部屋にあるインテリアの写真を共有できるSNS「RoomClip」。サービスを運営するTunnelは11月13日、アイ・マーキュリーキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合、フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。
調達額は約2億円。今後はエンジニア、セールス、マーケティングなど広く人材を確保。事業の拡大を進めるとしている。
RoomClipは、家具、雑貨などインテリアの写真を投稿、共有したり、その写真にコメントをつけてコミュニケーションをとれる写真SNS。サービスは2012年5月にスタート。現在の月間ユーザー数は100万人、累計の投稿写真数は100万枚を超えた。投稿された写真は月間1億5000万枚閲覧されている。
「投稿してくれる人を集めるというのが何よりも大変だった。最初の2年はひたすらグロースに注力していた」—Tunnel代表取締役社長の高重正彦氏はこう振り返る。
僕が初めて同社を取材したのは2013年のこと。今回も追加投資を受けているフェムトグロースキャピタルから1億円の資金調達をした時だ(なおTunnelは2011年11月にサムライインキュベートとサイバーエージェント・ベンチャーズの2社から1000万円のシードマネーを調達している)。当時はユーザー数はダウンロードベースで13万件、写真投稿数は10万、マネタイズについてもこれからという状況だった。
そこからの成長は特別な施策の結果ではなく、地道なユーザーヒアリングの結果だと振り返る。「ユーザーにリアルで会って、目線を合わせてサービスを作っていた。最終的にコミュニティが大きくなったことがすべて」(高重氏)。積極的に投稿するユーザーの中には地方在住者も多い。彼らのニーズを聞き、サイト上でのコミュニティを活性化する施策を考えていったのだそうだ。実は現在RoomClipのコミュニティマネージャー的な役割を担っている社員も、元はと言えばRoomClipの人気ユーザーだったりするそうだ。
ユーザー発のインテリアトレンドも
サービスが大きくなるにつれてユーザーから自発的に盛り上がるようなトレンドも生まれてきた。例えばオシャレで男性的なインテリアを指す「男前インテリア」なんてジャンルもユーザーの付けるタグから広がっていったのだとか。
「世の中にはインテリアで工夫している人がたくさんいる。グロースで2年間耐えていた時期にそれを知ることができた」(高重氏)
ユーザーの拡大に伴ってビジネスも回り始めた。イケアやニトリ記事広告やサンプリングに加えて(山善の収納ボックスなどはECサイトでのコンバージョンが1.5倍になっ)、投稿された写真の販売も開始。前述の男前インテリアなどは、扶桑社や学研パブリッシングなどの出版社と組んでムックを発売。シリーズ化される人気ぶりだという。メディアからの写真のニーズは高いため、今後はメディアとの連携をより強化するほか、オンラインメディア向けの専用APIも提供する予定だ。
投稿された写真の権利は同社が持っているが、「基本的に掲載される際はユーザーに確認を入れている。今まで数千人に依頼したが断られたことはない。自分のインテリアの工夫を世に紹介して敬意を払われることは、ユーザーにとっても価値あることになっている。我々はキュレーションメディアでなく一次コンテンツを持っている。それがビジネスでも強みを持ってきた」(高重氏)。
今後はSNS内のインフィード広告にも力を入れる。また11月からはオウンドメディア「RoomClipMag(ルームクリップマグ)」も強化。編集長として、元iemo編集長の徳島久輝氏を起用している。