WhatsAppが計画するポリシーの変更に関して同社は、何カ月もかけてユーザーの心配や混乱の解消に努めてきたが、その努力があまり功を奏さなかった相手が、インド政府だ。
インド政府は現地時間3月19日、2カ月後に発効するWhatsAppのプライバシーに関する新しいポリシーが、いくつかの点でインドの法律に違反していると主張した。
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デリー高等裁判所に提出した文書で連邦政府は、FacebookのメッセージングアプリWhatsAppに、ユーザー数では世界最大の市場であるインドでポリシーのアップデートをさせないよう求めた。
「近年、ソーシャルメディアは世界中で数十億の人々に利用され、今日では数百万のインド人がWhatsAppに依存している。つまり大量の個人情報が共有されている。この情報はソーシャルメディア大手が販売や悪用をしようと思えば、間違った使われ方をする可能性があり、ユーザーが人に知られたくない情報などがサードパーティーの手に渡るおそれがある」と同国政府は提出文書で述べている。
この裁判所提出文書は、WhatsAppが政府の懸念を払拭できなかったことを示唆している。インド政府がWhatAppのポリシー変更の計画を最初に問題として提起したのは2021年1月だ。
2021年初めにインドのIT省はWhatsAppのトップであるWill Cathcart(ウィル・カスカート)氏に書簡を送って、ポリシー変更とその含意に関する「重大な懸念」を表明し、ポリシー変更案の「撤回を求めた」。
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一方、WhatsAppの広報担当者は、声明で次のように述べている。「この問題が最初に提起された2021年1月に申し上げたように、私たちが強調したいのは、このアップデートがFacebookとデータを共有する私たちの能力を拡大するものではないという点です。私たちの狙いは、ユーザーが企業とエンゲージするときの透明性と新しいオプションを提供して、彼らが顧客に奉仕し成長できるようにすることです。WhatsAppは常にエンド・ツー・エンドの暗号化で個人のメッセージを保護し、WhatsAppにもFacebookにもそれが見えないようにします。私たちは誤った情報への対処に努め、いかなるご質問にもお答えする体制を今後も維持いたします」。
WhatsAppの今後の規約と条件の変更に対し、インド政府の態度が変わらないことと訴訟が進んでいることは、人気の高いインスタントメッセージング企業にとってまた新たな頭痛だ。さらに同社は、インド政府からの今後の新しいガイドライン、特にその中のエンド・ツー・エンドの暗号化を法執行目的のために解読できる件についても悩んでいる。
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ユーザー数20億ほどのWhatsAppは2016年以降、情報の一部を親会社のFacebookと共有している。これまでサービス規約を大幅に変えたことがない同社は2020年、その一部を変更し電話番号や位置といった一部の個人データをFacebookと共有すると発表した。
2021年初めのアプリ内通知でWhatsAppはユーザーに対して、新しい規約への同意を共有するよう求めた。それに対し、一部のユーザーからの反発が起こった。反発に続いて現在では、何千万ものユーザーがSignalやTelegramなどの競合するサービスを検討している。WhatsAppはユーザーに、新しいポリシーの検討のためにさらに3カ月の猶予を与えている。人気の某モバイル情報サイトによると、Signalのモバイルアプリは月間アクティブユーザー数が1億を超えたという。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:WhatsApp、インド、プライバシー
画像クレジット:SAJJAD HUSSAIN/AFP/Getty Images
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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)