アマゾンの商品梱包・配送センターにおける2019年の重傷者数は主張とは逆に増加、1万4000人超え

Amazon(アマゾン)の2020年最大のショッピングデーが近づいているなか、同社の自動化と安全への投資が倉庫や商品梱包・配送センターでの重傷者ケースの増加を食い止められていないことが新たなレポートで明らかになった。

Amazonは倉庫を自動化するために新しいロボティクスやテクノロジーに巨額を投じているが、それでも重傷者1万4000人超という犠牲を出し続けている。労働者は重傷を負うと仕事を休んだり仕事を制限したりしなければならない。この数字は2019年に商品梱包・配送センターで報告されたもので、Revealのレポートで明らかになった。

全体としてアマゾンでは従業員100人あたり7.7件の重傷例があった。かなりの投資を行い、施設での安全性は改善していると同社が主張しているにもかかわらず、この数字は4年前に比べ33%多く、直近の産業平均の倍となっている、とレポートは指摘した。

調査報道センターからRevealへの資料であ内部安全レポートと、アマゾンの全米の商品梱包・配送センターにおける週間のけが人数は、同社が安全記録について社会を惑わしていること、そして同社最大のショッピングデーであるプライムデーと長いホリデーシーズンが従業員にとって最も危険であることを示している。

声明文の中で、アマゾンはRevealのレポートについて「誤った情報」であるとし、用語について屁理屈をこねた一方で、「当社はさまざまなプログラムを通じてけが防止と削減で引き続き改善を行っている」がレポートでは逆に書かれている、と主張した。

毎月送られる速報はけがや安全上の問題についての厳しい集計を公開する。ここでいう問題とは、アマゾンがはっきり認識しているものを指す。「秘匿特権・機密」と記され、Revealが入手して報道したアップデートは、アマゾンが安全上の目標を達成できなかったことを示している。けが件数率を2018年に20%減らすことを目標としていたにもかかわらず、率は上昇した。2019年に同社はけが件数率をより控えめに5%下げることに取り組むと決めたが、それでも件数は増えた。

アマゾンがひどい労働者安全記録をRevealによって明らかにされたのは今回が初めてではない。2019年にRevealは、従業員1人が死亡することになった職場の安全性違反をアマゾンがインディアナ州当局とともに隠そうとした疑いがある、と指摘した。

けが件数率はアマゾンの国際本部に近い一部の工場で最も高いことがRevealのレポートで示された。Revealによると、同社のシアトル本社から車で1時間ほどのところのワシントン州デュポンの町にある工場は、アマゾンの最も危険な施設の1つだ。BFI3倉庫では、従業員100人あたり22件の重傷事案があった。

アマゾンが労働者のストレスやを減らそうとオートメーションに投資しているにもかかわらず、こうした施設の労働者は毎年増えるノルマをこなさなければならない。従業員が毎時間いくつのアイテムをスキャンできるかを追跡するコンピューターシステムは、誰が目標未達成で要注意なのかを決めるのに使われている。Revealによると、あまりにも目標に届かない従業員は解雇されるという。従業員の仕事を楽にするはずのロボットは、代わりに梱包のスピードを4倍にまで上げることを要求している。

「我々は同僚に及ぼす影響を非常に過小評価していた」と前安全担当マネジャーはRevealに話した。「早い段階で問題があると認識した。そうした方向に光速のような速さですでに動いているのだからどうやって歩みを止めて再調整するのか、といった感じだった」。

ロボットが倉庫のマネージャーや監督者に与える影響は明らかになったが、Jeff Wilke(ジェフ・ウィルク)氏のようなトップは同社の自動化への投資を声高に自慢し続けていた。

Revealによると、アマゾンのデータは、重傷事案の率は人間だけが働く倉庫よりロボットが配置された倉庫の方が高いという事実を同社が知っていることを示している。

それに反してアマゾンの主張にもかかわらず、労働者が抱えるリスクはアマゾンの繁忙期に増大する。2019年のプライムデーとその前後の期間は最もけがの件数が多かった最悪の週で、過去最多となる400人近くが重傷を負った、とRevealのレポートにはある。

アマゾンはまた、労働者の何人が労働時間を失うほどに重傷を負うのかを曖昧にしようとしている。というのも、Revealのレポートによると同社は他の「軽い任務」をけがをした従業員に割り当てるからだ。アマゾンの代理人は以前、同社はこうした慣行を採用していないと述べていたが、レポートに引用された証拠はそうでないことを示唆している。

負傷して倉庫業務が行えない従業員は、アマゾンの機械学習ソフトウェアを訓練するために写真のタグ付けのような任務が与えられる。または、非営利のアマゾンのパートナーのための一時的な仕事が与えられる、とRevealのレポートにある。負傷した従業員に暇を出すのではなく仕事を再び割り当てるのは必ずしも悪いことではない。しかしアマゾンではそうだったようだが、けがの割合を低くみせかけるのに使うこともできる。

こうした長年続いてきた労働環境や、労働者の健康や安全という名目で儲けを減らしたくないという同社の姿勢は、新型コロナウイルスのパンデミック対応の中で如実に現れている。

パンデミックで外出禁止となった期間、米国人があらゆるものを配達してもらうのにアマゾンに向かった一方で、アマゾンプラントの何百人という労働者が新型コロナに感染した。一部の人は死亡した。

アマゾンは2020年、6月末までに安全対策に8億ドル(約845億円)を投資した。経営陣が腰を上げたのは、労働者が労働条件に抗議するために組織的に活動した後のことだ。

同社はこうした抗議活動の中心人物に感謝しただろうか。中心人物の1人と抗議活動を支持した他の従業員2人を解雇した。

一方、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏はAmazonの株価上昇で資産を600億ドル(約6兆3400億円)増やした。

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画像クレジット:Johannes EISELE / AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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