よりパーソナルな感覚のフランス発ひと味違う新デートアプリ「Feels」

Feels(フィールス)をご紹介しよう。これはデートアプリの仕組みを変えようとしているフランスの新しいスタートアップだ。同社は、写真をスクロールしたり、説明文を読んだりするのは退屈になりがちだと主張する。Feelsは、プロフィール部分を改善して、TikTok(ティックトック)のビデオを見たり、ストーリーを閲覧するような感覚でアプリを操作できるようにしている。

共同創業者でCEOのDaniel Cheaib(ダニエル・チーブ)氏は「この10年、この業界にはほとんどイノベーションがありませんでした」と語る。「デートアプリをアンインストールする人が多い理由は『つまらないから』です。プロフィールがどれも同じように見えて、まるでカタログを眺めているような気分になります」。

ここでチーブ氏がまず念頭に置いているのはTinder(ティンダー)だが、同時にBumble(バンブル)やHappn(ハプン)など、Tinderに似ているけれどTinderとはまったく同じとはいえない他のデートアプリのことも語っている。

Feelsの創業チームは、何がうまくいき、何がうまくいかないかを見つけるために、2年間かけてアプリを繰り返し開発してきた。やっと利用継続指標が想定どおりになったことで、より広く展開することになったのだ。

画像クレジット:Feels

もしデートアプリでユーザーにおもしろいコンテンツを見せようと思ったら、プロフィール部分を見直さなければならない。開発段階で最も苦労したのは、間違いなくこの部分だ。このアプリをインストールしたときに、プロフィールの作成には約15分必要だ。

初期バージョンでは、この初期登録プロセスを終えた新規ユーザーは30%しかいなかった。現行のバージョンでは、新規ユーザーの約75%が登録フローを最後まで終わらせる。

では、Feelsのプロフィール表示は何が違うのだろう?多くの点で、このプロフィールは、ストーリーやTikTokの投稿に似ている。ユーザーは、ビデオの録画、テキストやスタンプの追加、写真の共有、質問への回答などをプロフィールに追加できる。

チーブ氏は「初期登録プロセスが完了すると、他のひとにコンテンツを公開できる一貫したプロフィールができあがります」という。

他のデートアプリと同様に、性自認に関して、女性か男性かに限られることなく、さまざまな選択肢が提供される。ユーザーは、全員のプロフィールを見たいのか、さまざまな条件に基づいて一部の人のプロフィールだけを見たいのかを指定できる。

そうした初期登録プロセスを終わらせたら、他の人たちのプロフィールを見ることができるようになる。繰り返しになるが、Feelsはデートアプリの基本的なインタラクションを変えようとしている。ほとんどのデートアプリでは、左右のスワイプや、親指の上げ下げで選択を行う必要がある。考えてみれば、それは膨大な数の細かい判断を必要とする二者択一の選択だ。

誰かに対して強い思い入れがない場合もあるし、あるいは、単に次のプロフィールに進みたいだけの場合もある。そして、このようにプロフィールを格付けしなければならないことによって、意識的であれ、無意識的であれ、多くのネガティブな感情がもたらされることになる。その結果人を拒絶し続けることになってしまう。

Feelsでは誰かのプロフィールを見ると、画面いっぱいにそのプロフィールが表示される。動画が再生され、そのことでその人が好きなものや、カメラの前にいる人の様子がわかる。コンテンツに反応することもできるし、上にスワイプして先に進むこともできる。ハートボタンやいいね!ボタンはない。

アプリがある程度完成してきたと考えたスタートアップは、110万ユーロ(約1億4000万円)の調達を行った。投資したのはBlaise Matuidi(ブレーズ・マテュディ)氏、Eric Besson(エリック・ベッソン)氏、René Ricol(ルネ・リコル)氏、Ricardo Pereira(リカルド・ペレイラ)氏、Yohan Benalouane(ヨアン・ベナルアン)氏、Nampalys Mendy(ナンパリス・メンディ)氏、Julien Radic(ジュリアン・ラディック)氏、Jean Michel Chami(ジャン・ミシェル・チャミ)氏といった、Atomicoのビジネスエンジェルプログラムに参加している人たちや、その他多くのビジエスエンジェルたちだ。

現在Feelsは、TikTokへの組織的な投稿やテレビ広告をすることによる、新規ユーザーの獲得を計画している。同社は、年内に100万人のユーザーを獲得したいと考えており、当面はフランス国内に重点を置いている。現在のユーザー数は10万人だ。

収益化に関しては、Feelsはより多くの機能を使えるプレミアムサブスクリプションの提供を開始した。その部分については、まだ繰り返し試行している途中だ。

Feelsは、競合が多く競争の激しい業界の中で、まだ始まったばかりだ。他社とは異なり、Feelsはユーザー獲得や有料化に取り組む前に、自社製品に多額の投資を行ってきた。それは野心的な戦略だが、真の意味で他とは違うデートアプリになる可能性を秘めている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Feelsデートアプリフランス資金調達
画像クレジット:Feels

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(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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