Apple(アップル)はついに、熱狂的なAppleファンのコミュニティの多くの人が求めていたもの、つまり最低価格が5000ドル(約58万円)もしない純正のディスプレイを発表した。新しい27インチのStudio Displayは1600ドル(日本での価格は税込19万9800円)で、これはまだ多くの人がモニターに払える金額よりもずっと高いものだが、それでも大半の人にとっては歓迎すべき新製品だろう。Appleは、現在4K Apple TVを動かしているチップよりもずっと強力なA13チップを丸ごと1つ搭載しさえしている。
そこで疑問が生じる。なぜStudio DisplayはApple TVではないのだろうか?
Studio Displayはすでにチップを搭載している。オンボードストレージは欠けているかもしれないが、それを追加するのは、tvOSといくつかのメディアアプリを実行するのに必要な量としてはかなりの作業になる。また、すでにこのようなことを行っている他企業の例もある。Samsung(サムスン)のMシリーズのSmart MonitorにはスマートTVモードがあり、ひどい自家製ソフトウェアが搭載されている。
筆者がTechCrunchのSlackで上記の疑問を投げかけたところ、それがなぜ意味をなさないのか、いくつかの穏やかな見解が返ってきた。例えば表向きはApple TVのすべての機能を持ち、他にも多くのことができるMacにStudio Displayをつなげているからというものだ。
しかしながら、実際のところmacOSのネイティブApple TVアプリは、ちょっとダメだ。Netflix、Disney+、Amazon Prime Videoなどを利用するには、ブラウザを使ってそれぞれのサイトに個別にアクセスする必要があり、簡素化されたホーム画面にアプリをインストールするよりもはるかに不便で、エレガントでもない。繰り返しになるが、Samsungがハイブリッド型スマートTVモニターのラインナップを作り、さらに時間をかけてモデルを追加していったのには理由がある。
加えて、Studio Displayは実際、テレビ単体としてかなり魅力的な買い物になることは間違いないだろう。そのデザインは際立っており、大半のモダンなテレビのデザインをはるかにしのぎ、たとえばSamsungのFrameやSerifのラインナップのように、リビングに置くと映える高価格帯のテレビの中でも群を抜くものだ。
これはストレッチゴールのようなものだが、Studio Displayはウェブカメラ、スピーカー、マイクを内蔵しているため「Apple TV殺し」にもなり得る。ゆったりと座って行うビデオ会議のための、すばらしいヘッドレスのZoom(またはそれに相当するもの)マシンになるかもしれない。
しかし、それは少し先の話だ。tvOSと、どんな種のアプリやサービスをサポートするかで再アーキテクチャを必要とするだろう。Appleは、興味深いA13チップの搭載により、このモニターに基本的に追加コストなしでApple TVの機能を追加し、消費者はそれを利用することも、ただ通常のモニターとして使うこともできたはずだ。
完璧な世界では、将来のファームウェアの更新はtvOSを含め、購入後にこれを実現する。現状では、Studio DisplayはApple TV用のOSやアプリを合理的に実行するためのストレージをまったく(あるいは十分?)搭載していないと思われる。少し惜しい気がする。
画像クレジット:Apple
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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi)