Apple(アップル)は2021年4月、デザインを刷新したApple Podcast(アップル・ポッドキャスト)アプリで、有料のポッドキャスト配信を計画していることを明らかにした。そして今回、ポッドキャストの制作者が有料聴取者数を増やすための新しいプログラムとして、アフィリエイトマーケティングを導入すると発表している。この「Apple Services Performance Partner Program(アップル・サービス・パフォーマンス・パートナー・プログラム)」は、Apple TV、Apple News、Apple Booksなど、アップルの他のサービスでは販売を支援するためにすでに展開しているが、今回からそれが有料ポッドキャストにも拡大される。
この新しいアフィリエイトプログラム「Apple Services Performance Partner Program for Apple Podcasts」は誰でも参加できるが、アップルはこれが、すでに多くの聴取者を抱えているクリエイターや、アフィリエイトリンクを共有できるいくつものマーケティングチャネルを持っているパブリッシャーにとって、最も意味のあるプログラムになると考えている。ユーザーがこのリンクをクリックして有料ポッドキャストのサブスクリプションを契約すると、パートナーは加入者が最初の月に有料サービスを利用した後、月額料金の50%を1回限りのコミッション(成果報酬)として受け取ることができる。
例えば、ある有料ポッドキャストがリスナーに月額5ドル(約540円)の課金を請求している場合、コミッションは2.5ドル(約270円)となる。このコミッションは、アフィリエイトチャンネルを通じて新規に登録したすべての加入者に適用され、上限はない。
ポッドキャストの制作者もまた、アフィリエイトリンクを使って自分の有料プログラムを宣伝することができ、それによってさらなる収益を得ることも可能になる。
このアフィリエイトプログラムには誰でも参加を申請することはできるが、承認を受けるための審査がある。これは主に、スパマーがプログラムに参加しないようにすることと、登録者がリンクを流通させることができるマーケティングチャネルを、少なくともいくつか持っていることを確認するためだ。申請フォームでは、運営しているチャネルの数や、パートナーがそのチャネルを使ってどのようにアフィリエイトリンクを宣伝しようとしているかなど、一定の基準を満たしていることが求められる。
このプログラムは、有料ポッドキャストの配信が行われる170の国と地域の誰もが利用できるようになる。
承認されてからサインインすると、アフィリエイトパートナーはオンラインのダッシュボードにアクセスでき、他のアフィリエイトプログラムと同様に、リンク(短縮URL)を作成することができる。1つのポッドキャストに対し複数のURLを作成することができるので、チャンネルごとのパフォーマンスを簡単に把握することができる。このURLは、単独で掲載することもできるし「Apple Podcastで聴く」バッジに結びつけたり、QRコードとして提供することも可能だ。QRコードは、今後ライブイベントが復活すれば、例えばライブ開催中に配布されたチラシや看板に印刷することができるので、より有用かもしれない。また、紙媒体とデジタル媒体のどちらでも、さまざまな広告に載せることができる。
有料ポッドキャストはすでに存在していたが、これまでポッドキャスターに直接支払い、プライベートなRSSフィードにアクセスするものが多かった。また、Stitcher(スティッチャー)のような小規模なサービスでは、サブスクリプションを利用して、広告なしの聴取や限定コンテンツなどの特典を、有料顧客に提供している。アップルやSpotify(スポティファイ)の新たな取り組みは、どちらもクリエイターを自社のプラットフォームに呼び込み、有料配信による収益の一部を受け取ることに重点を置いたものだ。Spotifyは最初の2年間は5%の手数料を免除しているが、アップルは通常1年目に30%、2年目には15%の手数料を徴収するという収益モデル採用している。
新しいアフィリエイトプログラムへの登録はすでに可能だが、アップルによると、実際に有料ポッドキャストの配信が始まるのは今月末の予定だという。有料配信が開始されると、アフィリエイトプログラムに登録した人は、リンクを作成して、課金からコミッションを得ることができるようになる。
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)