ウクライナ侵攻が激しさを増しているなか、アップルはロシア国内で全製品の販売を停止したことを発表しました。先日ウクライナ副首相が同社のティム・クックCEOに製品の販売停止とApp Storeへのアクセス遮断を要請したあと、しばらく沈黙が守られていましたが、ようやく動きがあったかっこうです。
アップルはThe Wall Street Journalほかメディア向け声明にて、「ロシアのウクライナ侵攻を深く憂慮しており、暴力の結果として苦しんでいるすべての人と共に歩む」と述べています。また「人道的な活動を支援し、明らかになりつつある難民危機のために援助を提供し、域内にいる当社チームのサポートに全力を注いでいる」とも付け加えています。
#Apple on #Ukraine: we have disabled both traffic and live incidents in Apple Maps in Ukraine as a safety and precautionary measure for Ukrainian citizens pic.twitter.com/m8YA5N1bgf
— John Paczkowski (@JohnPaczkowski) March 1, 2022
ほかロシア以外の地域のApp Storeで、ロシア国営メディアのRTとスプートニクをダウンロードできなくしたとのことです。
またGoogleはウクライナでGoogleマップのライブ交通データへのアクセスを停止していましたが、アップルも自社のマップで同様の措置を取ったと報告しています。これらのデータはロシア軍のウクライナ侵攻を事前に察知する働きもありましたが、逆にロシア軍がウクライナ市民を追跡することにも使えるとの指摘もありました。
さらにアップルは声明で、状況を注視しつつ関連政府とコミュニケーションを取っており、平和を求める世界中の全ての人々に加わるとの姿勢を打ち出しています。
ウクライナ副首相がクックCEOに要請したことが、すべて実現したたわけではありません。記事執筆時点ではロシア国内のApp Storeは稼働しており、RTとスプートニクのアプリはロシアでは引き続きダウンロードできます。もっとも、これまでアップルがロシア政府の要請や圧力にもかなり従順だったことを振り返ると、大きな方針転換とはいえそうです。
(Source:The Wall Street Journal。Engadget日本版より転載)