Apple(アップル)は、App Storeから特定のアプリを削除するよう、各国政府から受けた要求の件数を、初めて公表した。
米国時間7月2日に発表された最新のAppleの透明性に関するレポートは、2018年7月1日から12月31日の間に、ローカライズされたApp Storeから、合計634のアプリを削除することを求める80件のリクエストを、11カ国の政府から受けたことを明らかにした。
Appleは削除された個々のアプリ名は公開していないが、ほとんどの場合、アプリが削除されることになった理由は挙げている。大半の要求は中国からのもので、ギャンブルとポルノを取り締まる法律に違反しているとする517のアプリの削除を求めるものだった。ベトナムとオーストリアも、ギャンブルに関する法律に違反するとして、何本かのアプリの削除を要求した。またクウェートは、プライバシー関連の法律に違反するとして、いくつかのアプリの削除をAppleに求めた。
他にも、サウジアラビア、トルコ、レバノン、オランダ、ノルウェー、スイスが、何本かのアプリの削除を要求した国として挙げられている。
今回の最新の透明性に関するレポートから、数字を公表することにするとAppleが約束したのは、1年以上前のことだった。
Appleは、2020年半ばに計画されている次の透明性に関するレポートでは、同社のローカライズされたApp Storeからのアプリの削除を求める政府の要求に付随して受け取った訴状についても報告すると述べている。
さらにAppleは、公表の許可を受けたいくつかの国家安全保障文書を初めて掲示した。
国家安全保障文書(NSL=National Security Letters)は、FBIによって発行される召喚状で、司法による監視もなく、受け取った会社に、その存在すら口外することを禁止するものであるため、物議を醸している。2015年に米国自由法が導入されて以来、FBIは定期的に口外禁止令を見直して、必要ではなくなったと判断された場合には、解除しなければならなくなった。
Appleは最初2017年に、NSLを受け取ったことを明らかにしたが、これまでその文書の内容を明らかにしたことはなかった。最新の透明性に関するレポートで、Appleはついにその文書を公開した。あわせて、2019年の4月と5月に口外禁止令が解除された他の4つの文書も公開している。
透明性に関するレポートの残りの部分によれば、ほとんどの政府からの要求は、以前のレポート期間に比べて、その6ヶ月間では減少しているという。
Appleは、昨年後半に、21万3737台のデバイスにアクセスできるようにするための2万9183件の要求を、各国政府から受けた述べている。これは前回のレポート期間と比べると10%ほど減少している。
ドイツが最も多く、2018年12月までの6ヶ月間に、1万9380台のデバイスに対するアクセスを求める1万2343件の法的な要求を提出している。こうした大量の要求は、主に盗まれたデバイスを警察が調査するためのものだと、Appleは明かした。
2位は米国で、1位からはかなり離れた4680件の要求を、1万9318台のデバイスに対して発行している。
またAppleは、iCloudに保存されている情報など、アカウントデータへのアクセスを求める4875件の要求も受けた。これは前のレポート期間にくらべて16%の上昇で、2万2503のアカウントに関するものだった。
さらにAppleは、最大3ヶ月間データを保存するようにという政府からの要求の件数も増加していることを明らかにした。それによれば、前期から15%増となる1823件の要求を受けた。これは5553のアカウントに関するものだった。それについては、法律の執行機関がデータにアクセスするための適切な法的命令を取得しようとしていたという。
画像クレジット:Jaap Arriens/Getty Images
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(翻訳:Fumihiko Shibata)