アメリカ政府は、各所で物議を醸したノートパソコンの持ち込み禁止令を、全ての空港・航空会社について完全に解除した。中東の一部の航空会社と空港が対象となっていたこの規制だが、国土安全保障省によれば、「十分なセキュリティ対策がとられた」ため解除を決めたとのこと。
今月に入ってから既に主要航空会社3社は対象から外されていたが、昨日(現地時間7月19日)深夜に残り全ての航空会社と空港に関しても禁令を解除すると当局がTwitter上で発表した。
With enhanced security measures in place, all restrictions on large PEDs announced in March for 10 airports/9 airlines have been lifted.
— David Lapan (@SpoxDHS) July 19, 2017
十分なセキュリティ対策がとられたことを受けて、3月に施行された大型の携帯電子機器(PED)の持ち込み禁止令を、10空港・9航空会社について解除する。
今年3月の発令後は、すぐにドバイやアブダビ、ドーハといった中東10か所の主要ハブ空港と航空会社9社を対象に、アメリカ行きのフライトでノートパソコンやタブレット、電子リーダーといった大型の電子機器が機内に持ち込めなくなっていた。
そもそもの狙いは国家の安全保障で、禁令はテロ組織が電子機器に爆発物を隠して機内に持ち込もうとしているという情報に端を発したものだと言われていた。
しかし、施行のタイミングや対象となった航空会社・空港に関しては疑問が残り、アメリカの航空会社が対象に含まれていなかったことから、自国の経済を守る狙いがあったのではと考える人もいた。禁令によって利用客にはかなりの不都合が生じ、特にビジネス客への影響は大きかった(その結果、対象となった中東の航空会社にも悪影響が及んだと考えるのが普通だろう)。
しかもトランプ大統領は、大きな議論を呼んだイスラム圏の主要7か国からアメリカへの渡航禁止に加え、同地域の企業を対象にした大統領令にも署名していたことから、ノートパソコンの持ち込み禁止にはアンチムスリム思想が関係しているのではないかとも疑われていた。
その一方で、今年の3月以降、イギリスもアメリカに続いて中東や北アフリカの一部の国からの直行便を対象に、(対象となる航空会社はアメリカとは若干違うものの)ノートパソコンの機内持ち込みを禁じている。
本件に関してイギリスの運輸省に確認をとったところ、同国では禁令に変更はないとのことだった。
「誤解のないように言うと、イギリス政府が3月に施行した規制は今でも有効だ」と運輸省の広報担当者は語る。
外交筋からの情報として、イギリスの禁令もトルコ発の便に関しては近いうちに解除されるとトルコ現地の報道機関は報じているが、同担当者は「噂や憶測」にはコメントしないと語った。
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(翻訳:Atsushi Yukutake)