ウェブサイトビルダーのSquarespaceがニューヨーク証券取引所に直接上場へ

中小企業のウェブサイトのためのソフトウェアとホスティングのプロバイダーとして知られるSquarespace(スクエアスペース)がフォームS-1(上場目論見書)を公開した。同社はニューヨーク証券取引所(NYSE)への直接上場を計画していて、ティッカーシンボル「SQSP」で取引される見込みだ。

同社の決算は、収益性を確保してきた急成長中の同社の詳細を示している。同社はまた、株転換などを含む決算も明らかにした。仮決算では「転換優先株の全株式は自動的に異なるタイプの普通株に転換された」と仮定している。仮決算はまた私募債発行と最近のTock買収も含んでいる。

決算を読み解くには時間がかかるだろう。差し当たってはSquarespaceの2020年の業績に目を向けよう。もしあなたが同社の株式を購入するつもりなら、より複雑な数学を理解したいかもしれないが、今は同社のメトリクスにフォーカスする。

2019年のSquarespaceの売上高は4億8480万ドル(約527億円)で、売上総利益は4億280万ドル(約438億円)、営業利益は6130万ドル(約66億円)、純利益は5820万ドル(約63億円)だった。2020年にそれらの数字は変わり、売上高は6億2110万ドル(約675億円)、売上総利益は5億2280万ドル(約568億円)、営業利益は4020万ドル(約43億円)、純利益は3060万ドル(約33億円)だった。

Squarespaceの2020年の売上高の前年比成長率は28%を少し上回った。

参考までに、2020年の仮決算には控えめな売上高6億4420万ドル(約701億円)、売上総利益5億3050万ドル(約577億円)、営業損失2億4640万ドル(約268億円)、純損失2億6770万ドル(約291億円)といった数字が並んでいる。

同社は、2019年に1億230万ドル(約111億円)、2020年は1億5000万ドル(約163億円)の営業活動によるキャッシュフローなど、キャッシュを生み出してきた過去を持つ。同社のキャッシュフローデータは、なぜ同社が従来型のIPOをしようとしていないのかを説明している。同社は自己資金で賄えるため、上場で株式を売る必要がないのだ。

Squarespaceの独特のメトリクスに目を向けると、同社の「ユニーク・サブスクリプション」は2019年に298万4000だったのが、2020年に365万6000に増えた。年間経常収益(ARR)は5億4920万ドル(約597億円)から2020年に7億550万ドル(約767億円)に増えた。

同社のARRは2020年に約28.5%増え、GAAPベースの売上高よりも早いペースで成長している。

米証券取引委員会に提出した書類によると、同社は「財務報告目的のクラスA普通株の適正価値の推定を完了し、2021年3月11日より前は1株あたり加重平均63.70ドル(約6930円)とした」。これは参考価格を設定するのに役立つはずだ。

最後に、誰がSquarespaceを所有するのか?大株主には同社創業者でCEOのAnthony Casalena(アンソニー・カサレナ)氏が含まれる。カサレナ氏は同社のクラスB株の76%、4908万6410株を保有している。Accelは1551万4196のクラスA株を保有している。そしてGeneral Atlanticは2236万1073のクラスA株と495万8345のクラスB株を、Index Venturesは1946万619のクラスA株を保有している。

議決権の大半は同社のCEOにあり、率にして68.2%を手にしている。公開市場の投資家らは、同社の将来の方向性についてどれくらい議決権を持たないかに賭けなければならない。

にもかかわらず、手短にいうとこれは魅力的なデビューとなる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Squarespace新規上場

画像クレジット:MarsYu / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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