2019年にSpotifyは「Car Thing」の愛称を持つ自動車オーナー向けハードウェアデバイスのテストを始めた。このデバイスではSpotify Premiumユーザーが「Hey Spotify」で始まる音声コマンドで音楽やポッドキャストの再生を開始できる。2020年にはモバイルアプリにも同様に音声を統合する開発を始めた。そしてここにきて「Hey Spotify」の音声機能が広く利用できるようになってきた。
多くの人からSpotifyアプリで音声オプションを使えるというレポートが山ほどあり、この機能を利用できるのかどうかで一部のユーザーが混乱しているにもかかわらず、Spotifyはこれについて正式に発表していない。
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例えばGSM Arenaは早い段階で、Androidユーザーにこの機能を知らせるプッシュ通知が送信されたとレポートした。通知には「マイクを有効にして『Hey Spotify、私のお気に入りの曲をかけて』というだけです」と書かれていた。通知をタップするとSpotifyの新しい音声インターフェイスが開き、聴きたい音楽を話し言葉でリクエストするために、まずマイクを使う許可をアプリに与えるように求められる。
いくつかのメディアはこの機能がAndroidユーザーに対して公開されたとレポートしたが、これは部分的に正しい。
結論をいうと、この機能はiOSデバイスにも展開されている。例えば我々はiOS 14.5が動作しているiPhoneでSpotifyアプリを起動し、同様の機能が有効であることを確認した。検索ボックスの横にあるマイクのボタンをタップすると音声機能を利用できる。いろいろな人に聞いたところ、iOSの異なるバージョンを使っているiPhoneユーザーにもこの機能が提供されていることがわかった。Spotifyの無料ユーザー、Premiumユーザー、Familyプランユーザーのいずれでも利用できた。
表示される画面には大きく太い文字で「Hey Spotify, play…」と話しかけるように書かれている。「play」の後にはアーティスト名がランダムで入る。画面下部には「Hey Spotify」を有効にする大きな緑色のボタンがある。
有効にするとアーティスト、アルバム、曲、プレイリストの名前でリクエストでき、停止、一時停止、この曲をスキップ、戻るなどのコマンドで再生のコントロールもできる。Spotifyは、デフォルトがロボットのような男声であることを認めている(好みに応じて設定で女声に変更できる)。
この画面には、アプリが「Hey Spotify」の音声コマンドを聞きとるとユーザーの声のデータやその他の情報がSpotifyに送信されるという注意事項も書かれている。音声データの取り扱いに関するSpotifyのポリシーへのリンクがあり、ユーザーの発言の録音とそれをテキスト化したものと、ユーザーに返された内容に関する情報を同社が収集することについてリンク先で説明している。同社は、このデータを機能の向上、新しい音声機能の開発、ユーザーに関連する広告のターゲティングに利用することがあるとしている。ユーザーの情報はクラウドストレージプロバイダーなどのサービスプロバイダーと共有されることもある。
このポリシーは2019年に開始した同社の音声対応広告のものと同じで「Hey Spotify」の公開にともなう変更を反映して更新されているわけではないようだ。ただし他社の音声アシスタントと同様に、Spotifyはずっと録音しているわけではなく、ユーザーがウェイクワードを発するまで待機していると記載されている。
「Hey Spotify」の音声コマンドがCar Thingから始まっていることを考えると、モバイルへの展開はSpotifyが自社製ハードウェアを近く発売する準備が整ったサインではないかと推測される。おそらくそれは当たりだと裏づけるような情報もすでにある。MacRumorsが最近、Spotifyアプリのコードの中にCar Thingと各種マウントについての言及と写真を発見したと報じた。これは2021年1月にCar Thingに関するFCCの書類が明らかになったことに続く発見で、FCCの書類はデバイスがまもなく発売されるという噂をあおった。
米国時間4月7日午前にSpotifyにコメントを求めたが、音声コマンド機能の公開に関する返答はなく「残念ながら現時点では共有できるニュースはない」とのことだった。これはもっと大きな何らかのプロジェクトがマイナーな機能の公開と関連している可能性があることを示唆している。
最近のユーザーはテック企業のデータ収集に対して用心深くなっている。ことにテック大手3社が扱いのお粗末さを認めてからというもの、音声データの使用には慎重だ。そうは言っても、特にアクセシビリティの観点やドライバーの安全性の観点から、音声コマンドの使い道はある。
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携帯電話の音声アシスタントにSpotifyのコンテンツを再生するように指示することはできるが(CarPlayやAndroid Autoで)、Spotifyに直接話しかけることができれば便利だと思う人もいるだろう。AppleがSpotifyをデフォルトの音楽サービスに設定できないようにしている現状では、特にそうだ。あなたのお気に入りのサービスとしてSpotifyを起動するようにSiriを鍛えるしかない。
「Hey Spotify」をいったん有効にしても、後から気が変わったらアプリの設定の「Voice Interactions(音声操作)」からオフにすることができる。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotify、音声アシスタント、音声操作
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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)