アップルは中国初のデザインと開発のアクセラレーターを上海に開設した。重要な海外市場のひとつである中国でサービスビジネスを拡大するために、地元の開発者が優れたアプリを作れるよう支援する。
アップルは、このアクセラレーターで開発者向けに定期的な講義、セミナー、ネットワーキングセッションを開始したと発表した。これは同社が2年前にインドのバンガロールに開設したのと同様のものだ。
インドにはアップル関連のアプリ開発者が約50万人いる。アクセラレータープログラムに参加した30人以上の開発者がTechCrunchに対し、このプログラムはきわめて有益だったと語っている。アクセラレーターへの参加は無料だ。
アップルは、台湾と香港を含む中華圏に250万人以上の開発者がいて、積極的にアップルのプラットフォームのアプリをさかんに開発していると述べている。中華圏の開発者はApp Storeの売上から290億ドル(約3兆円)以上を手にしている。公表されているところによると、アップルの売上の15%以上は中華圏が占めている。
アップルの中華圏のデベロッパリレーションズ責任者、Enwei Xie氏は声明で次のように述べている。「中華圏の開発者は世界をリードしている。App Storeで最も人気のあるアプリのいくつかは彼らが作ったものだ。我々は中華圏の開発者をこれまで以上にサポートできることをうれしく思う。教育から健康、エンターテインメントまで、我々が中華圏で目にする革新は素晴らしい。才能豊かな開発者たちが次に何を生み出すか、楽しみでならない」。
中国で(そしてほかの国でも)、iPadなど一部のデバイスは引き続き好調であるもののiPhoneの販売は成長が鈍っている。そのタイミングでデザインと開発のアクセラレーターが始まった。iPhoneの成長の鈍化は米中間で続く貿易摩擦から直接影響を受けている。
アップルのティム・クックCEOは2019年第1四半期の収支報告に先立ち、投資家に向けて「私たちは中国の経済環境が貿易をめぐる米国との緊張の高まりによってさらに影響を受けたと考えています。不確実性が高まる風潮が金融市場に重しとなってのしかかる中、影響は消費者にも拡がる様相を見せており、中国では直営店やチャネルパートナー店への来客数が四半期終盤にかけて減少しました」と書いている。
中国での状況が好転してアップルの第3四半期はサービスの売上が急上昇するだろうと予想するアナリストもいる。
中国の大都市にデザインと開発のアクセラレーターを開設したことで、開発者がより質の高いアプリを作れるようになる。結果としてユーザーエクスペリエンスが向上し、アップルのサービスと製品のエコシステムとの関わりを深めることにつながるだろう。
インドの開発者アクセラレーターはアップルが初めて開設した開発者の拠点で、FlipkartやPaytmといった有力企業のスタッフがこのプログラムのセッションを通じて学び、各社のアプリを改良してきた。多くのアップルの社員や専門家がセッションで開発者をコーチしている。
アップルはここ数年、多くの市場でデザインとコーディングのプログラムを実施している。3月にはシンガポールの協力校でアプリ開発カリキュラムを拡大し、インドネシアには2つめの開発者アカデミーを開設すると発表した。イタリアでも同様のプログラムを継続している。今年の初めには、女性が設立した11のアプリ開発会社をアントレプレナーキャンプに受け入れた。
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(翻訳:Kaori Koyama)