるようなユーザ体験を作るためにPredictSpringが作ったのはモバイルアプリの開発プラットホームで、そこでは企業やお店がコードを1行も書かずに、ショッピングができるアプリを作れる。今すでにCole HaanやEddie Bauer、Bluefly、WoodcraftなどがPredictSpringのユーザ企業だが、MangtaniがPredictSpringについて公に話をするのはこれが初めてでも、同社の最初のアプリは昨年の終わりごろから動き始めている。
PredictSpringはまた、ファッション界の大物Silas ChouのNovel TMT GroupとBeanstalk Venturesから200万ドルの資金を獲得している。
モバイルのeコマースの現状についてMangtaniは、Uber、HotelTonight、Airbnbなど成功例はいくつかあるが、でもショッピングアプリの多くがネイティブアプリの大群の中でささやかな日陰者だ、と認識している。つまり、モバイルにおいても消費者は、eコマースのWebサイトに連れて行かれることが多く、企業やお店の、ショッピングのための独自性に富む(==おもしろい、ユニークな)ネイティブアプリはとても少ない。Amazonのようなeコマース専業の大物になると、アプリはあるけれども。
そこでPredictSpringのプラットホームは、各ブランドやお店のための、100%ネイティブのショッピングアプリを作る。この点が重要だ、とMangtaniは言う。なぜならモバイルの重要なイノベーションは、モバイルWebではなくアプリ上で次々と生まれているからだ。Cole Haanのお客の全員がCole Haanのアプリをダウンロードすることはなくっても、固定客や上位客は、アプリを使うほうが便利と感ずるだろう。専門店のアプリが顧客に与えるべき良質なユーザ体験とは、買い物がとてもしやすいことだ。
しかもPredictSpringのサービスの主軸は、アプリの制作だけではない。同社がローンチしたCommerce Gatewayというサービスは、ソーシャルメディアなどに広告を出している企業が、広告に買い物機能を持たせ、[買う]ボタンを装着できるツールだ。たとえば上述のCole Haanは、PredictSpringでモバイルアプリを作っただけではなく、Instagramのフィードから直接、ショッピングをサポートしている。
Commerce Gatewayは今後企業にAPIを提供して、彼らが自分のeコマースプラットホーム本体や、在庫管理システム、決済プロバイダ、製品カタログ、ポイントやスタンプなど固定客増大のための工夫、などなどを統合化できるようにしたい、という。