少なくとも外から見るかぎり、Amazon(アマゾン)の新型コロナウイルス(COVID-19)対策はちぐはぐだった。いろいろな報道に登場する同社は、ウイルスの拡散を抑えるためにあらゆる努力をし、特に同社にとって欠かせない労働力である倉庫の従業員たちの罹患防止に努めているはずだ。しかし一方で、各州の司法長官や上院議員、その他の議員たちは同社の労働条件や感染率、そして複数の内部告発者の解雇について詳しい情報を要求している。
最近の同社は、新型コロナウイルス対策として倉庫の中で行われていることを少しずつ開示している。米国時間6月15日朝、同社は倉庫の労働者たちがWHOの指定する6フィート(約182cm)のソーシャルディスタンスを維持するための「Distance Assistant(ディスタンスアシスタント)」というシステムを披露した。
すでに一部のフルフィルメントセンターで導入されているこのARシステムについて、アマゾンの副社長でロボティクスのトップであるBrad Porter(ブラッド・ポーター)氏が説明した。「このスタンドアローンのユニットは、機械学習モデルを利用して人々とその環境を区別する。奥行きセンサーも利用して、メンバー間の正確な距離を測定する。人がカメラの前を通ると、モニターにはメンバーたちがそれぞれ6フィート以内にいるか、いないかが視覚的にオーバーレイで表現される。他の人と6フィート以上離れている人にはグリーンの円が付き、近すぎる人には赤い円が付く」。
このシステムは、50インチのモニターに表示される。センサーの反応は触覚型ウェアラブルのように瞬間的ではない。システムの目的は、円の色によって従業員たちが正しいソーシャルディスタンスを意識し、維持してくれることにある。
ウェアラブルデバイスやカメラによる追跡には、プライバシーのトレードオフがつきものだが、初期テストのフィードバックが好評だったため、今後数週間以内にアマゾンのさまざまな建物に数百台を導入するとのことだ。
「これは、過去数ヵ月間に出てきたさまざまなアイデアのひとつだ。私の同僚たちは熱心なので、これが最後ではないでしょう。社員の健康と幸福がほど重要なものはありません。これからも従業員の安全をできる限り保つためのイノベーションに励みたい」とポーター氏はいう。
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