ウェブサイトのUI/UX解析ツール「USERDIVE」などを提供するUNCOVER TRUTH(アンカバートゥルース)は10月9日、三井物産、三井住友海上キャピタル、イノベーション・エンジン、楽天(楽天ベンチャーズ)、Draper Nexus Ventures、エボラブルアジア、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタルを引受先とする、総額約6億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。
UNCOVER TRUTHは2013年4月の設立。今回の資金調達は2016年9月の4億円の調達に続くもので、シリーズBラウンドにあたる。これまでの同社の累計調達金額は約10億円となる。
UNCOVER TRUTHが提供するUSERDIVEは、ウェブページ内のユーザー行動を動画やヒートマップとして可視化するツールだ。マウスの動きを可視化するマウスヒートマップや、入力フォームでユーザーが離脱する原因を分析する動線分析などの機能を備え、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールとあわせて利用することで、UIやコンテンツ改善に役立てることができる。
またUNCOVER TRUTHでは、ツールによって得られたデータの分析により、ウェブサイト改善のための施策を提案するコンサルティングもサービスとして提供している。このサービスは、アクセス解析の実施からKPI設計、ヒートマップ分析、施策立案、ABテスト、効果検証までを一気通貫で支援するというものだ。
これまでにウェブサイトの改善を支援した企業は、JALや富士フイルム、三井住友カードなどの大手企業を中心に累計400社を超えるという。
調達資金によりUNCOVER TRUTHでは、より高度な分析をするためのプロダクトのアップデートや人材への投資、グローバル展開を進めるとしている。
プロダクトのUSERDIVEについては、今回フルリニューアルが行われ、実装機能にも大きな変化があったそうだ。UNCOVER TRUTH代表取締役の石川敬三氏は、以前のTechCrunch Japanの取材でも「ウェブサイト解析と改善でも自動化を進め、ツールだけで完結する世界を作る。そのために機械学習を取り入れていく」と答えていたが、今回のアップデートはその布石ともいえるものだ。
アップデートにより実装された機能はいくつかあるが、そのうちのひとつが「全量データの取得」。石川氏によれば、世にあるヒートマップツールのほとんどが、ユーザー行動データの全部を解析するわけではない。例えば1000万PV(ページビュー)のサイトであれば、そのうちの100万PV分のデータをサンプリングして取得し、傾向を分析するという。それを新バージョンでは、全データストックするように変更している。
これにより、例えば「新規会員登録を完了し、かつ『よくある質問』を見た」といったセグメントごとの分析が、より正確に行えるようになるという。
「UNCOVER TRUTHではこれまで、ツールとコンサルの両方を提供してきた。コンサルもやってきたことによって、アナリストの手作業によるウェブサイト改善の結果が蓄積された。EC、金融サービス、求人、メディアなどさまざまなジャンルのサイトで、『こういうサイトなら、こう改善するといい』『こう改善しても、あまり成果は上がらない』といった多くの情報を得ている。これらの情報を、機械学習の教師データとして取り込み、AIを活用して自動的にサジェスチョンしていきたい」(石川氏)
このほかにも、「イベント機能」「タイムヒートマップ」といった機能が追加されている。イベント機能は、これまでのヒートマップツールが苦手としていた、ページ遷移しない行動をイベントとして取得できるというもの。
「これまでは、例えばハンバーガーメニュー(スマートフォン向けサイトなどでよく利用される“≡”の形をしたアイコンを使ったナビゲーションメニュー。タップすると操作メニューが元の画面の上にかぶさって開く)の中の動きについては、『メニュー内をタップしたのか、元のコンテンツを触ったのか』を人が見て、想像で判断していた。こうしたメニュー内の動きを取得して、分析することができるようになる」(石川氏)
タイムヒートマップは、ウェブサイトをグリッド(格子)状に区切り、グリッドごとのヒートマップを時間単位で取得できるという機能だ。
タイムヒートマップ機能(クリックすると拡大)
「他社ツールやこれまでのバージョンでは、画面を上下に区切って、ユーザー行動を判断してきたが、左右も含めて細かく場所が分析できるようになった」と石川氏。特定コンテンツに対するユーザーの行動が「5秒間で終わっているのか、30秒間継続しているのか」といったデータを取得できるようになり、ユーザー行動と興味度合いをより正確に紐づけることが可能になるという。
UNCOVER TRUTHでは、分析機能の自動化を含むさらなる機能拡充により、ソリューション全体の質を高めていく、としている。石川氏は、出資元との協調により、新しいソリューションの検討も進めたい、とも述べていた。