アマゾンが支援するインドのBNPLプラットフォーム「Capital Float」が約55.6億円を調達

Amazon(アマゾン)が支援するスタートアップ企業Capital Float(キャピタル・フロート)は、インドで人気のある多くのオンラインプラットフォームで「Buy Now, Pay Later(後払い決済)」サービスを提供しているが、ここ数四半期の力強い成長を受けて、新たに5000万ドル(約55億6300万円)を調達したことを現地時間9月28日に発表した。

Lightrock India(ライトロック・インディア)が、バンガローを拠点とする同社への新規投資を主導することとなった。これにより、創業7年目の同社の過去の調達額は6億ドル(約667億円)を超えた(そのうち半分以上は負債によるものだ)。既存の投資家であるSequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)、Ribbit Capital(リビット・キャピタル)、Creation Investments(クリエーション・インベストメント)に加え、Nubank(ヌバンク)のDavid Vélez(デビッド・ベレス)氏、CRED(クレド)のKunal Shah(クナル・シャー)氏、Pine Labs(パイン・ラボ)のAmrish Rau(アムリッシュ・ラウ)氏といった著名な起業家も今回のラウンドに参加した。

Capital Floatは、他の企業とのパートナーシップを通じて顧客にアプローチしている。例えば、Amazon India(アマゾン・インディア)、オンライン学習サービスのUnacademy(アナカデミー)、航空会社のSpicejet(スパイスジェット)、消費者向けのライフスタイルや電子機器ブランドのBoat(ボート)、旅行予約会社のMakeMyTrip(メイクマイトリップ)など、多くの人気オンラインプラットフォームの融資パートナーとなっている。顧客は、チェックアウトの際にローンを利用して購入することができる、と同社の共同設立者であるSashank Rishyasringa(サシャンク・リシャスリンガ)氏は、TechCrunchのインタビューに答えた。

また、中小企業向けには決済会社のRazorpay(ラゾープレイ)と、個人顧客向けには個人金融を提供するWalnut(ウォルナット)と提携している。

Capital Floatは、これまで250万人以上の顧客を集めている。これらの顧客は毎月200万件以上の買い物をしており、年間2億7100万ドル(約300億円)以上の資金を調達しているという。リシャスリンガ氏によると、この1年間、同社が注力してきたのは、ほとんどがオンラインサービスだったとのことだ。

「当社の顧客基盤は過去12カ月で4倍以上に増加しましたが、他の多くの企業が落ち込んでいたこの時期でも、当社の回収効率は95%以上でした」と述べている。

キャピタル・フロートのBNPLモデル(画像クレジット:Bernstein)

インドでは、クレジットカードを持っている人が人口のごく一部しかいないため「後払い決済」という市場はまだ初期段階にある。しかし、Capital Float、ZestMoney(ゼストマニー)、LazyPay(レイジーペイ)など、ひと握りの新興企業がこの市場で牽引力を発揮し始めている。

インドでは、クレジットカードの普及率が低いため、銀行が融資を行う前にその人の信用度を確認するために多用する伝統的なクレジットスコアを持つ人がほとんどいなかった。さらに、小額の融資は銀行にとって利益を生まないため、小切手を発行するインセンティブが低くなっている。

Capital Floatのユーザーの半数は、クレジットカードを持っていないとリシャスリンガ氏はいう。Capital Floatは、他の多くの後払い決済サービスとは異なり、完全に規制された企業だ。つまり、Capital Floatは、ユーザーの取引を信用調査機関に報告する必要があり、それによってユーザーのクレジットスコアのプロファイルの構築を支援している。

同社は、さまざまな要素を用いて各顧客の査定を行っている。その査定は「2クリック5秒以内」に行われるという。

「Capital Floatは、インドにおけるBNPL(後払い決済)の可能性を引き出すために必要な、顧客体験、リスク管理、加盟店とのパートナーシップという、CX特有の三要素をクリアしました。Capital Floatは、その強力な技術プラットフォームに加えて、洗練された引受・回収能力と、倫理的融資のプレイブックを構築しており、このモデルを非常に魅力的なものにしています」。と、Lightrock IndiaのパートナーであるSaleem Asaria(サリーム・アサリア)氏は、声明の中で述べている。

「私たちはまた、クレジットサイクル全体を通じたチームの粘り強さと実行力に常に感銘を受けています。チームと協力して、デジタルクレジットや金融商品を通じてインドの何百万人ものお客様の生活にプラスの影響を与える、拡張性の高く、差別化され、持続可能なビジネスを構築することにワクワクしています」。

リシャスリンガ氏は、この新たな資本が、ここ数カ月の急成長に対応するのに役立つと述べている。同氏は、この成長の多くはパンデミックによるものだと考えているが、同時に、消費者の行動には長期的な変化があり、それがこの新興企業の進出を後押ししているとも述べている。

Kotak(コタク)やYBLなどの銀行と提携して融資を行っているこのスタートアップは、今後も提携先を拡大していく予定だという。

「さらに重要なのは、この先に指数関数的な成長の機会があると考えていることです。完全に規制された形式で、手頃な価格と利便性を解決することで、私たちのBNPL(後払い決済)のアプローチは、オンラインでの取引を始めている1億人以上のお客様の信用へのアクセスを責任を持って拡大できると確信しています。このビジョンの実現に向けて、投資家のみなさまのご支援を得られることを光栄に思います。また、パートナーシップを組んで、インドで世界クラスのデジタル金融機関を構築できることを楽しみにしています」と、リシャスリンガ氏とCapital Floatのもう1人の共同設立者であるGaurav Hinduja(ガウラヴ・ヒンドゥーヤ)氏は共同声明で語っている。

画像クレジット:Arijit Sen / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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