8月3日、エイベックスはアクセラレーターの米Techstarsが運営する音楽特化プログラム「Techstars Music」に参画することを発表するとともに、主に運動時に利用する携帯音楽プレイヤーを開発する米Mighty Audioに出資したことを明らかにした。出資金額は公表されていないが、関係者からの情報によれば数十万ドル規模だという。
Techstars Musicは、米国ロサンゼルスを拠点とする音楽特化型のアクセラレーターだ。2017年に第1回プログラムが始動し、これまでに合計で21社のスタートアップを支援してきた。エイベックスが参画するのは2019年2月より始まる第3回目プログラムから。
日本のエイベックスが米国を中心に実施されるアクセラレータープログラムに参加する理由として、エイベックスグループの投資会社Avex Venturesの長田直己氏は、「日本のストリーミング音楽ビジネスは欧米に比べて立ち上がるのが遅れ、(CDなどの)パッケージ依存から脱却しきれていない。その結果、全体の音楽市場はまだ下降カーブの途中にある。今後、私たちも音楽・エンタメ領域で新規事業を生み出して成長しなければ生きていけないが、そのためには海外にもアンテナを張る必要があると考えた」と話す。
今後、エイベックスはTechstars Musicへの参画を期に、共に新規事業を創出するスタートアップのパートナーを探し出し、出資などを通してオープンイノベーションを加速させていく方針だという。
その第一弾として同社が出資を発表したのが、米国スタートアップのMighty Audioだ。同社は運動時の利用を想定したわずか17gの音楽プレイヤーを開発している。スマートフォンを利用してあらかじめSpotifyの音楽を同期しておけば、あとは単体で音楽を再生することが可能だ。僕もデモ機を実際に触ってみたのだけれど、ほとんど重量を感じない重さなので、トレーニングウェアにクリップで留めておけば運動の邪魔にはならないはずだ。
Mighty Audioの音楽プレイヤーは現在のところ日本国内では正式販売されていないが、第2世代が販売される2019年初頭をめどにエイベックスが独占流通パートナーとして正式流通を始める予定だという。
「日本市場に悲観的であるわけではない。日本の音楽市場はかつて世界1位の規模を持っていたことからも分かるように、日本人は音楽に対する情熱、高い技術力、文化的センスを持ち合わせていると思う。オープンイノベーションを通して、ストリーミングへの移行というパラダイムシフトに貢献していきたい」(長田氏)