アップルが自社ブランドの自動車「アップルカー」を2023年から2025年に、AR(拡張現実)ヘッドセットを2020年に発売すると予測する、有名アナリストの最新長期予測レポートが報じられています。
アップル未発表製品の予測で知られるTF International SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏によれば、アップルカーは同社における「次のスター製品」と位置づけられ、2007年のiPhoneと同じぐらいの革命を自動車市場に起こすとのこと。
これらの新製品により、アップルは「時価総額1兆ドル」を超えた2兆ドルを達成すると予測しています。
Kuo氏のいう、アップルカーが次のスター製品になると予測する理由は次のとおりです。
- (自動車という概念が)新技術により再定義されているため、潜在的に巨大な買い替え需要が自動車市場に出現している。この状況は、ちょうど10年前の(iPhoneが登場した)スマートフォン市場と同じである
- ARなどアップルの技術優位性は、自動車を再定義し、アップルカーを他社製品と差別化できる
- アップルのサービス部門は、アップルカーを通じて巨大な自動車ファイナンス市場に参入することで大幅に拡大する
- アップルは消費者向けエレクトロニクスや自動車の競合他社よりも、ハードとソフトの統合で優位に立てる
今回のアップルカー、つまり「アップルブランドの自動車」の予測が興味深いのは、アップルが自動車製造をあきらめ、自動運転プラットフォーム開発プロジェクト「Project Titan」に方向転換したと噂された経緯があるからです。
アップルの新製品開発で手腕を振るってきたボブ・マンスフィールド氏がトップに就任した後、アップルは既存の自動車メーカーとの接触を図り、2018年5月にはフォルクスワーゲンとの提携が報道されました。この共同開発の車体に自動運転プラットフォームが組み込まれ、アップルカーとして発売されるのかもしれません。
さらにKuo氏は、アップルが今後大幅な収益拡大を見込めるもう1つの市場として、ARヘッドセットの登場も予測しています。こちらはアップルカーより先の2020年発売とされ、「次世代の革新的なUI(ユーザーインターフェース)」により現在のAR製品のUIを再定義するものとなる、とのこと。
アップルはiOS 11でARアプリを作るための開発者向けフレームワークARKtを導入し、今秋のiOS 12では大幅に強化したARKit2を予告しています。そしてARヘッドセットも、すでに2017年末にiOSをベースとした「rOS」採用の独立型(スマートフォンを組み込む簡易型ではなく、単体で動作)モデルの噂が報じられていました。
iPhoneやApple WatchのApple Payで金融業務に進出したアップルが、アップルカーを通じて自動車ファイナンス市場にも裾野を広げる予測にはうなずけるものがあります。いつの日か「ゆりかごから人生のゴールまでアップル製品」の未来がやってくるのかもしれません。
Engadget 日本版からの転載。